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trip-jp博覧会からミュージアム、寺社仏閣まで 横浜花博 2027 開幕まで 163日

みんぱくの音楽展示で見る世界の楽器

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世界地図の形をした網の壁一面に、産地ごとにかけられた多数のチャルメラ(複簧の縦笛)
チャルメラの展示壁。世界各地のチャルメラが産地ごとに掛けられている(2013年撮影) 写真: Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

1999年、アメリカ・シアトルの太鼓グループ、シアトル・ココン・タイコが、ワイン樽を胴にした太鼓を国立民族学博物館(みんぱく)に寄贈しました。1960年代末に和太鼓が北米に伝わると、日系3世たちがそれを政治文化運動と結びつけ、アジア系への偏見と闘う手段として叩き始めた、と館の展示品紹介は書いています。いま太鼓は、日系を中心にアジア系の新しい文化として根づいています。

この太鼓が置かれているのが、みんぱくの音楽展示です。館は展示場の趣旨を「私たち人類は、音や音楽によって意志や感情をつたえ、自分の位置を知り」と書き起こし、さらに人は音で「神仏や精霊など見ることのできない存在と交わってきました」と続けます。楽器の形や音色の違いを並べるより、だれがどんな場面で鳴らしたかを見せる展示です。広さは550平方メートルで、「太鼓」「ゴング」「チャルメラ」「ギター」の4つのセクションに分かれています。

みんぱくへの行き方や割引料金は行き方と観覧料の記事にあります。遠くから来て開館から聴いて回るなら、前の晩の宿は楽天トラベルの万博記念公園駅周辺のホテル・旅館の一覧PRで探せます。

太鼓は「荒ぶる音」

太鼓のセクションには、ワイン樽太鼓のほかに、マレーシア・クランタン州で2007年に収集したルバナ・ウビがあります。二人一組で一つの太鼓を受け持ち、それぞれが相手の音のあいだに自分の音をはさみ込んで、複雑なリズムを作る太鼓です。偏見と闘うための太鼓と、相手の音を聞きながら叩く太鼓が、同じ「荒ぶる音」の中に並んでいます。

ワイン樽を使って作られた太鼓。革の縁に鋲が打たれ、胴に筆文字が描かれている緑と黄で塗られた両面太鼓「グドゥ」に2本のバチが立てかけられている
ワイン樽太鼓(アメリカ合衆国シアトル、1999年収集、2014年撮影)と、マレーシア・クランタン州の両面太鼓「グドゥ」(2007年収集、2013年撮影)写真: 左・右とも Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)
花模様を彩色した大型の太鼓「ルバナ・ウビ」
ルバナ・ウビ(マレーシア・クランタン州、2007年収集、2013年撮影)写真: Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

ゴングは「伝え交わる音」

ガンサは、フィリピン・ルソン島北部の山あいに住む少数民族カリンガが伝える平らなゴングで、2008年に収集されました。奏者は一人一つずつゴングを持ち、何人もの音が重なって深い響きになります。演奏されるのは、集団どうしの友好を保つための集まりや結婚式です。

同じゴングでも、宮廷で育ったものは形が違います。カンボジア、タイ、ラオスなどの宮廷の大型アンサンブルでは、ゴングを環状に並べた楽器が目立ちます。一人の奏者が数多くのゴングを鳴らすための工夫で、展示ではクメールのピン・ピアット(1999年収集)がその例です。東南アジア各地の宮廷では、王や王国の権力を示す大型のアンサンブルも発達し、こぶ付きゴングと鉄琴を中心にしたガムランはその一つです。儀礼や公式行事のほか、舞踊や影絵芝居の伴奏にも使われます。

複数の平らなゴング「ガンサ」が台に吊るされて並ぶこぶ付きのゴングを木製の台に組んだガムラン・サレンドロの一式
ガンサ(フィリピン、カリンガ族、2008年収集、2013年撮影)とガムラン・サレンドロ(インドネシア、スンダ族、2003年収集、2013年撮影)写真: 左・右とも Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

チャルメラは「演じる音」

チャルメラは、ユーラシアを中心に世界の広い地域に分布しています。歴史と伝わり方には分からない部分が多いものの、西アジアで生まれて各地へ広がったという説が有力だと館は説明しています。

南インドのヒンドゥー寺院で吹かれるナーガスワラム(2005年収集)の音は、吉兆を表し、神の現れとさえ考えられています。太鼓のタヴィルや、一対の小型シンバルのターラムと一緒に演奏されます。このナーガスワラムを、実際に習った研究者がいます。刊行時にみんぱく教授だった寺田吉孝は、南インドで楽師に師事しながら調査を重ね、その経験を『音楽からインド社会を知る』(臨川書店、2016年)にまとめました。第四章の題は「ナーガスワラムを習う」です。

人生の節目の儀礼も、チャルメラがよく鳴る場です。バルカン半島南部やトルコでは、チャルメラのズルナ(2006年収集)と太鼓のダヴルの音が結婚式に欠かせないとされ、演奏者の大多数はロマ(ジプシー)の出身です。イベリア半島のチリミア(2005年収集)は、16世紀にキリスト教の宣教師たちによってアメリカ大陸へ伝わりました。中米グアテマラでは、チリミアと太鼓のタンボールの奏者が、守護聖人祭の行列の先頭を行きます。

ギターは「歴史の中の音」

ポルトガル北部のブラガとその周辺で弾かれるビオラ・ブラゲーザは、複弦6コースのギターです。小ぶりで複弦のものが多く、6弦ギターができる前の姿につながります。このギターを作った工房はワインの醸造所も兼ねていて、館はそこから、ギターがワインと同じくらい暮らしに近い道具だったと読んでいます。

中南米には、6弦ギターができる前にヨーロッパから原型が伝わったため、弦の数を名前にした6弦以外のギターが残っています。プエルトリコのクアトロは「4」という名前ですが、実際は複弦5コースです。胴は一本の木をくり抜いて作り、大きさの割に重いものの、作るのは難しくないといいます。プエルトリコでは、音楽学校でもクアトロの演奏を教えています。

木製の胴に4弦を張った低音ギター「ギタロン」ひょうたん形の胴をもつプエルトリコの弦楽器「ボルドヌア」のヘッド部分
グアテマラの低音ギター「ギタロン」(キチェ族・カクチケル族、2014年撮影)と、プエルトリコの弦楽器「ボルドヌア」のヘッド部分(2008年収集、2013年撮影)写真: 左・右とも Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

日本のギターもあります。大分県の別府温泉で流しの歌手が使っていたギターには、ファンだった歌手のサインや、あこがれた歌謡界の大御所の名前が書き込まれています。流しの歌手はかつてバイオリンを弾いていましたが、戦後はギターに持ち替え、演歌や流行歌のプロ歌手になる人も出ました。沖縄の大衆音楽家、故・照屋林助が愛用したユンシンは、三線の胴に4本のギター弦を張り、アンプにつないで鳴らした楽器です。照屋は自分の音楽を、沖縄と日本や西洋の音楽を混ぜた「チャンプルー」と呼びました。この楽器も三線とギターの「チャンプルー」で、その演奏は映画『ウンタマギルー』で見られます。

観覧料と休館日

音楽展示は本館展示の一つで、本館展示の観覧料で見られます。一般780円、大学生340円、高校生以下は無料です。満65歳以上は660円、障がい者手帳を持つ人は付添者1名とともに無料です。大学生と一般の人は、万博記念公園の各ゲートでみんぱくの観覧券を買うと、公園の中を無料で通れます。本館展示の電子チケットは、外部サイトのJTBレジャーチケットでも買えます。

開館は10:00〜17:00(入館は16:30まで)で、休館日は毎週水曜日(祝日なら直後の平日)と、12月28日〜1月4日の年末年始です。行く前に展示場の様子を見たいときは、みんぱくのウェブサイトのパノラマムービーが使えます。一部の資料には解説の映像も付いています。

2027年3月18日から6月15日までは、特別展示館で特別展「触覚を取り戻せ!」が開かれる予定です。1階の三つのセクションの一つが「情感=触覚×音楽」で、観覧料は一般1,200円、本館展示も見られます。

編集部の考え

楽器の展示は、形や音色の珍しさで並べることもできます。みんぱくの音楽展示は、一つひとつの楽器に、だれがどんな場で鳴らしたかを添えています。偏見と闘うために叩かれた太鼓、結婚式に欠かせないズルナ、歌謡界の大御所の名前が書き込まれた流しのギター。説明を書いた研究者の中には、楽師に弟子入りしてナーガスワラムを習った人もいます。

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