横浜人形の家は、山下公園の東の端から歩行者デッキでつながる、人形だけを集めた横浜市の博物館です。収蔵は100か国以上、1万点以上にのぼります。館の紹介の頁には「いつ来ても楽しく、何度来ても新しい発見がある」とあり、常設の展示室のほかに、季節や話題に合わせて入れ替えるコーナーと、別料金の企画展が重なって動いています。2026年6月に開館から40年になり、この秋は記念の展示が2つ開いています。料金と会期は2026年9月30日に公式サイトで確かめました。
真珠店の主人の人形から始まった館
館の始まりは、横浜・元町で大野真珠店を営んだ大野英子氏(1907-1977)の人形です。大野氏は御木本幸吉氏の秘書兼通訳を務めたあとに独立し、「ハマの真珠女王」と呼ばれた人でした。仕事のかたわら人形を集め、横浜に人形を公開する施設をつくることを望みましたが、生前には叶わず、1978年9月に人形が横浜市へ寄贈されます。その数は76の国と地域、1981体でした。翌1979年3月、産業貿易センタービルの中に前身の施設が開きました。
1983年9月には太田ますい氏(1897-1987)から雛人形と雛道具の寄贈を受け、人形が増えたことから、観光バスの駐車場だった今の場所に建物を建て、1986年6月1日に開館しました。設計は坂倉建築研究所で、展示の説明には、この建物が「人形たちが住む家」、さらに「現実の都市の中の空想のマチ」として構想されたとあります。
2016年4月1日からは、横浜市が「公の施設」と位置付けています。市民から寄贈された人形を保存管理することで「市民文化の継承」の役割を担い、人形劇や人形制作のワークショップで次の世代を育てる、というのがその目的だと館は説明しています。
2階と3階の常設展示
常設展示は入館料だけで見られ、2階から始まります。最初のエリア「ノスタルジックハーバー」は、開港からの横浜の国際化と、友情人形をめぐる話を扱う部屋です。友情人形は1927年にアメリカの子どもたちから日本の子どもたちへ贈られた人形で、「青い目の人形」の通称で知られています。お礼に日本から贈った「答礼人形」は身長約80cmの特注で、58体がアメリカへ渡り、いまは47体の現存が確認されていると館は書いています。
同じ2階の「ワールドフェスティバル」には世界各国の民族人形と日本各地の郷土人形が並び、「トピックコーナー」は収蔵品から時事の話題や季節の行事に合わせた人形を出す場所です。いまは2026年10月25日まで「ナノブロックを知ろう!」として、株式会社カワダの社員が作った作品や工場の写真を展示しています。2階から3階にかけての「ドールメモリー」は20世紀以降の人形文化のコーナーで、社会現象になった人形にも触れると館は書いています。
3階の「コレクションモール」は西洋の人形と日本の人形の2つに分かれ、江戸時代の名品やビスクドールを展示します。「名品コーナー」は人間国宝・平田郷陽の作品などを置く部屋で、2026年10月25日までは開館40周年記念のミニ展示「大野英子と横浜人形の家」に使われています。開館当時の写真、大野氏が描いた画、集めた人形を出し、展示作品の撮影はフラッシュを使わなければできます。担当学芸員のギャラリートークは10月4日(日)の11時と15時が最後で、予約は要りません。「人形師の工房」では人形の制作工程と職人の技を映像で見られます。
40周年の秋に開いている企画展
企画展は入館料と別に観覧料がかかります。2階の多目的室では、2026年9月5日から11月23日まで、開館40周年記念展「横浜人形の家 建築と記憶」が開いています。設計図面や竣工時の写真といった建築の記録と、開館時のポスター、チケット、刊行物など来館者の記憶につながる資料を並べる展示で、観覧料は大人800円、小中学生400円(入館料込み)です。この展示の休館日は月曜日のほか9月24日(木)と10月13日(火)で、9月21日、10月12日、11月23日の祝日の月曜は開きます。
関連の催しは事前予約が優先です。10月25日(日)14時からは4階のあかいくつ劇場で、坂倉建築研究所で設計チーフを務めた弓良一雄氏と、模型を作った神奈川大学の秋山晃士氏が建物の経緯を話します(定員100名、500円と入館料)。10月30日(金)・11月8日(日)・11月17日(火)には横浜シティガイド協会との共催で、館から山下公園、ホテルニューグランド、産業貿易センターを経てシルクセンターまで約1.5kmを歩くガイドツアーがあります(定員20名、1,500円、9月25日から受付)。
3階の企画展示室の「ドールハウスとミニチュアフードで楽しむピーターラビット™と仲間たちのおはなし」は、10月4日(日)で終わりました。10月17日(土)からは同じ部屋で、創業60周年記念展示「まるっとオビツ製作所」が2027年1月31日まで開きます。オビツキューピーとドール素体オビツボディで知られる葛飾の製作所の展示で、観覧料は大人1,200円、小中学生600円。
入館料と休館日
入館料は大人(高校生以上)400円、こども(小・中学生)200円で、未就学児は無料です。20名以上の団体は350円と150円になります。65歳以上は年齢の分かるものを見せると50円引き、障がい者手帳を持つ本人と介護者1名は無料です。年間パスポートは大人1,200円、こども600円で、購入日から1年間有効、本人だけが使えます。企画展はどれも別料金です。
割引は、みなとぶらりチケットと横浜1Dayきっぷが1枚につき1名(当日のみ)、かながわ子育て応援パスポートとハマハグが1グループまで、いずれも50円引きです。日本郵船氷川丸との相互割引もあり、氷川丸の入館券の半券で人形の家が50円引き、人形の家の半券(上部)で氷川丸が50円引きになります。当日だけ、半券1枚で1名です。
開館は9:30〜17:00(入館は16:30まで)。休館日は毎週月曜日と年末年始で、月曜が祝日のときは開館し、翌火曜日に振替休館します。公式サイトのご利用案内には「月曜日が祝日に当たる場合は翌日が休館日」とあって書き方がずれていますが、館の紹介と展覧会の頁はどれも火曜日への振替と書いています。振替が火曜日でないこともあり、2026年9月は21日(月・祝)に開けて24日(木)に休みました。10月は12日(月・祝)に開けて13日(火)が休みです。お知らせの一覧には、2026年9月30日の時点で臨時休館や改修の告知はありません。1階のショップは10:00〜17:00、カフェは11:00〜19:00です。
子ども連れと撮影
館は「見て」「触れて」「感じて」「遊ぶ」ことができる展示やイベントを開いていると自分を説明していて、人形劇の公演やワークショップが企画展ごとに組まれます。8月には館オリジナルの人形劇「あかいくつ〜ヨコハマ物語〜」を、童謡『赤い靴』『青い目の人形』にのせて4階のあかいくつ劇場で上演しました(観劇無料、事前予約制)。
ベビーカーの持ち込み、授乳室、エレベーターについては、公式サイトに記述が見つからず未確認です。障がい者手帳での入館料無料の案内はありますが、館内の段差や昇降の設備は書かれていないので、必要なら電話(045-671-9361)で確かめてください。撮影は、大野英子展の頁に撮影はできてフラッシュは不可と書かれているだけで、常設展示全体の決まりは未確認です。
元町・中華街駅から
みなとみらい線の元町・中華街駅4番出口から徒歩3分、JR根岸線の石川町駅からは元町口から徒歩13分です。バスは横浜駅東口か桜木町駅から市営バス26系統に乗り「横浜人形の家前」で降りるか、8・58系統で「山下ふ頭入口」で降ります。駐輪場はなく、駐車場は大型観光バス(19台、予約可)のためのもので、普通車の予約はできません。敷地内は駐車場を含めて全て禁煙です。
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編集部の考え
横浜人形の家を取り上げたのは、開館40周年の年に、館が人形だけでなく建物そのものと来館者の思い出を展示の対象にしているからです。「建築と記憶」展は設計図面や竣工時の写真と一緒に開館時のポスターやチケットを並べ、ギャラリートークでは、参加者が思い出を話すのも歓迎しています。設計チーフだった弓良一雄氏は9月19日(土)に館内を案内し、10月25日(日)には計画から竣工までの経緯を話す予定です。