原鉄道模型博物館の紹介ページは、模型の形より先に走る音を取り上げています。「レールのつなぎ目の音がゴトンゴトンと鳴り、本物と同じサウンドを聞くことができます」。模型は架線から電気を取り、鉄のレールの上を鉄の車輪で走ります。ギア、板バネ、揺れ枕、ブレーキといった本物の鉄道の技術を、外からは見えない所に入れた結果です。
その模型を作り、集めたのは、1919年に東京で生まれた原信太郎です。館は2012年7月10日、横浜駅東口から徒歩5分の横浜三井ビルディング2階に開きました。入館券は時間帯を選ぶ日時指定で、大人1,500円。休館日は火曜と水曜です。
電気を切っても走り続ける模型
模型の世界では、レールや車輪に加工のしやすい真鍮などを使うのがふつうです。館の資料室のページには「本物の鉄道が鉄のレールと車輪なら、模型も本物通りにつくるのが原模型のこだわりです」とあり、買ってきた模型の車輪も鉄に替えるそうです。架線にも実際に電気を流すので、うまく走ればパンタグラフが架線の高さに合わせて伸び縮みし、ときどきスパークも出るそうです。
一度加速してから電気を切り、あとは惰力で走らせる「惰力走行」は、原模型が追求してきたテーマです。信太郎は中学・高校のころ、平歯車(スパーギア)で動く市販のモーターのギア比を改造して、やっと満足できる走りを得たといい、それ以来、原模型の基本はスパーギアになりました。
その走りを大きな舞台で見せるのが「いちばんテツモパーク」です。一番ゲージ(縮尺約1/32)の蒸気・電気・トロリーの模型が走る約310m²のジオラマで、館は一般公開されている室内施設としては世界最大級としています。全体を見渡せる観覧席があり、その日の走行スケジュールは館内に掲示されます。模型の状態によって変わることもあります。もう一つのジオラマ「横浜ジオラマ」はHOゲージで、かつての横浜駅(今の桜木町駅)の周りや馬車道、中華街の街並みを作っています。

自分で動かしてみたい人には「動鉄実習」があります。本物の鉄道の運転台を使って、ジオラマの中の模型を運転する体験です。1日3回(10:30、12:30、15:00)、先着順で各回5組、計15組まで。館内が混んでいる日は休止することがあります。参加費は未確認です。
一番切符を買いに行った人
信太郎は小学6年生から本格的に模型を作り始め、鉄道の技術を学ぶために東京工業大学の機械工学科へ進みました。戦後はコクヨで開発技術を担当し、世界初の立体自動倉庫などを手がけています。1956年からの欧州出張が世界旅行の始まりで、そのたびに各国の鉄道を見て回り、模型を持ち帰りました。創設者のページによると、生涯の所蔵模型は約6000両。館の総収蔵車輌台数は約1,500台です。
集めたのは模型だけではありません。新しく開業した路線で売り出す通し番号0001の切符、「一番切符」もその一つです。資料室のページには、信太郎が何日も前から駅で待つなどして0001番を追いかけた話があります。人のコレクションを買い取るのではなく、開業のその日に「自分で出かけ、自分で買って手に入れることに醍醐味があります」というのが、そこに書かれた考えです。その一番切符は、第三展示室「ヴィンテージ・コレクション」で、アンティークの鉄道玩具と一緒に見られます。
第一展示室「原模型の真髄」には、信太郎が小学生のときに作り、いまは館のマークになっている一号機関車が並びます。第二展示室「語る模型」は、時代ごとの文化や歴史をテーマに模型を分けた部屋です。実物の車両の展示はありません。実物で見られるのは、実際に使われていた鉄道プレートやコントローラーです。
信太郎の模型を手元でゆっくり見たい人には、本人の本『原信太郎鉄道模型のすべて 技術の極み、躍動美PR』(誠文堂新光社)があります。
館長が富士急行の100年に寄せた言葉
いまの催しは、2026年9月18日に始まった「富士急行100周年記念」です。館のページには、信太郎の子で館長の原丈人の挨拶が載っています。信太郎が富士急行の沿線で撮った写真は、いまも館に収蔵されているそうです。原丈人は、父の残したその風景を見返して、100年の歴史の重みを感じたと書いています。あいさつの結びでは、鉄道を、人の記憶と地域の歴史を受け継いで文化を育ててきたものとして語っています。催しの終わりの日は、ページに書かれていません。
チケットの買い方
開館は10:00〜17:00です。入館券は「イープラス」の予約サイトか、ファミリーマート店内のマルチコピー機で、入る時間帯を選んで買います。時間帯ごとに人数の上限がありますが、入ってしまえば閉館まで時間の制限はなく、入れ替え制でもありません。
| 入館の時間帯 | 当日券の販売締切 |
|---|---|
| 10:00〜12:00 | 12:00 |
| 12:00〜14:00 | 14:00 |
| 14:00〜16:30 | 16:00 |
当日券は、その時間帯の予約が定員に達していなければ買えます。横浜三井ビルディング1階のコンビニエンスストアでも当日券を扱っています。
入館料は大人1,500円、中学・高校生1,000円、小人(4歳以上)750円で、曜日による違いはありません。障がい者手帳を持つ人と付き添いの1名は300円引きで、窓口で手帳か手帳アプリ「ミライロID」を見せます。シニア割引や団体割引はありません。自分の都合での払い戻しはできず、荒天などで館が休館したときだけ、イープラスの手続きで払い戻されます。
休館日は毎週火曜と水曜(祝日なら開館し、次の営業日が休み)、年末年始、2月上旬の保守点検期間です。

見学の時間と撮影
館の案内では、見学の所要時間は約1時間です。一度出ると同じ日の再入館はできませんが、電話のために出るときは、エントランスのスタッフに伝えれば戻れます。
写真と動画は撮れて、SNSに載せても構いません。ただし、ほかの来館者やスタッフが写ったものは載せないこと。三脚・一脚・脚立・自撮り棒・フラッシュは使えません。
館内で飲食はできず、飲み物はペットボトルや水筒など密閉できる容器のものだけ持ち込めます。同じビルの1階に飲食店とコンビニエンスストアがあります。館のショップだった天賞堂みなとみらい店は、2023年1月16日に閉店しました。
子ども連れには、子ども向けの「いちばんテツモパークみどころガイド」があります。おむつ交換台のあるだれでもトイレ、簡易授乳スペース(エントランスのスタッフに声をかける)、貸出用の車いす(2台、要予約)、コインロッカー(100円、返却式)もあります。ベビーカーで入れるかどうかは未確認なので、行く前に電話(045-640-6699)で確かめると確実です。
横浜駅からの行き方
最寄り駅は横浜駅と、みなとみらい線の新高島駅です。横浜駅東口から徒歩5分で、「はまみらいウォーク」を通れば階段を使わずに着きます。エレベーターの経路は、東口からポルタ(地下街)に降りてスカイビルまで進み、そごうとマルイの間から上がって「はまみらいウォーク」へ出る道順で、館のアクセスのページに載っています。
新高島駅からは2番出口を出て、みなとみらい大通りの横断歩道を渡り、日産グローバル本社の隣の横浜三井ビルディングへ。館の案内は徒歩3分、よくある質問のページは徒歩2分程度としています。
専用の駐車場はなく、同じビルの地下1階に有料の「三井のリパーク」があります(割引はありません)。自転車はビル正面の駐輪場が3時間まで無料、以後4時間ごとに100円です。
編集部の考え
館の紹介のページを読むと、模型の数や珍しさより、鉄の車輪、架線の電気、電気を切ったあとの惰力と、走り方の話が先に来ます。一番切符を開業の日に自分で買いに行った人が、模型でも本物と同じ走りを求めた。約1,500台の模型は、一人の技術者が何にこだわったかの記録として並んでいます。