横浜花博にも、公式のスタンプラリーはあります。協会は2026年2月16日に「公式スタンプラリー業務」をシヤチハタ株式会社と契約し、会場内の200か所程度に紙のスタンプを置く計画を仕様書に書いています。スタンプ帳はパスポートサイズの有料の冊子で、値段と売り出す日はこれからです。
協会が公募で求めたもの
公募の告知は2025年10月28日でした。業務の目的の欄には、「万博のレガシーとして継承されてきた」公式スタンプラリーを行い、公式スタンプ帳を作って売ることで来場者の満足度を上げる、とあります。大阪・関西万博で会場を巡ってスタンプを押した人にとっては、その続きに当たる催しです。
提案を選ぶ基準には、スタンプの技術より先に、来場者の側から見た文が置かれています。紙のスタンプラリーについて「来場者がなつ印する楽しみ、喜びを感じる」ような魅力を高める提案か、という項目です。押した印がにじまないか、インキを足しやすいかは、別の項目で見ています。
評価委員会は2025年12月3日に開かれ、翌年2月に契約。契約の履行期限は2027年11月30日です。
会場の200か所程度
スタンプを置くのは、公式参加者と非公式参加者の施設、主催者の展示施設、庭園などで、仕様書は会場内の200か所程度としています。数は協会と協議して決め、会期中に対象の施設が増えたら速やかにスタンプを追加で作ることになっています。置き場所には看板付きのディスプレイが付くので、会場では看板を目印に探すことになりそうです。スタンプとディスプレイをいくつ供給するかは、来場者数に合わせて調整します。
スタンプそのものの仕様も細かく決まっています。機構は浸透印式で、インキを補充して繰り返し使うもの。10万回以上のなつ印に耐える耐久性を持たせ、握る部分は抗菌仕様、盗難防止のチェーンなどを付けます。印面のデザインとインキの色は協会と協議して決め、印面のデータは協会から出すのが基本です。会期中は受託者の運営人員が会場内に常駐して、インキの補充や、紛失・破損があったときの交換に当たります。人数は協会と協議して決めます。
スタンプ帳の大きさと中身
仕様書がスタンプ帳に求めている規格は、次のとおりです。
| 項目 | 仕様書の記述 |
|---|---|
| 大きさ | パスポートサイズ(88×125mm) |
| ページ数 | 60ページ程度(表紙・裏表紙を含む)。対象施設の数に合わせて調整 |
| 表紙 | コート紙を基本とし、裏表紙に証紙・JAN・価格を表示 |
| なつ印のページ | インキがにじまない、なつ印に適した再生紙 |
| 載せるもの | 協会から支給する会場マップ |
裏表紙に価格とJANコードを印刷するとあるので、店の棚に並ぶ商品として作られます。表紙には公式ロゴマークや公式キャラクターを使い、花博の機運を高めるデザインにすることも条件です。会場マップを印刷できるスタンプ帳と、協会のデジタル施策と連携できるスタンプ帳は、この業務で作る公式スタンプ帳に限る、とも書かれています。
値段と売り場
値段と売り出す日は未確認です。2026年9月28日時点で、協会からの発表はありません。仕様書から分かるのは、有料で売る商品として作ることと、想定している売り場までです。
売り場は、会場内と会場外の公式記念品売店と、オフィシャルオンラインストアを想定しています。ただし、どの店に置くかは受託者が販売事業者と商談して決めるもので、仕様書は「協会が販売場所を確約するものではない」と断っています。欠品を防ぐ手立てと、買った人からの問い合わせ窓口を用意することも求めています。大阪・関西万博のスタンプパスポートは会場内の公式売店と会場外のオフィシャルショップで売られていたので、横浜も同じ形になれば、会場に着いてから買えます。
スマホで集める版
紙のスタンプだけで終わる計画ではありません。仕様書は、全体計画を物理スタンプラリーとデジタルスタンプラリーの企画を合わせて提案するよう求め、公式スタンプはデジタルスタンプラリーでも使えるようにデジタルデータも作ることになっています。協会が行うデジタル施策と連携させる、という条件も付いています。
ただ、デジタル版を実際に行うかどうかと、その形は未確認です。アプリなのか、二次元コードなのか、紙のスタンプ帳とどうつながるのかは、公募の時点の仕様書には書かれていません。この記事に書いた仕様も同じ資料によるもので、開幕時の姿の発表ではありません。
会場の外と開幕前
仕様書は、会場外の周遊や会期前の機運醸成に広げられる、拡張性のある全体計画を求めています。会場の外にも押せる場所ができるかどうかは、この文からは分かりません。
会期前の例はすでに一つあります。横浜市金沢区は、開催1年前の記念行事として、2026年2月3日から3月29日まで区内9か所を巡るデジタルスタンプラリーを行いました。金沢文庫駅や称名寺、海の公園などに貼ったポスターのクイズに答え、正解の二次元コードをスマートフォンで読み取るとスタンプが集まる形で、参加は無料でした。協会がシヤチハタと契約を結んだのは、この催しの期間中の2026年2月16日です。
大阪・関西万博との違い
大阪・関西万博の公式スタンプラリーは、会場内の約200か所にスタンプを置き、参加は無料、達成しても景品はありませんでした。公式スタンプパスポートは縦125×横88mm、72ページで1,100円(税込)。コモンズの館など6か所に置いた重ね押しスタンプを専用ページに重ねると、1枚の絵になる仕掛けもありました。関西パビリオンに参加した9府県は、館内と各府県のサテライト会場の2か所にスタンプを置いていました。
紙とは別に、スマートフォンで集めるデジタル版もありました。協会の「EXPO2025デジタルウォレット」のNFTサービス「ミャクーン!」で、会場のスタンプディスプレイ付近にある二次元コードを読み取るか、バーチャル会場のパビリオンを訪ねると、NFTのスタンプが手に入ります。運営はSBIホールディングス株式会社で、もらったNFTは人に譲ったり換金したりできない仕様でした。同じパビリオンでも、会場とバーチャル会場ではスタンプの絵柄が違います。
紙のスタンプラリーに景品はありませんでしたが、デジタル版では集めた数が特典につながっていました。訪ねたパビリオンや施設が10か所に達すると10,000、30か所と100か所でそれぞれ20,000の経験値が入り、アプリの中のステータスが上がると、会場のデジタルウォレットパークでの抽選体験「ミャクミャク☆チャレンジ」に参加できました。これとは別に、パーソナルエージェントのアプリでも、5つのクエストをこなすとミャクミャクのデジタルスタンプが完成する企画がありました。
ミャクーン!は2025年9月16日に、「単一イベントにおけるNFT画像の最多発行数」としてギネス世界記録に認定されています。認定された枚数は8,181,594枚です。大阪・関西万博のほかの記録は関西万博のギネス世界記録と横浜の球根植えの記事に並べています。サービスは2024年7月に始まり、閉幕の2025年10月13日に終わるまでに、合計10,622,441枚のNFTを発行しました。協会の実績の発表では、2025年10月14日時点の登録者は397,981人です。この枚数はスタンプだけではなく、地域限定のNFTや、ギネスの認定などを記念して配ったNFTも含んだ合計です。NFTはXRPレジャーというブロックチェーンに記録されていて、協会のアーカイブが案内する発行元のアカウントを2026年9月28日に編集部が公開ノードで照会すると、累計の発行数は発表と同じ10,622,441でした。
横浜の仕様書と重なるのは、約200か所という数、パスポートサイズのスタンプ帳、紙とデジタルの二本立てという骨組みです。横浜の値段はまだ出ていません。ページ数は仕様書の60ページ程度のままなら、大阪の72ページより薄くなります。両博覧会の違いは大阪・関西万博から横浜花博へ、何が変わるかにまとめています。
編集部の考え
協会は2026年2月の時点で、紙のスタンプを会場の200か所程度に置いて会期中ずっと手入れする仕事を、契約で固めました。仕様書は、10万回以上のなつ印に耐える印と、会期中に会場でインキを足して回る人員まで求めています。値段や売り出す日はまだ出ていませんが、紙のスタンプ帳を持って会場を回る形そのものは、契約の段階で決まっています。