2026年7月、碓氷峠鉄道文化むらはEF63形電気機関車の24号機に、青い「早寿」のヘッドマークを取り付けました。24号機と25号機が、この月で製造から50年を迎えたからです。茶色の「早寿」は代理として1号機に付け、どちらも7月中だけの掲出でした。
EF63は、横川と軽井沢の間の急な坂のために造られた、碓氷峠専用の補助機関車です。平成9年(1997年)に線路が廃止されたあとも、ここではEF63が走り、1日の講習に合格した人が自分で運転できます。館の紹介には「旧碓氷線の歴史を伝え、小さなお子様から鉄道ファンまで楽しめる、鉄道テーマパーク」とあります。
66.7パーミルの坂を上った碓氷線
碓氷線は明治26年(1893年)、ドイツのハルツ山鉄道にならってアプト式を取り入れ、トンネル26、レンガ造りの橋梁18を要する工事の末に開通しました。最大66.7パーミル、標高差553mの坂を上る路線です。明治45年(1912年)には日本初の幹線電化区間になり、昭和41年(1966年)に複線化とアプト式からの切り替えを終えると、EF63が峠の補機を務めるようになりました。
平成9年、長野新幹線の開通で、碓氷線は104年の歴史を閉じます。そのあとの経緯について、館の紹介には、旧丸山変電所やめがね橋、ED42形やEF63形は「後世に受け継ぐべき貴重な文化遺産」だとして、「旧松井田町やJR東日本の協力を得て」開村した、とあります。アプト式のED42形は、いまも園内で動く状態で保存されています。
鉄道資料館は、その歴史を見せる建物です。1階には碓氷峠の鉄道を模型で再現したHOゲージのジオラマがあり、1階と2階に碓氷峠と「峠越え鉄道」の文書や資料が並びます。

資料館2階の展示室には、2026年7月18日から11月3日まで小湊鐵道との合同企画の特別コーナーがあり、写真や記念きっぷ、鉄道の部品が並んでいます。8月には、台風7号・8号で被害を受けた小湊鐵道のためにこのコーナーへ募金箱を置き、「ご来園の際は是非とも小湊鐵道さまに皆さまのあたたかいご支援をお願い申し上げます」と呼びかけました。

展示館と屋外に並ぶ国鉄時代の車両
展示車両図鑑には30車両以上が載っています。鉄道展示館にはED42形をはじめ碓氷峠にゆかりの深い車両が入り、本物のEF63形の運転台を使った「碓氷峠運転シミュレーター」もあります。

屋外展示場・ビュウ広場は芝生の広場で、旧国鉄時代からの車両を「整備や塗装も往年の状態に復元して」並べています。EF58形172号機、DD51形1号機、特急「あさま号」の189系などで、館はお弁当を広げる場所としても案内しています。


EF63形の鉄道模型は、楽天市場のEF63の鉄道模型の一覧PRとAmazonの検索結果PRで探せます。見学のあとで、規格と値段の幅を比べられます。
EF63の運転体験
館はこの体験を「日本で唯一」と案内しています。動かすのは重量108tの本物の電気機関車です。まず毎月第3土曜日の学科実技講習(10:00〜16:30)を受け、修了試験に合格する必要があります。試験は3択または4択で10問、60点以上で合格で、落ちても当日中に合格するまで追試があります。講習料は一般30,000円、ファンクラブ会員29,000円で、受講日の7日前以降に取り消すと3,000円のキャンセル料がかかります。
申し込みは毎月最初の営業日の午前10時から、2か月先の講習を専用フォームで抽選受付します。8月31日には11月分の抽選受付のお知らせが出ました。ただ、講習の案内のページには、いまの予約フォームは「キャンセルが出たときのみ」使えると書かれています。
受講した日には運転できません。翌日に受講者用の運転枠が原則1人1回あり、その後は何度でも申し込めます。運転体験は1回7,000円、30回以上の人は6,000円で、予約はメールか電話です。回数に応じて「機関士見習」「補助機関士」「本務機関士」の腕章が贈られ、50回以上の本務機関士は推進運転や重連の運転もできるようになります。
講習の前日か当日の宿は、講習の申し込みのときに一緒に予約できます。館のアクセスの案内には、文化むらから徒歩1分の「碓日のお宿 東京屋」と、車で約2分の「くつろぎの郷」が載っています。ほかの宿は楽天トラベルの横川駅周辺のホテル・旅館の一覧PRで探せます。
トロッコ列車は廃止された下り線を走る
トロッコ列車は、平成9年に廃止された信越線横川〜軽井沢間の下り線を使い、園内から碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」まで約2.6kmを往復します。館はお知らせで「碓氷峠の勾配が体感できるトロッコ列車」と呼んでいます。運行は3月〜11月の土日祝日と8月のお盆時期で、月ごとの運行日はお知らせに出ます。乗車券は入園ゲートの受付で売っています。
園内には、1周約800mの「あぷとくん」と、1周約300mの「ミニSL」も走ります。
| 乗り物 | 中学生以上 | 小学生 |
|---|---|---|
| トロッコ列車 | 片道700円・往復1,200円 | 片道400円・往復600円 |
| あぷとくん | 500円 | 300円(4歳以上) |
| ミニSL | 300円 | 200円(4歳以上) |
トロッコ列車は、小学生未満なら大人1名につき2名まで無料です。あぷとくんとミニSLは3歳以下が保護者同伴で無料で、100円券11枚綴りで1,000円の回数券もあります。ミニSLでは土日祝日の12:10〜13:10に、6人まで1,000円の「ファミリー列車」の運転体験ができます。
入園とあぷとくん・ミニSL・トロッコ列車往復に1回ずつ乗れる「乗り物セット券」は、トロッコ列車の走らない平日が中学生以上1,550円・小学生900円、土休日かトロッコ列車の運行日が中学生以上2,600円・小学生1,450円です。個人向けで購入日だけ有効ですが、その日は何度でも再入園できます。
入園料と開園時間
入園料は中学生以上900円、小学生500円、小学生未満は保護者同伴で無料です。障害者手帳や療育手帳を持つ人とその介護者は、手帳を見せると16歳以上540円、16歳未満は無料になります。
開園時間は3/1〜10/31が9:00〜17:00(入園16:30まで)、11/1〜2月末が9:00〜16:30(入園16:00まで)です。休園日は毎週火曜日(8月を除く)と12/29〜1/4で、火曜日が祝日なら翌日が休園になります。
横川駅からの行き方
所在地は群馬県安中市松井田町横川407-16です。館の案内は「JR信越本線横川駅隣接」で、横川駅へは高崎駅から普通列車で約35分かかります。横川駅の時刻表を見ると、平日の高崎方面は10時台から13時台まで1時間に1本です。高崎のだるま市と組み合わせる人も、帰りの電車の時刻は先に確かめておくと安心です。

車なら上信越自動車道の松井田妙義インターから国道18号経由で約10分です。駐車場は乗用車220台・バス12台分で、入園者は無料です。館は、週末とお盆は大変込み合うので公共の交通機関を使ってほしいと呼びかけています。
食堂・車椅子・犬の同伴
園内の食堂「越後屋」の営業日は、月ごとにお知らせで案内されます。2026年9月は20日〜22日の3日だけで、営業時間は11:00〜14:00の予定でした。行く月のお知らせを見ておくか、ビュウ広場で食べるお弁当を持っていくと困りません。
車椅子やベビーカーでの利用、授乳室の有無は、公式サイトに案内が見当たらず未確認です。電話027(380)4163(代表)で事前に確かめてください。犬はリードを付ければ一緒に入園できますが、乗り物への乗車と建物内への入場は、バッグやカゴに入れても遠慮するよう案内されています。
めがね橋までアプトの道を歩く
横川駅と旧熊ノ平駅を結ぶ「遊歩道アプトの道」は、アプト式の時代の廃線敷を使った約6kmの遊歩道です。国の重要文化財の旧丸山変電所があり、6つの橋梁と10の隧道を通ります。トンネル内の照明は午前7時から午後6時までです。
碓氷第三橋梁、通称「めがね橋」は明治25年に造られた4連アーチのレンガ橋で、川底からの高さは31mあります。見学は無料で予約も要らず、階段123段を上れば橋の上に出られます。横川駅からアプトの道を歩いて約100分、または予約制の乗合タクシー「あんなカー」で停留所(91)めがね橋(碓氷第三橋梁)下車です。周りに街灯がなく、日が暮れると真っ暗になると安中市は注意しています。

編集部の考え
めがね橋や旧丸山変電所は、碓氷線を形として残しています。文化むらが残しているのは、その線路を越えるために造られた機械のほうで、EF63はいまも講習に受かった人の手で動きます。館が「1世紀を超える鉄道の歴史を、見て触れて体験してください」と書くときの「体験」には、本物の運転台まで入っています。館はいまも、製造50年を祝うヘッドマークを付けたり、台風で傷んだ小湊鐵道への支援を呼びかけたりしています。