GREEN×EXPO 2027のアクセシビリティ・ガイドラインは、2025年3月26日に策定されました。車いすやベビーカー、高齢の家族と会場を歩く人が、事前に知っておきたい基準をまとめたものです。誰もが取り残されない共生社会の形成に寄与することを目的に掲げ、策定にあたっては「2027年国際園芸博覧会アクセシビリティ・ガイドライン検討会」が設けられ、障がい当事者や学識経験者が委員として加わりました。
1. 検討会は3回、テーマ別のワーキングは2回
検討会が開かれたのは2024年9月12日、2024年11月29日、2025年2月21日の3回です。あいだにテーマ別ワーキングが2024年10月8日と2024年12月20日の2回入り、移動や誘導、展示の楽しみ方について話し合われました。この5回の会議を経て、2025年3月26日にガイドラインが策定・公表されています。
2. 5つの章と、2種類の基準
ガイドラインは「1 はじめに」「2 ガイドラインの活用に当たって」「3 施設整備」「4 サービス」「5 交通アクセス」の5章と、巻末の引用文献・参考資料で構成されています。基準には☆(特に推奨する基準)と■(少なくとも遵守すべき基準)の2種類があり、■をやむを得ず満たせない場合も、人的対応などの代替手段で同等のサービスを提供する必要があります。
基本原則は「公平」「尊厳」「機能性の確保」の3つです。国際パラリンピック委員会(IPC)のガイドを踏まえたもので、これに加えて当事者等からの意見の反映と、スタッフへの教育訓練も必要です。検討会では当事者から、障がいも必要な支援も人それぞれだという前提に立って「障がい当事者が何を支援してもらいたいか確認することから取り組んでほしい」という意見が示され、この基本原則に反映されました。適用範囲は会場内の来場者の動線・活動エリア全体で、バックヤードは参考扱いです。
「4 サービス」の章では、スタッフ対応・情報伝達ツール・多言語対応・施設別サービス・緊急時の対応を扱っています。「5 交通アクセス」の章は、会場までの経路を担当する章で、駐車場やバス・タクシー乗降施設といった道路輸送手段、鉄道輸送手段、航空輸送手段、海上輸送手段、歩道等の5つの手段ごとに基準を示しています。会場に着くまでの移動は5章、会場に着いてからの園路や庭園の移動は3章が担当する構成です。
3. 通路の幅は2,000mm以上が望ましいという基準
「3 施設整備」は、共用空間・庭園・建築物の3つに分けて基準を示しています。共用空間の会場内園路では、車いす使用者同士がすれ違える2,000mm以上の有効幅員が望ましいという基準が示され、車いすで通れない砂利敷きや石畳は避けることになっています。検討会では当事者から「車いす使用者にとって、段差は20mm以下であってもできる限りないほうがよい」という意見が出ていました。
建築物の基準では、便所の項目だけで14ページを割いていて、施設整備の中で最も詳細な項目の一つです。
「共通」の基準には、表示・サインや視覚障がい者誘導用ブロックのほか、カームダウン・クールダウンスペース、待ち行列エリア、補助犬トイレの5項目があります。策定後の実装協議会では、こうしたスペースを「カームコーナー」など親しみやすい名称にしてほしいという意見や、仮設のバリアフリートイレに車いす同士がすれ違える180cmの幅員とリフトを求める意見が出ています。
4. 策定後も、実装に向けた協議が続いています
ガイドラインの策定後、協会は「GREEN×EXPO アクセシビリティに関する取組」という実装協議会を開いています。2025年8月6日の第1回には、学識経験者と、DPI日本会議や日本身体障害者団体連合会などの当事者・福祉団体の代表者、あわせて約18名が出席しました。第2回は2025年11月21日、第3回は2026年2月13日で、仮設トイレやカームダウンスペースの進捗、案内サインの設置位置が議題になっています。
第3回では、案内サインの設置位置を車いす目線で見える高さにすべきだという意見や、ロービジョンへの配慮を求める声が出ています。
この記事の取材時点である2026年9月21日で、第4回以降の開催情報は協会サイトに見当たりませんでした。施設が実際にできているかどうかの進捗発表も、同時点では公表されていません。
5. 東京2020と2025年日本国際博覧会のガイドラインを踏まえています
ガイドラインは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会や2025年日本国際博覧会のアクセシビリティに関するガイドライン、それに移動等円滑化基準を念頭に置いて作られたと説明されています。「5 交通アクセス」の章は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)における交通アクセスに関するユニバーサルデザインガイドラインを基本にしているとのことです。
前年の2024年3月には、協会がサステナビリティ戦略を策定していて、人権・労働・腐敗防止・ダイバーシティ&インクルージョン・アクセシビリティ・環境の6分野に基本方針を定めています。アクセシビリティ・ガイドラインは、この6分野のうちの一つを具体化したものにあたります。
当事者が委員に入り、施設の確かめはこれから
当事者は、意見を聞かれる側ではなく、検討会の委員として加わっています。実装協議会は、ガイドラインができたあとも続いています。ただ、施設が基準どおりにできているかどうかは、2026年9月時点ではまだ確かめられません。当日の会場の設備は、別の記事にまとめています。