横浜・山手の丘には、横浜市が公開している西洋館が7つあります。外交官の家、ブラフ18番館、ベーリック・ホール、エリスマン邸、山手234番館、横浜市イギリス館、山手111番館で、公益財団法人横浜市緑の協会が管理しています。7館とも入館無料で、開館時間は9時30分から17時までです。3つの公園に分かれて建っていて、JR根岸線の石川町駅からみなとみらい線の元町・中華街駅まで、公園をつなぎながら半日で歩けます。
休館日・入館料・建物の来歴・最寄り駅は、2026年9月12日に公式サイトで確かめました。GREEN×EXPO 2027(横浜花博)のシャトルバス発着駅のうち、瀬谷駅・三ツ境駅は相鉄本線にあります。横浜駅でみなとみらい線に乗り換えれば、終点が元町・中華街駅です。
1. 早見表
| 館 | 公園 | 建築年・設計 | 休館日 | 最寄り駅 |
|---|---|---|---|---|
| 外交官の家 | イタリア山庭園 | 1910年、J.M.ガーディナー。国の重要文化財 | 第4水曜 | 石川町駅 徒歩5分 |
| ブラフ18番館 | イタリア山庭園 | 関東大震災後 | 第2水曜 | 石川町駅 徒歩5分 |
| ベーリック・ホール | 元町公園 | 1930年、J.H.モーガン | 第2水曜 | 元町・中華街駅 徒歩8分 |
| エリスマン邸 | 元町公園 | 1925〜1926年、アントニン・レーモンド | 第2水曜 | 元町・中華街駅 徒歩8分 |
| 山手234番館 | 元町公園 | 1929年ごろ | 第4水曜 | 元町・中華街駅 徒歩7分 |
| 横浜市イギリス館 | 港の見える丘公園 | 1937年、上海の大英工部総署 | 第4水曜 | 元町・中華街駅 徒歩6分 |
| 山手111番館 | 港の見える丘公園 | 1926年、J.H.モーガン | 第2水曜 | 元町・中華街駅 徒歩7分 |
休館日はいずれも休日の場合は翌日に振り替わります。年末年始(12月29日〜1月3日)は全館休館です。工事などで臨時休館することがあると公式サイトに書かれています。
2. イタリア山庭園の2館(石川町駅から徒歩5分)
石川町駅の元町口から大丸谷坂を5分ほど上ると、山手イタリア山庭園に着きます。JR桜木町駅からは神奈川中央交通バス11系統で「イタリア山庭園前」下車、徒歩1分です。
外交官の家は、外交官の内田定槌の邸宅として1910年に東京・渋谷に建てられ、1997年にこの庭園へ移築復原されました。設計はJ.M.ガーディナーで、移築と同じ年に国の重要文化財に指定されています。館内には家具や調度を再現した部屋と、ガーディナーや外交官の暮らしに関する資料の展示があります。付属棟に喫茶室があります。
ブラフ18番館は、関東大震災の後にオーストラリア人貿易商バウデンの住宅として建てられ、戦後はカトリック山手教会の司祭館として使われました。1993年から公開されています。館内には修復した横浜家具を置き、震災復興期の外国人住宅の暮らしを再現しています。2階は寝室の展示です。
3. 元町公園の3館
イタリア山庭園から山手本通りを5〜6分歩き、カトリック山手教会とフェリス女学院の前を過ぎると元町公園です。桜木町駅からのバスは11系統「元町公園前」で降ります。
ベーリック・ホールは、イギリス人貿易商の邸宅として1930年に設計された建物で、設計者はアメリカ人建築家のJ.H.モーガンです。約600坪の敷地に建ち、リビングルーム、パームルーム、フレスコ画で飾られたダイニングルームを見られます。
エリスマン邸は、生糸貿易商社シーベルヘグナー商会の横浜支配人フリッツ・エリスマンの邸宅として1925年から1926年に建てられました。設計はチェコ出身の建築家アントニン・レーモンドです。1982年にマンション建設のために解体され、1990年に元町公園の現在地に再現されました。1階は暖炉のある応接室、居間兼食堂、庭を眺めるサンルームで、2階は山手の洋館に関する資料展示です。厨房だった部分が喫茶室になっています。
山手234番館は、1929年ごろに外国人向けの共同住宅として建てられました。設計は朝香吉蔵といわれています。1階に再現した居間と館の歴史のパネル展示、2階はギャラリーと貸しスペースです。修繕工事を終えて2026年3月26日に再開しています。
4. 港の見える丘公園の2館(元町・中華街駅から徒歩6〜7分)
元町公園から山手外国人墓地の脇を通ると港の見える丘公園です。元町・中華街駅の6番出口(アメリカ山公園口)から上れば徒歩6〜7分で、桜木町駅からは11系統・市営バス20系統・市営バス「あかいくつ」で「港の見える丘公園」下車、徒歩1分です。
横浜市イギリス館は、1937年にイギリス総領事の公邸として建てられました。設計は上海の大英工部総署です。展示室と復元した寝室があり、ホールではコンサートが開かれます。
山手111番館は、1926年にアメリカ人ラフィンの住宅として建てられ、設計はベーリック・ホールと同じJ.H.モーガンです。横浜市が1996年に敷地を取得し、建物の寄贈を受けて保存改修したうえで1999年から公開しています。昭和初期の洋館の家具の配置と、モーガンに関する展示があり、地階は喫茶室です。ローズガーデンを見下ろす場所に建っています。
5. 歩く順番と休館日の注意
公式サイトのおすすめルートは、石川町駅から始めてイタリア山庭園、元町公園、港の見える丘公園の順に回り、元町・中華街駅で終わる半日コースです。坂を上るのは最初の大丸谷坂が中心で、あとは山手本通りに沿って歩きます。逆に元町・中華街駅から歩き始めると、最後に石川町駅へ下ります。
休館日は水曜に集中しています。第2水曜は山手111番館・エリスマン邸・ベーリック・ホール・ブラフ18番館の4館、第4水曜は横浜市イギリス館・山手234番館・外交官の家の3館が休みです。7館すべてに入るなら、第2・第4水曜(休日の場合は翌日)を避けてください。
6. 撮影の決まり
7館共通の「撮影について」のページでは、ほかの来館者の迷惑にならない範囲で記念写真程度なら撮れるとしています。長時間の場所の占有、動画、接写、三脚・レフ板・自撮り棒などの機材の使用はできません。公園や庭園の一定の場所を占有する撮影は、営利・非営利やプロ・アマを問わず横浜市の事前の許可が必要です。一方で、外交官の家・ブラフ18番館・ベーリック・ホール・横浜市イギリス館の各館ページには、館内での写真撮影を遠慮するよう書かれています。どちらが現在の運用かは公式サイトからは判断できませんでした。現地の案内に従ってください。
7. 編集部の考え
7館とも無料で、駅から駅へ歩きながら回れるので、花博のついでに横浜の街も見たい人に向いていると思います。全部に入っても半日で済み、喫茶室のある外交官の家・エリスマン邸・山手111番館で休めます。港の見える丘公園の2館は、神奈川近代文学館と大佛次郎記念館のすぐそばです。文学館と合わせるなら、元町・中華街駅から始めて港の見える丘公園を最初に回るほうが、開館時間の短い文学館(展示室の入場は16時30分まで)に間に合わせやすいと思います。
