嬉野温泉湯どうふは、豆腐を持ち帰って普通の水で煮ても、白く濁った汁にはなりません。とろけるのは嬉野の温泉の湯で煮るからだと観光協会は説明していて、温泉の成分が豆腐のたんぱく質を分解します。嬉野では旅館の朝食や昼のセットで食べられ、家で同じ汁にしたいなら温泉とうふ用の調理水を開発した佐嘉平川屋の取り寄せがありますが、調理水が付く品かどうかは注文の前に品ごとの頁で確かめてください。
温泉の湯で煮ると豆腐がとろけ、汁が豆乳の色になる
豆腐を温泉の湯でことこと煮ると、嬉野温泉観光協会の頁にあるとおり「煮汁が豆乳色に変わり、とろとろの豆腐に仕上がります」。
鍋に入れるのは、主に嬉野産の大豆フクユタカを使う木綿豆腐「嬉野温泉湯どうふ」です。協会によれば、大豆はほどよい大きさで形の整ったものだけを選り分けて使い、町内の福田豆腐店、藤川豆腐店、大正屋湯どうふ本舗、豆匠よこ長、このめの里の5店が作っています。
文化庁の100年フードに出された申請の文には、煮上がった豆腐は「淡雪のような」食感だとあり、申請の文が「食通であった」と紹介する昭和の俳人、種田山頭火の日記も引かれています。申請の文が引く日記で、嬉野に逗留した山頭火は、温泉の湯で煮るこの湯どうふを嬉野温泉独特のものとして挙げ、「汁が牛乳のやうになる」、あっさりしてうまい、これが「ホントウのユドウフ」だと書きました。
旅館の朝食と昼のセットで食べる
申請の文によれば、湯どうふは今も旅館の朝食や町の飲食店の定番の献立です。観光協会によれば、嬉野旅館組合に入る25の旅館やホテルなどで、この豆腐を使った料理が出ます。泊まらずに食べるなら、協会の「温泉湯どうふ」の店の一覧のうち、紹介文に湯どうふの名前が出てくる次の店が手がかりになります。
- 旅館吉田屋「虚空蔵」: 温泉湯豆腐と、佐賀牛のしゃぶしゃぶやステーキを個室のダイニングで出します。営業は12:00〜15:00(ラストオーダー14:00)、不定休と載っています。
- 新八寿司: 寿司といけす料理の店で、昼は温泉湯豆腐とにぎりのセットがあり、1,300円と紹介されています。
- 宗庵よこ長: 紹介文で、自家製の豆腐を使う温泉湯どうふの「発祥の店」と名乗っています。豆腐を作る5店の豆匠よこ長と同じ「よこ長」の名ですが、二つの関係は協会の頁に書かれていません。
- 志津: 店のおすすめに、活魚の造りやあらかぶ味噌汁と並べて湯どうふを挙げています。
- 有明寿司: 昼のサービスメニューに、ちらしずしと温泉湯豆腐のセットがあり、880円と紹介されています。
新八寿司と有明寿司の値段も虚空蔵の営業も、協会の店の紹介に載るもので、いつ載せたかは書かれていません。虚空蔵のほかは営業時間も載っていません。一覧には紹介文に湯どうふの名前が出てこない旅館や店も載っているので、そうした店で湯どうふを目当てにするなら、献立は店に尋ねることになります。
嬉野温泉までの行き方
電車で向かうときの乗り換えとバスは、嬉野温泉へ電車で行くの記事に順を追って書いています。
5つの豆腐店から持ち帰る
持ち帰った豆腐を家で煮るときは、温泉の湯か、代わりになる水を一緒に用意することになります。
協会の頁の製造元の欄には、5店それぞれに「お持ち帰り・宅配可」と添えてあります。店先で探すときの目印は、協会の案内では「嬉野温泉湯どうふ」と書かれたパッケージです。
5店のうち大正屋湯どうふ本舗は、嬉野町大字下宿乙2302-3に店を構え、駐車場もあります。店では「とろける湯どうふセット」を売っていて、協会の一覧に載る店の紹介文では、「とろける」のは嬉野温泉湯どうふだけだと名乗り、土産にも家庭用にも勧めています。5店の豆腐やセットに温泉の湯が付くかどうかは、協会の頁にも店の頁にも書かれておらず未確認で、家で溶かして食べるなら買うときの確認になります。
温泉とうふ用の調理水を開発した店から取り寄せる
町の5店とは別に、佐賀県産の大豆で豆腐を作る佐嘉平川屋も「温泉湯豆腐」の名で豆腐を売っていて(5店が作る「嬉野温泉湯どうふ」とは作り手の違う品です)、観光協会の「温泉湯どうふ」の一覧にも、買い物と食事のできる店舗として載っています。店の頁には、全国の家庭でも嬉野の味を楽しめるように、嬉野温泉と同質の「温泉とうふ用調理水」を店の二代目が開発したとあります。店の説明では、この水で湯どうふにすると豆腐が溶け出し、汁が白く濁ります。
2026年10月28日に店の頁で見た品と値段は次のとおりです。AGとAGPの4品の品名には、佐賀県産大豆使用と添えてあります。値段が税込かどうかは頁に書かれていません。
| 製造者 | 品名 | 量の目安 | 値段 |
|---|---|---|---|
| 佐嘉平川屋 | 温泉湯豆腐 AG2 | 2〜3名様分 | 2,700円 |
| 佐嘉平川屋 | 温泉湯豆腐 AG3 | 3〜5名様分 | 3,240円 |
| 佐嘉平川屋 | 温泉湯豆腐 AGP3 | 3〜5名様分 | 3,780円 |
| 佐嘉平川屋 | 温泉湯豆腐 AGP4 | 4〜6名様分 | 4,860円 |
| 佐嘉平川屋 | 温泉湯豆腐 白だし付き6個セット OS-6 | 6個 | 4,968円 |
どの品に調理水が入るかは品名に書かれておらず、AGとAGPの違いや重さ、保存の仕方もこの頁には載っていません。白い汁の鍋にしたいなら、調理水が付くかを品ごとの頁で見てから注文することになります。
店は、店の言い方で「地元では朝食として食べられていた」湯どうふを、まず湯どうふで、次に白く濁った汁を出汁にした鍋で、〆に雑炊で、と一度に三度食べる鍋料理に組み直しました。合わせるタレも一から作ったものです。ほかの店の温泉湯豆腐も見比べるなら、嬉野の温泉湯豆腐を楽天市場で探すPRから一覧を開けます。
長崎街道の旅人が食べた湯どうふ
観光協会の説明では、豆腐の製法は遣唐使が日本にもたらしたと伝わり、嬉野の里で手が加えられて今のとろける湯どうふになりました。長崎街道の宿場町として栄えたころから、旅人が温泉と湯どうふで旅の疲れを癒したとも伝わります。嬉野温泉湯どうふは、文化庁の100年フードで、令和6年度に伝統部門で認定を受けました。