初詣のニュースでは、明治神宮の参拝者数として「約300万人」という数字がよく使われます。明治神宮の公式サイトの初詣特集ページを確認しましたが、参拝者数についての記載は見当たりませんでした。この数字がどこから来ているのかは、未確認です。

「初詣」という習慣自体、鉄道が広めたものだと初詣は鉄道が広めたに書きました。ただ、鉄道が人を運ぶようになった後、実際に何人が参拝したかを誰がどう数えているかは、別の話です。
確認できたのは、全国の初もうでの人出を、以前は警察庁がまとめて発表していたことです。国立国会図書館のレファレンス協同データベースに残る事例には、警察庁が全国の初もうで人出ランキングを発表していたのは2009年までで、以後は取りやめている、とあります。読売新聞2011年1月4日の記事を典拠にした記述です。これがきっかけとなり、2010年から人出の公表をやめた神社が多いとも書かれています。
この事例は、図書館の利用者から「2009年の全国の三が日の初もうで参拝者数を知りたい」と質問を受けた職員が調べた記録です。質問者はまず市役所の観光課に問い合わせましたが、分からなかったとのことです。職員が新聞のデータベースや縮刷版を順にあたって、ようやく確認できています。図書館の職員でも、簡単には出てこない数字です。同じ事例には、警察庁の集計が終わった後も、新聞社が独自に人出ランキングをまとめていた例が出てきます。全国の初もうでの人出は、警察庁の発表がなくなってからは、メディアが個別に集めた数字が主に出回っていると思います。
神社は、参拝者数をどうやって出しているか
警察庁が全国の集計をやめてからは、神社ごとの発表があっても、それぞれの方法で出した数字です。神戸新聞の取材(2013年)によると、生田神社(神戸市)は正月三が日の祈祷件数やおみくじの販売数などをもとに、神主が算出しているとのことです。同じ神戸市内の湊川神社は、さい銭の額と過去の実績をもとに数字を出しているといいます。
同じ記事は、入場券のないイベント全般の数え方にもふれています。国土交通省観光庁が例示する手法は、1平方メートル当たりの人数と開催面積を掛け、1時間ごとに足し合わせるというものです。観光庁自身は「真の値(実数値)は把握できない。あくまでも推計値」と答えています。目視や映像解析、レーザーなど手法はいくつかありますが、実際に一人ひとりを数えているわけではありません。大型商業施設のように出入り口にセンサー式のカウンターを置く方法もありますが、神社の境内はふだん、そういう作りになっていません。明治神宮がもし参拝者数を発表するとしても、その数え方は今回の資料からは分かりません。生田神社や湊川神社のように、神社ごとに方法が違う可能性があります。
明治神宮は、混みやすい時間帯を案内している
参拝者数は載っていませんが、明治神宮の公式サイトには混雑と行き方の案内があります。例年、大晦日22:00〜元日3:00と、三が日は10:00以降の時間帯が混みあうとのことです。公式サイトは「分散参拝のご協力をお願いします」とも呼びかけています。境内への入口は3か所あり、原宿口はJR原宿駅・地下鉄明治神宮前駅から徒歩1分、代々木口はJR代々木駅・北参道駅から徒歩5分、参宮橋口は小田急線参宮橋駅から徒歩5分です。三が日は車での境内進入ができません。3つの入口を知っておけば、混みあう時間を避けて分散して歩く先も選べます。

遠くから来て大晦日の夜から元日の朝に合わせるなら、宿は楽天トラベルの原宿駅周辺のホテル・旅館の一覧PRで探せます。原宿口まで、JR原宿駅から徒歩1分です。
神社本庁の集計は確認できず
神社本庁が参拝者数を独自に集計しているかどうかも調べましたが、公式サイトには記載が見当たりませんでした。未確認です。サイトには氏神や参拝の作法についての案内は多くありますが、初詣の人出データにあたるものは見つかりませんでした。
川崎大師・鶴岡八幡宮は、今年の初詣ページがまだ
川崎大師の初詣と厄除けや鶴岡八幡宮の初詣で書いた開門時間や祈祷の受付時間は、公式サイトの通年ページをもとにしています。確認した時点では、両社とも今年の初詣専用ページはまだ公開されていませんでした。
編集部の考え
「約300万人」は、だれかが毎年数えている数字ではありません。警察庁の全国集計はすでになく、神社ごとの数字も、祈祷件数やさい銭の額からの推計です。図書館の職員が新聞のバックナンバーをたどってようやく出どころに行き着いた数字が、ニュースでは当たり前のように毎年繰り返されています。数字そのものより、いつ混みやすいか、どの入口から入れるかのほうが、参拝の計画には役立つと思います。