豊橋ちくわは、愛知県豊橋市の焼き竹輪です。文化庁の100年フードに、令和6年度の伝統の100年フード部門で認定され、申請したのは一般社団法人豊橋観光コンベンション協会です。協会の申請文は、「両端が白く、真ん中が褐色に焼けた姿」の竹輪を思い浮かべてもらうところから始まり、「この焼き方を日本で初めて実施したのが愛知県豊橋でした」と書いて、この焼き方の竹輪を豊橋ちくわと呼んでいます。
その申請文に始まりの人物として出てくる吉田宿の魚問屋・佐藤善作を「祖先」と書くのが、ヤマサちくわです。会社概要の創業は文政10年(1827年)。豊橋駅の駅ビル「カルミア」に店があり、店舗案内(2026年5月25日付)では豊橋駅カルミア店が7:00〜21:00、無休です。ヤマサちくわの商品紹介は竹輪を商品ごとに説明していて、焼き色に触れているのは、焼き色を付けずに仕上げる「白ちくわ」です。
豊橋駅カルミア店と本店で買えるもの
ヤマサちくわの店舗案内(2026年5月25日付)では、豊橋駅カルミア店が7:00〜21:00、本店が7:00〜20:00で、どちらも無休です。本店の住所は魚町97。営業時間の確かめ先は、この店舗案内のページです。
商品紹介のページで通年の竹輪に挙がるのは、「昔ながら」の特製ちくわ、それより大きめで職人が石臼で擂り上げる特選ちくわ、芝鯛のすり身を竹串に巻く鯛竹輪、焼き色を付けずに仕上げる白ちくわなどです。特製ちくわは、ヤマサちくわが「最もポピュラーで人気のある商品」と書く竹輪です。白ちくわの焼き色が付かないのはみりんの使用を控えて焼くためで、肉厚で皮が比較的やわらかい、という説明が付いています。食べ方は、まずそのまま生で、というのがヤマサちくわのすすめで、おつまみやおやつ、お弁当のおかずや料理にも、とあります。鯛竹輪は、電子レンジで20秒ほど温めると竹串が抜けやすくなるそうです。
協会の土産の一覧には、ヤマサちくわの「手筒竹輪」があります。手筒花火の筒の姿を小さく写した竹輪の詰め合わせで、中身は特選ちくわ5本と豆ちくわ、生姜豆が1袋ずつ。販売場所は本店、カルミア、市内各店舗です。
販売店は箱根から比叡まで、遠方の客には通信販売
店舗案内には、販売店があるのは「箱根から比叡までの限定エリア」で、それが「豊かな味わいを損なうことなく届けられる範囲」だからだとあります。「ヤマサのこだわり」のページ(2025年8月1日付)の言い方では、製造から配送、販売までを自分たちで行う製造直販で、作りたてをその日のうちに配送するために販売する地域を限っている、ということです。
豊川稲荷のある豊川市には、豊川門前店(8:30〜17:00、無休)と豊川稲荷表参道店(8:30〜17:00)があり、表参道店の定休日の欄は「平日」です。名古屋には新幹線地下街エスカ店と松坂屋名古屋店、浜松には浜松メイワン店、三重には東名阪自動車道のEXPASA御在所店があり、店舗案内の販売店は愛知・静岡・三重の3県にあります。
通信販売もあります。直営の居酒屋「広小路でんでん」のページは、遠方に住んでいて来店が難しい客に通信販売を案内し、商品紹介のページには、期間限定の「四季のちくわ」に「ご購入はオンラインストアへ」とあります。
グチ、エソ、ハモのすり身を、天候に合わせて焼く
「ヤマサのこだわり」のページは、原料の魚から始まります。使うのはグチ、エソ、ハモで、工場でさばいてすり身にし、臼で練り合わせて味をととのえ、型に取って加熱します。「焼き加減も味を決める重要ポイント」で、「その時々の天候に合わせた調整」をはじめ、職人の技が味を決めるとあります。魚は獲れる時期や年によって味が違うので、毎回同じ味加減にはならず、職人の目と舌で味を保つ、というのがヤマサちくわの説明です。加熱して冷ました竹輪は、その日のうちに出荷されます。本社は豊橋市下地町にあり、社会貢献のページには本社で工場見学を受け入れているとあります。
金比羅宮の竹輪を手本にした、と協会とヤマサが書く始まり
協会の申請文では、始まりは「江戸時代末期」です。吉田宿(今の豊橋)で魚問屋を営んでいた佐藤善作が、四国の金比羅宮に参拝したときに名物として売られていた竹輪を食べ、それを参考に地元の魚で作ったのが始まり、とあります。ヤマサちくわの「ヤマサちくわの歴史」のページでは、善作は「ヤマサちくわの祖先」で、金比羅様に代参したときの竹輪は「なかなか目新しく、食べてみると味もいい」、海産物に恵まれた豊橋は原料の魚に事欠かないので帰ってすぐ製造に取りかかった、とあります。
同じ歴史のページには、販路の話があります。当時塩を運んでいた「塩の道」で魚の少ない信州にも売られ、徒歩か馬で運ぶ時代に一日でも長く保たせるために、竹輪の穴に塩を詰めて上からも塩を振った「塩漬けちくわ」が生まれた、谷川の水に一昼夜ひたして塩気を抜いたそうだ、というのがヤマサちくわの書き方です。協会の申請文のほうには、鮮度のよい魚から作る竹輪が東海道を中心に評判になって「東海道のお土産・贈り物」として人気が高まり、明治になって人の移動が鉄道に変わってからも「駅の立ち売りで人気を博しました」とあります。