学芸員が展示車両を1車種ずつ解説するツアーを、ロマンスカーミュージアムは2026年9月から2027年3月にかけて開いています。9月20日のモハ1に続いて、9月26日はSE(3000形)の回でした。SEは、1957年に登場し、狭軌鉄道として当時の世界最高速度145km/hを記録した車両です。
館の運営基本方針も、このSEに触れています。鉄道の技術や理念は社内で代々受け継がれてきたが、とりわけSEという先進的な車両を生んだ「進取」の気概は「今なお大事にされています」とあります。館は海老名駅の隣にあり、入館に予約は要りません。休館日は毎週火曜日、開館は10時から17時(最終入館16時30分)です。
「小田急」ではなく「ロマンスカー」という館名
ロマンスカーミュージアムは2021年4月19日、小田急電鉄が海老名市に開いた企業ミュージアムです。1927年の小田急線の開業以来、会社にとって初めての屋内の常設展示施設でした。それまで引退した車両は喜多見と海老名に保存し、ファミリー鉄道展などの催しの日に公開していました。いつでも見られる場所を作った、というのが館の成り立ちです。
運営基本方針は冒頭で、館名についてこう書いています。「“小田急”ではなくあえて“ロマンスカー”を館名に掲げています」。ロマンスカーは本来、小田急の特急に使う車両の総称ですが、沿線の人にとっては箱根への旅の思い出であり、通勤や通学で乗る日常の一部でもある、と方針は説明します。そのうえで館は、ロマンスカーそのものだけでなく、ロマンスカーで行く旅や、ロマンスカーが寄り添う日常にも価値を見出す、としています。
その考えは、資料の集め方にも出ています。館は乗車券や時刻表、沿線の観光案内のパンフレット、車内販売のメニューの寄贈を受け付けていて、「皆さまの思い出の品々が大切な歴史資料となります」と呼びかけています。
ギャラリーに並ぶ引退した6車種
ロマンスカーギャラリーには、引退したロマンスカー6車種が常設で並びます。一部の車両は内部にも入れます。
| 形式 | 走った年 | 展示と特徴 |
|---|---|---|
| SE(3000形) | 1957〜1992年 | 先頭車2両と中間車1両。狭軌鉄道の当時の世界最高速度145km/h |
| NSE(3100形) | 1963〜1999年 | 先頭車2両と中間車1両。小田急線で初めて展望席と2階の運転席を導入 |
| LSE(7000形) | 1980〜2018年 | 先頭車1両。直線的な形 |
| HiSE(10000形) | 1987〜2012年 | 先頭車1両。大きな窓とハイデッカー構造、連接台車も見られる |
| RSE(20000形) | 1991〜2012年 | 先頭車1両と中間車1両。JR御殿場線への乗り入れのために造られ、小田急線で初めて2階建ての客席 |
| VSE(50000形) | 2005〜2022年 | 展望席と車掌室のある50001号車(10号車)。“白いロマンスカー” |
VSEは2026年3月19日に展示が始まり、ギャラリーは6車種になりました。入館料だけで見られます。



冒頭の解説ツアーは、学芸員が車両の特徴や歴史を約15分話し、そのあと約30分、ふだんは入れない運転席や車掌室を含めて自由に見る形です。予定は、NSEが2026年11月、LSEが12月、HiSEが2027年1月、RSEが2月、VSEが3月。日程は決まり次第、館のお知らせのページに出ます。SEの回は参加費1,000円で、入館後に「体験型コンテンツ専用券売機」で申し込む形でした。
ギャラリーに並ぶ形式の鉄道模型は、楽天市場のロマンスカーの鉄道模型の一覧PRとAmazonの検索結果PRで探せます。
館にはほかに、小田急電鉄の始まりを見せるヒストリーシアターと、ミュージアムショップ「TRAINS」があります。ショップは入館した人だけが使えます。
ジオラマとシミュレーター
ジオラマパークには、新宿から小田原・箱根までの沿線を再現した鉄道ジオラマがあります。プロジェクションマッピングとオリジナルソングで見せるジオラマショー「時間と距離のロマンス」は約9分で、10時30分から16時30分まで1日9回。模型のロマンスカーと江ノ電を動かすジオラマ運転体験は100円で3分間、当日受付です。
運転シミュレーターのうち、引退したLSEの運転台を使ったロマンスカーシミュレーター「LSE(7000形)」は1回500円で、入館後に館内の券売機で買う当日券だけです。運転時間はおよそ10分で、全ての枠が売り切れたら受付を終えます。ロマンスカーシミュレーター Liteは1回300円。3号機は当日券ですが、1・2号機は「Webket」の会員登録とクレジットカード決済が要る事前チケットで、7日前の10時から売り出します。
キッズロマンスカーパークには、紙のロマンスカーを作って走らせる「こうさくしつ」(500円、3歳以上)と、大人と子どもが一緒に使う「ロマンスカーアスレチック」(大人200円・子ども300円、45分間)があります。アスレチックは子どもだけ、大人だけでは使えません。館のFAQによると、順路どおりに回って1時間から1時間半が目安で、体験を足すならもっと時間を見ておいてください。
屋上のステーションビューテラスからは、海老名駅と、隣の小田急電鉄海老名検車区が見えます。
入館料とチケットの買い方
| 一般 | 団体(20名以上) | 障がい者 | |
|---|---|---|---|
| 大人(中学生以上) | 1,100円 | 1,000円 | 550円 |
| 子ども(小学生) | 400円 | 300円 | 200円 |
| 幼児(3歳以上) | 100円 | 50円 | 50円 |
障がい者手帳を見せると、本人と同伴者1名が半額です。アプリ「ミライロID」も使えますが、画面で必要な情報が確かめられないときは手帳の原本を求められます。支払いは現金、交通系ICカード、各種クレジットカード。10名以上で行くときは団体予約のページから予約します。再入館はでき、そのときは当日の入館チケットを見せます。
小田急のアプリ「EMot」では、小田急線の各駅から海老名駅までの往復乗車券と入館券を組んだ「ロマンスカーミュージアム入館チケット(小田急乗車券付)」を2026年8月3日から売っています。新宿発は大人1,940円・子ども500円で、乗車券と入館券を別々に買うより200円安くなります。町田発は大人1,470円、小田原発は大人1,870円です。
館内での食事は控えるよう案内されています。ミュージアムカフェ「ビナキッチン」は入口が駅のペデストリアンデッキに面していて、入館しなくても使えます。撮影は個人で楽しむ範囲なら写真もビデオもでき、個人のアカウントでSNSに載せられます。ただし映像コンテンツとジオラマショーは、全部を動画で載せず1分程度にとどめるよう求めています。三脚・一脚・自撮り棒は使えません。コインロッカーは1回200円(現金のみ)です。
海老名駅からの行き方
館の入口は海老名駅のペデストリアンデッキに直結していて、駅から上下の階を移動せずに入館できます。公式サイトの目安は、小田急線の新宿駅から海老名駅まで約50分、小田原駅から約40分、相鉄線の横浜駅から約30分です。専用の駐車場はありません。提携するビナウォーク駐車場・ららぽーと海老名駐車場に停めた人は、入館時にインフォメーションで当日の駐車券を見せると、1時間無料のサービス券がもらえます。
館内の全てのエリアはエレベーターとスロープで移動できます。ベビーカーで動くときは必ずエレベーターを使う決まりで、ベビーカーの一時置き場もあります。車いすのままLSEのシミュレーターを使えますが、一部の展示車両は中に入りにくい場合があります。車いす対応のみんなのトイレは2階にあり、オストメイトに対応しています。授乳室のあるベビールームは男性も使えますが、授乳室は女性だけです。盲導犬・介助犬・聴導犬は同伴して入館でき、ペットは入れません。
編集部の考え
小田急電鉄の企業ミュージアムでありながら、館は会社の名前ではなく、沿線の人が箱根への旅や毎日の通勤で覚えている列車の名前を選びました。時刻表や車内販売のメニューも、寄贈で集めています。引退した6車種を学芸員の話と一緒に1車種ずつ見られるこの半年は、SEから続く「進取」を館がどう語るのかを聞ける機会です。