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trip-jp博覧会からミュージアム、寺社仏閣まで 横浜花博 2027 開幕まで 163日

みんぱくの日本展示:祭りの造り物から隣に暮らす人の祭壇まで

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国立民族学博物館の日本展示にある岩手県遠野市の鹿踊りの面装束
岩手県遠野市の鹿踊面装束<ししおどりめんしょうぞく>(1970年代収集)。背後の壁には日本各地の仮面が並ぶ 写真: Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

「近年では多くの外国人が私たちの隣人として生活をともにしています」。国立民族学博物館(みんぱく)の本館の日本の文化の展示は、こう紹介されています。その言葉どおり、神輿や太鼓台と同じ展示場に、東京都新宿区の在日インド人の家庭に伝わる聖母祭壇や、千葉県市川市のモスクで子どもが作った貼り絵も並んでいます。

館の案内によると、北海道から沖縄県まで南北に細長い日本列島は多様な自然に恵まれ、隣り合う文化と影響しあいながら地域ごとの文化を育ててきました。展示はそれを「祭りと芸能」「日々のくらし」「沖縄のくらし」「多みんぞくニホン」の4つの角度に分けています。

館長の関雄二は、館長あいさつに「文化を語るのは、もはや研究者だけでないことは、なかば常識化しています」と書いています。同じあいさつでは、館が50年近く集めてきた標本や映像を、提供した人や集団と共有して意味を問い直す取り組みを進めているとも述べています。

陶磁器や野菜で作る祭りの造り物

祭りの道具では、東京都中央区の神輿や愛媛県新居浜市の太鼓台のような大きな品もあります。

国立民族学博物館の日本展示にある東京都中央区の神輿国立民族学博物館の日本展示にある愛媛県新居浜市の太鼓台
東京都中央区の神輿<しんよ>(左、1933年ごろ製作)と、愛媛県新居浜市の太鼓台<たいこだい>(右、1978年収集)写真: Yanajin33(CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons)

同じ「祭りと芸能」には、身近な物を組み合わせて作る「一式飾り」や「造り物」があります。島根県出雲市の平田天満宮の祭り(毎年7月20・21日)では、町内ごとに陶磁器や洗濯用具、文房具など同じ種類の道具だけで一式飾りを作ります。熊本県山都町の矢部の八朔祭(毎年9月第1土・日曜)の大造り物は杉の葉や松笠、ススキなど野山の自然物だけで、富山県高岡市のつくりもんまつり(毎年9月22・23日)は野菜や乾物で作ります。材料は土地ごとに違いますが、地元にちなんだ話題や時事的な話題を題材に選ぶところは共通しています。

鹿児島県三島村の硫黄島で旧暦8月1・2日に行われる八朔太鼓踊りには、メンドンが現れます。踊り手の邪魔をしたり見物人をシバでたたいたりしますが、この日ばかりは「天下御免」です。とがめられるどころか、疫祓いになると出てくるのを待たれている、と展示の解説にあります。

国立民族学博物館の日本展示にある鹿児島県三島村のメンドンの面国立民族学博物館の日本展示にある山梨県甲府市の天津司人形
鹿児島県三島村のメンドンの面(左、2012年収集)と、山梨県甲府市の天津司<てんづし>人形(右、1978年製作)写真: 左・右ともYanajin33(左CC BY-SA 3.0・右CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons)

薬屋の看板とクマの罠

「日々のくらし」には、商いや仕事の道具が集まっています。薬屋の看板は、金棒を持った鬼の腹に「はらいたのくすり」と書いたもので、彫刻や漆工、金や銀の箔押しといった工芸の技が使われています。大漁祝着は、大漁だった年の漁期明けに網主や船主が漁師に配った祝儀の着物で、帯を締めずに着物の上から羽織ります。紺地や浅葱色の地に、大漁の文字や波の模様、鯛や鶴、亀などの縁起物をあしらっています。

富山県滑川市のクマ用の罠は、ドラム缶を使った仕掛けです。中にはちみつの容器を入れておき、クマが引っ張ると檻の扉が落ちます。ただ、クマは好奇心が強く、罠をもてあそんで入る前に扉を落としてしまうことがよくあるため、狩猟者は仕掛けに工夫をこらすといいます。

東北の温泉場で湯治客のみやげとして人気を集めたこけしも並びます。轆轤(ろくろ)で引いて作るこけしは、各地の温泉場の木地師が作るうちに、次第に産地ができていきました。

国立民族学博物館の日本展示にある長野県栄村・秋山郷の民家のいろり
長野県栄村・秋山郷の民家のすまいを再現した展示(1975年収集の資料による)写真: Yanajin33(CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commons)

漆器と糸満漁民のサバニ

沖縄は「工芸王国」といわれるほど工芸が多彩な土地です。展示には螺鈿(らでん)や堆錦(ついきん)、沈金(ちんきん)の技法を使った琉球漆器、壺屋(つぼや)を中心に発達した琉球陶器、首里織(しゅりおり)や紅型(びんがた)の染織品が並び、那覇市の喰籠(じきろう)は沈金で牡丹唐草を描いた漆器です。

石垣市のサバニは、沖縄の漁と交通を担った船です(石垣市立八重山博物館蔵)。解説によると、糸満の漁民は明治時代に入って、水中眼鏡の発明とそれにともなう潜水漁、追込網漁業(アギヤー)を取り入れて大きく伸びました。鰹漁が盛んになると、北は房総沖や福井沖、南は東南アジアまで漁場を広げています。

竹富町の掘りヘラは、限られた耕作地を使いこなしてきた沖縄の小さな農具です。硬い土質や鉄の不足などから、こうした小型の道具が発達したと解説されています。北谷町のエイサーの衣装も見られます。祖先供養のために村の中で踊られてきたエイサーは、「全島エイサー祭り」のような競演の芸能にも形を変えて、若者に受け継がれています。本土復帰の後は、商業的な芸能集団も現れました。

隣に暮らす人の祭壇と貼り絵

「多みんぞくニホン」は、日本で暮らす外国人住民の品を集めたコーナーです。東京に住むパキスタン人女性の民族衣装は、長い上着とズボンにストールを合わせ、腕輪やネックレス、イヤリング、額飾りを添えた装いで、普段着ではなくおしゃれ着に当たります。大阪市の在日コリアンの家庭では、布のしわをたたいて伸ばす砧(きぬた)が1960年代まで使われていました。

新宿区の在日インド人家庭の聖母祭壇について、解説は「遠く離れてはいても、故郷を想う気持ちはいつも変わらない」と書き起こしています。インドのキリスト教徒は、自宅や職場に聖母マリア像を祀るのが心のよりどころだといいます。市川市の行徳モスクでムスリムの子どもが作った貼り絵には、「アッラー」と書かれています。国境を越えて動く家族や国際結婚が増え、複数の文化や言語に触れて育つ子どもが増えていることが、この品の背景として説明されています。

観覧料と開館日

本館展示の観覧料は一般780円、大学生340円、高校生以下は無料です。開館は10時から17時(入館は16時30分まで)で、休館日は毎週水曜日(祝日なら直後の平日)と年末年始(12月28日〜1月4日)です。万博記念公園のゲートでみんぱくの観覧券を買うと、公園の中を無料で通れます。支払いは現金のほか、クレジットカード、電子マネー、QRコードが使えます。障がい者手帳を持っている人は、付き添いの1名と一緒に無料です。

吹田市に暴風警報などが出たときや、阪急電鉄・大阪モノレールが運休したとき、万博記念公園が休園したときは、臨時に休館することがあります。天気が崩れそうな日は、出かける前に館の案内を見ておくと確実です。

2026年は11月14日(土)・15日(日)が「関西文化の日」の無料観覧日です。12月15日までは特別展示館で特別展「沙流川に生きる」が開かれていて、その観覧券(一般1,200円)でも本館展示を見られます。駅からの行き方はみんぱくの記事にまとめてあります。無料観覧日に朝から入るなら、宿は楽天トラベルの万博記念公園駅周辺のホテル・旅館の一覧PRで探せます。

編集部の考え

日本の展示というと、昔の祭りや農具を思い浮かべがちです。みんぱくの日本展示は、そこに2013年に集めた在日パキスタン人の衣装やモスクの子どもの貼り絵を同じ重さで置き、今の日本に暮らす人の品も「日本文化の様相」に数えています。館長が書いた「文化を語るのは、もはや研究者だけでない」という考えは、祭壇の解説を移民の気持ちから書き起こすような形で、この展示場に出ています。

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