かてめしと桑都焼きは、八王子の学校給食に出てきた「ふるさと料理」です。かてめしは古くから伝わる料理、桑都焼きは八王子の特産品の桑の葉を使った料理で、市内の学校給食の栄養士が世代を超えて受け継いできました。文化庁の令和5年度の「100年フード」に、八王子市教育委員会の申請で認定されています。
給食の栄養士が受け継いできた料理
文化庁の100年フードの一覧には、八王子市教育委員会が書いた認定の文が載っています。かつて養蚕が盛んだった桑都・八王子には、里山や畑でとれる地場食材をふんだんに使い、地域の歴史文化にも触れられる、ふるさとで生まれた料理がある。例として挙がるのが、古くから伝わる「かてめし」と、地域ゆかりの桑の葉を使った「桑都焼き」です。桑の葉は八王子の特産品だ、と文は続けます。
八王子の学校給食は、子どもたちに歴史文化や伝統、郷土の魅力を伝えながら地域への愛着を育てることを目標に、このふるさと料理を栄養士が世代を超えて受け継ぎ、生産者の協力で出してきました。認定の文は「学校給食がふるさとの食文化を絶やさず受け継ぎ」、家庭や地域にも伝えながら、この先も「桑都・八王子の誇れる文化」を未来へ紡ぐ、と結んでいます。給食で受け継いできた献立を、家庭と町にも伝えていくという申請です。
日本遺産ポータルサイトの2024年3月26日のお知らせには、八王子の給食のふるさと料理として、かてめしと桑都焼きのほかに、そうめんを絹糸に見立てた「絹のお吸い物」も挙がっています。100年フードに認定されたのは、このうちかてめしと桑都焼きの2品です。
令和5年度の未来の100年フード
100年フードは、文化庁が、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する取り組みです。「桑都・八王子のふるさと料理〜桑都焼き・かてめし〜」は、令和5年度の「未来の100年フード部門」に認定されました。申請者は八王子市教育委員会で、日本遺産ポータルの文では、この部門は地域で100年続く食文化として受け継いでいくことを目指すもの、とあります。
家庭に配ったレシピ
認定の文によると、八王子市は日本遺産の認定を機に、ふるさと料理のレシピを家庭に配りました。レシピは市民にも親しまれ、飲食店などでも提供されている、とあります。市の学校給食課の「これまでの取組」のページにも、桑都・八王子の「ふるさと給食」の日本遺産献立のレシピを配布している、という項目があります。ただ、市のふるさと料理のページとレシピ配布のページは、2026年10月7日の時点で市のサイトから開けず、いまの配り方は未確認です。認定の文もポータルの文も、出している飲食店の名前は挙げていません。
11月3日の料理教室で作るかてめし
市の学校給食課は、2026年11月3日(火・祝)に「100年フードでつながる 八王子×青森 料理教室」を開きます。会場は学校給食センター元横山(はちっこキッチン元横山、元横山町1-29-18)で、JR八王子駅から徒歩15分、最寄りのバス停は「浅川大橋南」です。時間は9時30分から13時30分まで、定員24名、参加費は1人500円で当日に現金で集めます。小学4年生までの子どもが参加するときは保護者が同伴します。
作る料理は、かてめし(桑都御膳から)、イカメンチ桑都ソースがけ、八戸せんべい汁、青森りんごゼリーの4品です。青森県八戸市から八戸せんべい汁研究所の木村聡所長を講師に招き、せんべいを「ベンツ割り」する体験もあります。市のページは「八王子と青森の食文化を、作って・食べて・楽しく学べる料理教室です」と案内しています。桑都焼きはこの日の料理には入っていません。
申し込みは専用フォームだけで、期間は10月5日から10月23日まで。定員を超えたときは抽選で、参加できるかどうかは10月27日にメールで届きます。キャンセルの締切も10月23日の17時までです。
桑都と絹の道
八王子市は日本遺産「霊気満山 高尾山〜人々の祈りが紡ぐ桑都物語〜」の町です。桑都物語の公式ポータルサイトによると、八王子はその昔に養蚕や織物が盛んだったことから「桑都(そうと)」と呼ばれていました。戦国時代の末に北条氏照が城下町を築き、江戸時代には絹産業を基盤に甲州道中最大の宿場町になった。幕末から明治期には、周辺の産地から八王子宿に集まった生糸が、輸出のために「絹の道」を通って横浜へ出荷された、という経緯です。養蚕農家は蚕を鼠から守る護符を薬王院に求め、絹産業と高尾山の信仰が結びついていきました。
桑都物語の構成文化財は30件で、八王子城跡、高尾山、絹の道(浜街道)、八木下要右衛門屋敷跡(絹の道資料館)、多摩織、八王子の獅子舞などが入っています。上の写真の絹の道資料館は、このうちのひとつです。
八王子駅から桑都の杜へ
八王子の歴史を見る場所は、2026年10月3日に八王子駅南口に開いた複合施設「桑都の杜(そうとのもり)」の八王子歴史・郷土ミュージアムです。住所は子安町三丁目26-1で、八王子駅南口から徒歩10分、京王片倉駅から徒歩8分。バスは京王バスの「とちのき坂」で降ります。1階に展示室と収蔵展示室、郷土ラボ、ものづくり体験室があり、2階はいこいライブラリとカフェです。
市の郷土資料館のページによると、上野町の郷土資料館の展示場は2021年3月31日に、桑都日本遺産センター 八王子博物館は2026年3月31日に閉館し、新しいミュージアムに移りました。2026年10月14日から12月27日までは、桑都の杜の中でテーマ展「江戸文化と八王子」が開かれ、ミュージアムの入館料は300円、特別展も見るときは800円です。料理教室の給食センターは、同じJR八王子駅から徒歩15分です。
編集部の考え
かてめしと桑都焼きは、八王子市教育委員会が文化庁に申請し、令和5年度の未来の100年フードに認定された給食の献立です。養蚕が盛んだった桑都・八王子の地場食材を使う料理を、学校給食の栄養士が世代を超えて受け継ぎ、生産者の協力で出してきた。これが認定の文の中身です。市は日本遺産の認定を機にレシピを家庭に配り、2026年11月3日には、JR八王子駅から徒歩15分の給食センターで、市民が講師とかてめしを作ります。八王子の給食で育っていない人がこの味を知るには、この日に自分で作るのが近道です。