「East i(イーストアイ)」は、新幹線の線路や電気設備を走りながら調べるJR東日本の検測車です。2002年に導入されたE926形で、6両編成、最高275km/hで走ります。乗客が乗車券を買って乗れる列車ではなく、運転日もJR東日本から公表されていません。在来線用には、電化区間を担当する「East i-E」と、非電化区間を担当する「East i-D」もあります。東海道・山陽新幹線を走る「ドクターイエロー」とは別の会社・別の区間の車両です。それぞれの役割と、公式に会える機会をJR東日本の発表から確かめます。
東北・上越・北陸・山形/秋田新幹線を検測するEast i(E926形)
新幹線用のEast iは、正式には「新幹線電気・軌道総合検測車」、車両形式はE926形です。JR東日本の説明によると、2002年にE3系車両をベースとして導入され、最高275km/hで走行しながら検測できます。編成は6両で、JR東日本が2026年7月14日に発表した後継車両との比較表で示されています。

検測する区間は、東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線・山形新幹線・秋田新幹線です。東海道・山陽新幹線は含まれません。ドクターイエローが担当する区間とは重なりません。
測っているものは、軌道(レールのゆがみを調べる軌道変位検測装置、動揺加速度計、軸箱加速度計)、電力(トロリ線の摩耗などを調べるトロリ線状態測定装置、架線相互離隔測定装置、パンタグラフ衝撃検出装置、硬点検出装置)、信号・通信(信号検測装置、通信検測装置)の3分野です。JR東日本が2026年7月14日に公表した後継車両との比較表に、それぞれの装置名が並んでいます。
在来線を検測するEast i-E(E491系)とEast i-D(キヤE193系)
在来線にも、JR東日本版のドクターイエローにあたる車両が2種類あります。East i-E(E491系電車)は交直流電車3両編成で、電化区間を走行しながら電界強度の測定や前方の画像データ取得などを行います(JR東日本の公式メディア「JRE メディア」の説明)。
East i-D(キヤE193系気動車)は、線路に電気を流していない非電化区間を担当します。JR東日本エリア内の非電化区間だけでなく、私鉄や第三セクター鉄道の検測も行っていると案内されています。


乗れない車両で、運転日も非公表
3種類のEast iは、いずれも事業用の検測車両で、乗客向けの乗車券や座席は発売されていません。目的地までの移動手段として使うことはできません。
運転日についても、JR東日本は「運行ダイヤは非公表となっていますので、偶然駅で見学できるとラッキーですね」と案内しています。あらかじめ運転日や通過時刻を公式に調べる手段は用意されておらず、狙って見に行くことはできません。
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会えるのは新幹線総合車両ベースの車両基地まつりなど
駅で偶然見かける以外に、公式に会える機会も用意されています。ひとつは、宮城県利府町にある「新幹線総合車両ベース」(以前は新幹線総合車両センターの名称でした)で毎年10月ごろ開かれる「新幹線車両基地まつり」です。事前購入の入場チケットが必要なイベントで、2025年10月25日開催の第37回では、保線の仕事を紹介するブースで「East-i」が取り上げられました。
2025年の第37回は、9時30分から14時30分(最終入場13時45分)の開催で、最寄り駅は東北本線の新利府駅、駅と会場は直結でした。高校生以下・65歳以上・利府町在住の人は入場無料でしたが、それ以外は事前購入の入場チケットが必要でした。JR東日本仙台事業本部は2026年9月11日、第38回を2026年10月24日(土)10時から14時30分まで同会場で開くと発表しています。JRE MALLチケットのイベントページに出た案内では、開催は10時から14時30分(最終入場13時45分)で、事前購入の入場チケットが必要、駐車場はありません。目玉はE8系新幹線との綱引きなどで、2026年10月2日の時点では、East iの展示や紹介はこのページに書かれていません。参加する場合は当日までに最新の案内を確かめてください。
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もうひとつは、JR東日本が運営する予約サイト「JRE MALLチケット」で、East iの見学イベントが不定期に販売されることです。JR東日本は「大人気で毎回完売するイベント」と案内しており、こまめにサイトを確認する必要があります。
ドクターイエローとは会社も検測区間も違う
「ドクターイエロー」は、JR東海が持つ923形T4編成とJR西日本が持つ923形T5編成のことで、東海道・山陽新幹線を検測します。当サイトの別記事で確かめたとおり、T4編成は2025年1月に検測走行を終えて引退済みで、T5編成も2027年1月に検測運転を終える予定です。
East iはJR東日本の車両で、検測する区間も東北・上越・北陸・山形・秋田新幹線と、ドクターイエローの区間とは重なりません。運転日が非公表という点は共通していますが、会社も担当区間も別の車両です。
この2つを1冊で見比べるなら、『ドクターイエロー&East i 新幹線事業用車両徹底ガイド 改訂版』PR(新幹線EX編集部、イカロス出版、2024年)があります。923形とE926形を中心に、新幹線の安全運行に欠かせない検測車両・事業用車両を写真と資料で紹介する本で、かつて走っていた検測車両の解説も入っています。
後継のE927形「SOAR」は2029年度に登場予定
JR東日本は2025年10月7日、East i(E926形)の後継となる新しい新幹線専用検測車の開発に着手したと発表しました。2026年7月14日には、その車両の形式名がE927形であること、デザインと愛称「SOAR(ソアー)」が決まったことを発表しています。
JR東日本が公表した比較は次のとおりです。
| 項目 | East i(E926形) | E927形「SOAR」 |
|---|---|---|
| 編成 | 6両 | 7両 |
| 最高速度 | 275km/h | 320km/h |
| 検測開始 | 2002年 | 2029年度予定 |
| 検測区間 | 東北・上越・北陸・山形・秋田新幹線 | 同じ区間 |
次期秋田新幹線車両(現行のE6系の後継)をベースとした新在直通車両で、デザインはEast iの白を基調にした外観を引き継ぎつつ、赤系統と緑系統の色を配しています。
新しく積む検測装置も発表されています。台車に複数のセンサを付け、車輪とレールの間にかかる力を推定する「PQ推定システム」と、1号車・7号車の前頭部と3号車の側方・天井に計48台のカメラを置き、設備の状態や沿線環境を撮影する「新幹線車上撮影装置(仮称)」です。JR東日本は、これらをもとに320km/hでの検測を行うのは国内初の取り組みだとしています。
デザインと愛称は、JR東日本グループの社員から募った案から選ばれました。デザインを考えた社員と、E10系のデザインを担当したtangerine社が連携し、2026年秋ごろを目指して実車の細部を仕上げるとしています。愛称「SOAR」は商標出願中で、ロゴなどは今後検討される予定です。
編集部の考え
East iは、ドクターイエローほど知られていません。けれど運転日を教えないという扱いは同じです。駅で待っても会える保証がない以上、確実さがほしいなら、車両基地まつりの日にちを手帳に書いておくほうが早いと思います。
E927形「SOAR」への交代はすでに2029年度と決まっています。E926形のEast iを見ておくなら、残された年数は思ったより少ないはずです。引退の具体的な日は、2026年9月19日時点でJR東日本から発表されていません。