厚木のとん漬は、豚肉に、店ごとに仕込んだみそを一枚ずつ塗り重ねて漬け込んだものです。小田急小田原線の本厚木駅から歩いて買える肉店と土産店があり、焼いて出す店も駅の近くにあります。文化庁が令和4年度の「100年フード」に認定した食べ物で、申請したのは厚木市です。
みそを一枚ずつ塗り重ねる
文化庁の100年フードの一覧には、厚木市が書いたとん漬の説明が載っています。「各店舗自慢の特製みそを一枚一枚丁寧に塗り重ね」、じっくり漬け込む、という作り方で、みそは店ごとに違います。厚木市の「あつぎ食ブランド」のページでは、事業者は厚木市食肉組合で、みそは組合の加盟店がそれぞれ独自に工夫したものを使う、とあります。
同じ厚木のとん漬でも、厚木市観光協会の各店のページを読むと、肉の田口は信州の米みそ・中京の豆みそ・九州の麦みそに厚木の地酒「盛升」を合わせたみそだれに漬け、波多野商店と牛肉の高橋は赤みそに漬けています。店の名前で味が変わる食べ物です。
あつぎとん漬のれん会は、平成22年に厚木市食肉組合と厚木食肉商業協同組合の協力で結成した会で、事務局は厚木商工会議所にあります。のれん会のページには焼き方があり、フライパンにクッキングシートかアルミホイルを敷いて蓋をし、中火で焦がさないように焼く、とあります。とん漬をマフィンにはさんだ厚木バーガーもあります。
幕末の荻野山中藩の客人に出した猪肉
認定の文には、とん漬の始まりが書いてあります。江戸時代の末ごろ、厚木市の近辺にあった荻野山中藩で人寄せがあり、客が多くて料理が足りなくなった。当時の武士は豚や猪のような四つ足の肉を嫌っていたので、何の肉か分からないようにして、「猪肉にみそを塗り焼いて出したところ美味しいと評判になった」のが始まり、と言われています。厚木市のお知らせも、のれん会の由来のページも、同じ話を載せています。
そのあと黒船が来て、横浜居留地の外国人のために豚が持ち込まれ、神奈川県で養豚が広がった。厚木市は300軒の養豚場が軒を連ねた、と認定の文で説明しています(いつの数字かは書かれていません)。豚肉店が増えるとともにとん漬も広まり、今は厚木の名産として知られる、という筋です。
波多野商店は、厚木市観光協会のページで「厚木名物とん漬発祥の名店」と紹介されています。同じページによると、明治になって豚肉の需要が高まる一方で食べる習慣がまだ根づいていなかったころ、豚の品種改良をしていた初代店主が、特産の豚肉をみそに漬けて「とん漬」として売り出したのがルーツです。藩の客人の話は厚木市が認定の申請で書いた伝聞で、店の話は観光協会が店の紹介で書いたものです。
令和4年度の100年フードに厚木市が申請
100年フードは、文化庁が、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する取り組みです。厚木のとん漬は令和4年度の「伝統の100年フード部門」に、厚木市の申請で認定されました。厚木市のお知らせでは、令和5年3月3日付の認定で、2回目にあたる令和4年度は90件の応募に対して70件が認定されています。
本厚木駅から歩いて買える店
厚木市観光協会がとん漬を買う店として挙げるのは、肉の田口、波多野商店の本店と本厚木駅前店、うすいファーム、牛肉の高橋です。市のアンテナショップのあつまると、JAあつぎの夢未市でも、市内の肉店が作ったとん漬を売っています。このうち本厚木駅から歩ける店は次のとおりです(営業時間と定休日は観光協会の各店のページから)。
| 店 | 本厚木駅から | 営業時間・定休日 |
|---|---|---|
| 波多野商店 駅前店 | 北口広場前の厚木ダイヤプラザビル1階 | 10時〜18時、日曜定休 |
| 波多野商店 本店(元町) | 東口から徒歩約11分(900m) | 10時〜18時、月曜定休 |
| 厚木市まるごとショップ あつまる | 東口から徒歩約3分(220m)、アミューあつぎ地下1階 | 10時〜19時、年末年始休 |
| 肉の田口(水引) | 北口から徒歩約14分(1.1km) | 10時〜19時、無休 |
波多野商店はとん漬の専門店で、本店はとん漬だけを売り、駅前店には切り落としやハムも並びます。肉の田口には贈答用のとん漬コーナーがあり、肉のグレードや枚数を選べます。あつまるは、とん漬のほかホルモンや地酒・地ビールなど厚木の土産を集めた店です。
うすいファームは養豚場の直売店で、本厚木の隣の愛甲石田駅からバスで約4分の「堤下」で降りて徒歩約3分。営業は11時〜18時、水曜定休です。牛肉の高橋は厚木バスセンターから「森の里」行きのバスで約25分の「宮地」で、営業は9時30分〜13時30分、水曜と日曜が定休です。
焼いたとん漬を食べられる店
のれん会の取扱店の一覧は、買える店と食事ができる店を分けています。食事ができるのは、旭町のホルモン亭 大ちゃん、厚木シロホルモン おひさま、厚木たちばな、厚木シロコロホルモン焼 千代乃、恩名の焼肉の田口 恩名店、飯山の東丹沢グリーンパークなどです。観光協会のとん漬のページも、おひさま、焼肉の田口 恩名店、大ちゃん、たちばな、東丹沢グリーンパークをとん漬を食べる店として挙げています。厚木バーガーは、同じ一覧では旭町のサガミパン工房 ブンブンで食べられます。
お取り寄せとふるさと納税
波多野商店はネットショップと電話・FAXで注文でき、折詰や樽詰を全国発送しています。牛肉の高橋とあつまるも全国への配送をしています。店を決めていないなら、楽天市場で厚木のとん漬を探すPRとAmazonの検索結果PRで、店ごとの品を並べて見られます。厚木市はふるさと納税の返礼品にもとん漬を出していて、厚木市のふるさと納税の返礼品PRから選べます。
小田急小田原線で本厚木駅へ
本厚木駅は小田急小田原線の駅で、隣は厚木駅と愛甲石田駅です。新宿・町田・海老名から同じ小田原線で来られます。ロマンスカーは一部の列車だけ停まり、はこねの一部と、御殿場線へ直通するふじさんが本厚木に停まる列車です。小田急の駅のページには、東口からホームへのエレベーターがあると書かれています。
編集部の考え
厚木のとん漬は、厚木市が文化庁に申請し、令和4年度の100年フードに認定された食べ物です。由来は幕末の荻野山中藩の客人に猪肉をみそ焼きで出した話で、認定の文でも伝聞の形です。作り方は店ごとの特製みそを一枚ずつ塗り重ねる。その店が、本厚木駅から歩ける範囲に、専門店の波多野商店、肉の田口、土産店のあつまると並んでいます。みそが店ごとなので、鉄道で来て駅から歩いて買い、帰ってから店の違いを比べられます。