日本政府苑は、GREEN×EXPO 2027の会場でいちばん広い、2.5ヘクタールの出展区画です。国土交通省と農林水産省が「日本の自然観を再考し、未来へ進む」というコンセプトで出展し、展示運営の実務は公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会(GREEN×EXPO協会)が担っています。会場は横浜市瀬谷区、和泉川の流頭部にあたる一角で、庭園「令和日本の庭」と、東西2棟に分かれた高床式の木造展示館で構成されます。
建設工事の起工式は2025年11月2日に行われ、2026年3月19日には日本政府苑の公式サイトが開設、5月22日には展示概要が公表されました。協賛は2025年12月25日から、2026年7月14日には政府苑で働くガイドクルーの募集も始まっています。
起工式(2025年11月2日)、省庁トップと横浜市長が鍬入れ
起工式は2025年11月2日(日曜)13時から14時まで、横浜市瀬谷区の会場内・日本政府出展予定地で開かれました。主催は国土交通省と農林水産省、共催は公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会です。
主催者挨拶は、国土交通大臣兼国際園芸博覧会担当大臣の金子恭之氏と、農林水産大臣の鈴木憲和氏。来賓祝辞は横浜市長の山中竹春氏と神奈川県副知事の橋本和也氏、協会挨拶はGREEN×EXPO協会会長の筒井義信氏が務めました。政府出展の概要説明は、日本政府出展推進会議チーフディレクターで東京農業大学名誉教授の蓑茂壽太郎氏です。
内閣総理大臣の高市早苗氏の挨拶のあと、高市総理、金子大臣、鈴木大臣、井野経済産業副大臣、山中市長による鍬入れが行われました。高市総理はこの挨拶で、秋篠宮皇嗣殿下がGREEN×EXPO 2027の名誉総裁に就任したことを発表しています。式では種まきセレモニーと花いけパフォーマンスも行われました。
政府苑を率いるのは造園学者、ディレクター3人も庭園・企画の専門家
チーフディレクターの蓑茂壽太郎氏は、造園学・環境計画を専門とするランドスケープ研究者です。東京農業大学名誉教授・農学博士で、同大学の教授・副学長、熊本県立大学の初代理事長、一般財団法人公園財団の理事長などを歴任し、2019年に日本造園学会上原敬二賞を受賞しています。
ディレクターは3人です。井上敏宏氏は京都の老舗造園会社「植芳造園」の専務取締役で、伏見稲荷大社の「社務所庭園」や、世界文化遺産の元興寺の伽藍景観整備など、神社仏閣の作庭を手がけてきました。桐山昇一氏は展示企画会社「ボン・プランニング」の代表取締役で、2027年国際園芸博覧会政府出展計画検討会の委員も務めています。保清人氏は「ロスフィー」取締役で、登録ランドスケープアーキテクトとして国連と砂漠緑化を進め、2023年から2024年のドーハ国際園芸博覧会では日本国屋外出展のプロデューサーを務めました。
日本が国際博覧会に初めて公式出展したのは、1873年のウィーン万博です。明治政府はこのとき日本庭園を造営しました。1990年の大阪花博(国際花と緑の博覧会)でも、政府出展は「テーマ出展」と「日本国出展」の二つの役割を担い、展示館と庭園、広場からなる区域全体を「政府苑」と呼びました。いけばなや盆栽を含む日本の花き文化の世界的な広がりにも貢献したと、政府出展の基本計画は振り返っています。

「令和日本の庭」といけばな・盆栽
政府苑の庭は「令和日本の庭」といいます。和泉川の流頭部という立地と周囲の自然環境を踏まえ、水循環や地域の植生回復などのグリーンインフラを取り入れた庭で、伝統ある日本庭園の文化と技術を踏まえながら令和の時代表現につなげる構成です。展示館は東西分棟の高床式木造建築で、土壁など、この地域になじむ意匠を採り入れています。
展示館では、日本いけばな芸術協会に所属する各流派の家元らが、6つの花型のうち期間ごとに1つの作品を展示する予定です。協力流派には草月流、池坊、龍生派、小原流などの名が挙がっています。盆栽は、宮内庁が皇居大道庭園で管理・継承してきたものを2回入れ替えて展示する計画です。公式サイトが示す盆栽のうち、樹齢390年の黒松「鹿島」は1970年の日本万国博覧会にも出展された盆栽です。樹齢340年の檜は、悠仁親王殿下のご成年式で宮殿に飾られた盆栽で、外部での展示は今回が初めてです。
大阪・関西万博からの資材やレガシーを受け継ぐ展示は、GREEN×EXPO 2027の各所にあります(大阪・関西万博からの継承)。日本政府苑はこれとは別に、国が新しく整備する展示です。
協賛の募集は2025年12月25日から
日本政府苑の協賛は、国土交通省と農林水産省が公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会を事務局として、2025年12月25日から募集しています。協賛の方法は、資金提供・物品提供・役務提供・無償貸与の4つです。項目は、屋外の暑熱対策、屋内展示で使う機材、スマート農業に関連する資材や設備、探究プログラムなどへの支援を想定していて、政府苑の計画の進み方に合わせて更新するとしています。受付は日本政府苑事務局(GREEN×EXPO協会内)が担当し、申込に必要な様式は国土交通省と農林水産省のホームページで確認できます。
A1 の園芸博で、二つの省がつくる政府苑
GREEN×EXPO 2027は、国際博覧会に関する条約に基づき博覧会国際事務局(BIE)が直接認定する一般の国際博覧会ではなく、国際園芸家協会(AIPH)の承認を経てBIEの認定を受ける、最上位クラス(A1)の国際園芸博覧会です。日本政府苑は、都市公園を担う国土交通省の都市局と、花き産業を担う農林水産省の部局がつくります。