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trip-jp博覧会からミュージアム、寺社仏閣まで 横浜花博 2027 開幕まで 163日

みんぱくのアフリカ展示:サハラの岩塩から葬送の仮面まで

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コートジボワール・アビジャンの路地裏のカフェテラスを再現した展示
アビジャンのカフェテラスを再現した展示(2013年撮影) 写真: Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

「マダガスカルでも南部の金持ちは、人やウシの彫刻を墓に建てるんだ」。みんぱく(国立民族学博物館)のアフリカ展示には、墓標を彫るジャック=ジャン・エフィアインベルさんの言葉がこう掲げられています。マダガスカルのマハファリの人で、父はウシ1頭とひきかえに彫刻を作って暮らしてきたと話し、自分の彫刻は海外でも高く評価されているから「ウシ1頭よりも高いよ」と結んでいます。

仮面や交易の品と同じ展示場に、名前のある一人の職人が自分の仕事を語る場所があります。この展示の案内の最後には、この展示が「私たちと同時代に生きるアフリカの人びとへの共感を育む」ものであることを願う、とあります。

展示場の広さは500平方メートルです。人びとが「歴史を掘り起こす」営みのコーナーと、今のアフリカの暮らしを「都市に集う」「働く」「装う」「祈る」の4つに分けたコーナーでできています。本館展示の観覧料は一般780円、休館日は毎週水曜です。行き方と館全体の案内は、みんぱくの記事にまとめています。

全面改修で最初に作り直された展示

みんぱくの本館は1977年11月に開館し、そのときからアフリカの展示がありました。開館以来大きく変わらずに続いてきた本館展示の全面改修は2009年に始まり、最初に公開されたのがアフリカと西アジアの新しい展示です。その後は毎年2つの展示場を順に作り直し、改修は2017年に終わりました。

創設50周年の2024年、館長の吉田憲司さんはあいさつの中で、世界に新たな分断が生じていると書き、今ほど「他者への共感に基づき、自己と他者の文化についての理解を深める」人類学の知と民族学博物館の役割が求められている時代はない、と続けています。展示の案内と同じ「共感」という言葉です。同じあいさつで吉田さんは、みんぱくが研究者と、研究の成果を使う人と、研究の対象となっている社会の人びとの3者が交わる場、人類の知の「フォーラム」として自らを位置づけてきたとも書いています。

吉田さんは、アフリカを中心に仮面や儀礼を調べてきた研究者でもあります。2016年の著書『仮面の世界をさぐる』(Amazonの商品ページPR)の目次には、ザンビアのチェワの社会で秘密結社「ニャウ」に加入した章があり、最後の章に「民博アフリカ展示の更新」という項目が置かれています。

サハラの岩塩で歴史を掘り起こす

「歴史を掘り起こす」のコーナーで紹介されている品の一つが、マリのモポチ地域の岩塩です。館の説明では、サハラ以南のアフリカで国家が成立したのは7世紀以降のこと。西アフリカでは、ラクダによるサハラ縦断交易と結びついて商業と農業が発達し、強大な国がいくつも生まれました。岩塩は、昔も今も、サハラの重要な交易品だといいます。

カメルーン・バムン王国の王の仮面「アトゥア・コム」ナイジェリア・ベニン王国の王母の頭像(複製)
カメルーン・バムン王国の王の仮面(左)と、ナイジェリア・ベニン王国の王母の頭像の複製(右)(2013年撮影)写真: Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

路地裏のカフェテラスと人びとの仕事

「都市に集う」のコーナーの例として館が挙げるのが、記事の冒頭の写真のカフェテラスです。コートジボワールの都市アビジャンの路地裏にある店を再現したもので、ビールやコーラを飲みながら軽い食事もできる場所として紹介されています。この店は、街の人がひと息つき、話をしに集まる場所です。

冒頭の彫刻家の言葉は、「働く」のコーナーにあります。このコーナーは、アフリカに生きる一人一人の個人に焦点を当て、それぞれが自分の仕事に込めた思いをメッセージとともに紹介する場所です。

コートジボワール・アビジャンの床屋の看板と外観を再現した展示
アビジャンの床屋を再現した展示(2013年撮影)写真: Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

刺繍の衣装とビーズの人像で装う

「装う」のコーナーでは、身にまとう物が社会とどう結びついているかを見せています。カメルーンのバミレケの人びとは、自分たちで布を織る技術を持たなかったため、ハウサの人びとのイスラームの衣装をヒントに、交易で得た布や糸に刺繍をほどこして、華やかな宮廷儀礼用の衣装を生み出しました。

ビーズは装飾品の印象が強いものですが、アフリカの社会の多くでは、ビーズが儀礼や富の象徴、社会的威信や民族のアイデンティティにかかわるものとして使われてきました。ナイジェリアのヨルバの首長をかたどったビーズ製の人像も、そうした造形の一つです。

南アフリカ・ズールー族のビーズ製花嫁衣裳エジプト・カイロの多様な女性用ベール
南アフリカ・ズールー族のビーズ製花嫁衣裳(左)と、エジプト・カイロの女性用ベール(右)(2013年撮影)写真: Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

葬送儀礼の仮面ニャウが並ぶ「祈る」

「祈る」のコーナーの中心は、ザンビアのチェワの人びとの社会に見られるニャウの仮面の数々です。丸善出版の事典の紹介によると、みんぱくの仮面の所蔵数は大英博物館に次ぐ世界第2位です。ニャウは葬送儀礼に登場し、死者の霊を祖先の世界へ送り届ける役割を担います。今のアフリカではイスラームやキリスト教が急速に広がっているものの、仮面の儀礼はいまも各地で盛んに行われています。

ナイジェリア・ヨルバ族のエグングン舞踏の衣装コンゴ共和国コンゴ族の呪術用の像「ミンキシ」
ナイジェリア・ヨルバ族のエグングン舞踏の衣装(左)と、コンゴ族の呪術用の像「ミンキシ」(右)(2013年撮影)写真: Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

観覧料と開館時間

アフリカ展示は本館展示の一つで、観覧料は次のとおりです。

区分個人
一般780円
大学生340円
高校生以下無料
満65歳以上660円
障がい者手帳をお持ちの方無料(付添者1名も無料)

開館は10:00〜17:00で、入館は16:30まで。休館日は毎週水曜日(祝日の場合は直後の平日)と、12月28日〜1月4日の年末年始です。一般と大学生の方は、万博記念公園の各ゲートでみんぱくの観覧券を買えば、公園の中を無料で通れます。観覧券は、JTBレジャーチケットとアソビューで電子チケットとしても買え、有効期限は購入日から30日間です。キャンセルや変更はできません。

遠くから出かける日は、天気にも気をつけてください。吹田市に暴風警報などが出たとき、阪急電鉄や大阪モノレールが運休したとき、万博記念公園が休園したときは、臨時休館することがあります。

公式サイトのアフリカ展示のページでは、2024年度に撮影したパノラマムービーを公開しています。パソコンの画面で展示場をさまざまな角度から見られるので、どのコーナーに何があるかを先に知っておくのに使えます。

編集部の考え

アフリカ展示は、路地裏のカフェテラスも葬送儀礼の仮面も、墓標を彫る職人の言葉も、どれも「今のアフリカ」の側に置いています。館は2009年の全面改修でまずこの展示を作り直しました。研究の対象となっている社会の人も「フォーラム」の一員に数える館なので、展示場では彫刻家が自分の言葉で仕事を語っています。

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