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新居宿の餅菓子「すわま」。ひな祭りの菱餅の代わりに、家ごとの味で作られてきた

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青空の下に建つ新居関所の瓦屋根の建物。手前は砂利の広場と丸太のベンチ
国の特別史跡・新居関跡に残る関所の建物(湖西市新居町、2016年1月撮影) 写真: Abasaa(Public domain、Wikimedia Commons: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Arai_no_Seki_01.JPG)

静岡県湖西市新居町の「すわま」は、米粉に黒糖、砂糖、醤油、食塩などを混ぜて作る餅菓子です。大きめの小判形で、表面に2本の溝が入り、波形に見えます。古くからひな祭りに菱餅の代わりとして供えられてきた菓子で、令和4年度に、文化庁が地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する100年フードの伝統の100年フード部門に、一般社団法人湖西・新居観光協会の申請で認定されました。

認定の文は観光協会が書いたもので、家で作られてきたころの話を一言で言います。「家庭ごとに違った味がありました」。この一言が、今の売られ方にもつながっています。

江戸の「すあま」か、京の「洲浜」か

由来は観光協会が2つの説を挙げていて、どちらも伝聞のままです。一つは、材料や作り方から、江戸時代に江戸で生まれた和菓子「すあま」が起源ではないかという説。関東では縁起物として寿甘と書き、七五三や誕生祝い、結婚式で使うと協会は説明しています。もう一つは、関西の和菓子「すはま(洲浜)」が転じて「すわま」になったという説です。京都の「すはま」はきな粉などの豆粉を使う練り菓子で、断面が波形に見えることから家紋の州浜紋や砂浜の「州浜」から名付けられたと言われ、新居の「すわま」も、小判形の生地に箸を押し付けて付ける2本の波形が「州浜」を表しているのではないか、というのが協会の挙げる一説です。

いつ新居に伝わったかは、協会の2026年2月の記事に「いつごろ当地に伝わったのかは定かではありませんが」とあり、東海道を通って新居宿に伝わったといわれ、明治時代以降には一般の家でも作られてきました。認定の文は、この2つの言い伝えを、江戸と京を結ぶ東海道の中間点に近い新居宿ならではの「東西文化の交流を伝えるものとも言えます」と結んでいます。

菱餅ではなく「すわま」を供える

新居町地区では、桃の節句のお雛様飾りに菱餅ではなく「すわま」を供えてきました。親から子へ受け継がれてきた菓子ですが、今は家で作られることが少なくなり、市内の数店舗の菓子店とスーパーマーケットで売られています。昔は家ごとに味が違ったように、今は店ごとに味が違う、というのが協会の案内です。

認定が出たのは2023年3月3日でした。協会はその日のお知らせに「ちょうど、桃の節句ひな祭りの日に登録されたのも何かの縁かもしれませんね」と書き、普及と継承に関わってきた新居地域の人と、情報や商品を出した販売店に礼を述べています。

観光協会が挙げる取り扱い店

観光協会が「すわま」の取り扱い店として挙げるのは、卯月園、cafe&kichenきんたろう、まんじゅや、いさごやです。販売は季節限定の場合があると協会は断っていて、認定の文も「時期になると市内数店舗の菓子店で販売」とします。桃の節句の菓子として案内されていますが、何月から何月まで店に並ぶかは協会のページに書かれておらず、未確認です。行く前に店に電話で確かめるのが確かです。湖西・新居観光協会の窓口は海湖館の中にあり、火曜〜日曜の9時〜17時に開いています。休みは月曜(祝日なら火曜)と年末年始です。

各店の場所と営業時間は、観光協会の店のページによります。卯月園は新居関所の通り、旅籠紀伊国屋資料館の前にあり、営業時間は9時〜13時、水曜定休。看板の品は黒糖を使った焼き菓子「うず巻」です。菓子処まんじゅやは創業昭和元年の店で、新居関所から徒歩5分、営業は9時30分〜17時、月曜・火曜が定休。店内にできたての菓子を食べられる喫茶の席があります。いさごやは焼き印を入れたどら焼き「ロゴどら」の店で、営業は8時30分〜18時、水曜定休。cafe&kichenきんたろうは協会の店のページが見つからず、営業日時は未確認です。

新居町駅から新居関所へ

新居関所は、JR新居町駅の南口から西へ徒歩8分です。東京方面からはJR浜松駅で、大阪方面からはJR豊橋駅で乗り換えます。関所は慶長5年(1600)に今切の渡船場のそばに置かれ、元禄12年(1699)の暴風雨と宝永4年(1707)の地震津波で場所を移し、翌5年に今の場所に落ち着きました。関所では常時数十人の役人が交代で勤め、東海道を行き来する通行人と、江戸へ向かう鉄砲を取り調べていました。明治2年(1869)の関所廃止令のあと、面番所は小学校や役場として使われました。今の面番所は安政2〜5年(1855〜1858)に建て替えられたもので、全国で唯一現存する関所の建物として、国の特別史跡に指定されています。

開館は9時〜16時30分、休館は月曜(祝日は開館)と年末年始の12月26日〜1月2日で、8月は無休です。入館料は、湖西市のページ(2023年12月25日更新)では大人400円、小人150円。駐車場は無料で30台です。ボランティアガイドの説明を頼むなら、来館の10日前までに予約が要ります。史料館ではVRのタブレットを無料で貸し出しています。

関所から徒歩5分のまんじゅやは、駅からは徒歩15分と店のページにあります。関所の通りには卯月園と、その前に新居宿旅籠紀伊国屋資料館があり、資料館では毎年桃の節句の時期に合わせて、御殿飾りなどが並ぶ「ひなまつり展」が開かれます。資料館の開館は9時〜16時30分、休館は月曜(祝日は振替なしで開館)と年末年始で、8月は無休です。すわまが店に並ぶ季節と、ひなまつり展の時期は重なります。

編集部の考え

すわまの由来は、認定を申請した湖西・新居観光協会の記事でも二つの説のままです。江戸の「すあま」が材料と作り方の側から、関西の「洲浜」が2本の溝の形の側から、それぞれ説として挙がり、新居に伝わった時期は定かでないと協会の記事にあります。新居宿は江戸と京を結ぶ東海道の中間点に近く、関所では役人が東西を行き来する人を取り調べていました。家で作られることは少なくなり、今は卯月園、cafe&kichenきんたろう、まんじゅや、いさごやとスーパーマーケットが、店ごとの味で売っています。

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