昭和の初めの山形で、多くの農家が緬羊を飼っていたのは、羊毛を取るためでした。戦後にビニールなどの化学繊維が広まって羊毛が暴落すると、農家は行き場のない羊を抱えます。その羊を山形の鋳物工場に頼んだ鉄鍋で焼いたのが蔵王温泉のジンギスカンの始まりだと、蔵王温泉観光協会の申請の文とふもとの店は説明しています。
いま食べられるのは、ふもとの山形市蔵王半郷にあるジンギスカン・シロー(特上2,000円)と温泉街のろばたで、シローからは羊肉とたれを取り寄せられます。
羊毛が暴落して行き場をなくした羊
鍋の形は、モンゴルの鉄兜で焼く羊料理を手本にしました。癖のある肉を食べやすくするたれも工夫して、昭和24年に新日本観光地百選の山岳の部で1位に選ばれた蔵王温泉の名物料理にと、ジンギスカンが考えられました。ここまでは、観光協会の申請の文とシローの頁が同じ筋で書いています。文化庁の100年フードには、観光協会の申請で令和4年度に未来の部門で入りました。
シローの説明によると、初代の斎藤恒夫さんの伯父で日本緬羊協会の会長としてオーストラリアから羊を輸入し、県の内外に飼育を勧めていた斎藤忠右衛門が、モンゴルに渡ったときに、中央が盛り上がった円盤状の鉄兜に羊の肉をのせて焼く料理を見ていました。恒夫さんはシベリアに抑留され、昭和22年10月にようやく帰国して堀田村へ戻ります。当時の村長だった伯父の忠右衛門から勧められたのが、羊料理でした。
シローの頁には、その先に、蔵王温泉の各旅館の女将さんたちにたれの作り方を教えるなどして広めた、ともあります。
鉄鍋で焼くいまの形について、シローの頁には「諸説もありますが」と前置きして「蔵王温泉で誕生したといわれております」とあり、ろばたの頁も「ジンギスカンのルーツは諸説あります」と断っています。元祖の語も、シローは店の名に掲げ、蔵王温泉観光協会の頁はろばたを元祖と紹介しています。
ふもとのシローと温泉街のろばたで食べる
シローの住所は山形市蔵王半郷で、温泉街の山形市蔵王温泉とは別の地区です。2026年10月28日に見た店の頁では、ジンギスカンの特上(生肉)が2,000円、並(冷凍肉)が1,800円で、どちらも税込。ご飯・みそ汁・一品・漬物の付く定食にすると600円が加わります。営業時間は11:00〜14:00と17:00〜20:00(ラストオーダー)の表示で、日曜は昼の11:00〜14:00だけ開きます。休みは毎週木曜と第2・第4日曜です。駐車場は10台分あり、マイクロバスも停められます。電話は023-688-9575です。
肉について、申請の文には、蔵王では当初から「冷凍肉ではなく生肉を使用」とあります。シローのいまの品書きには、生肉の特上と並んで冷凍肉の並があります。生肉で食べたいときは、店ごとに確かめてください。
ろばたは温泉街の蔵王温泉字川原にあり、食事処のほかに宿と日帰りの湯も営んでいます。定休日は店の頁では木曜日で、蔵王温泉観光協会の頁は木曜日に加えて第1・第3水曜日(繁忙期を除く)も休みとし、詳しくはSNSで確かめるよう添えています。店の頁には、山菜の季節やたれ造りなどで臨時に休む場合があるとも書かれています。
同じ温泉街のかしぇるは、手打ち蕎麦とジンギスカンの店です。定休日は店のInstagram(@kasheru.zao)で知らせています。
山形駅からバスで蔵王温泉へ
東京からは山形新幹線で山形駅へ行き、駅から蔵王温泉へはバスに乗ります。ろばたの頁では、山形駅からバスで約45分です。運賃と時刻は、蔵王温泉観光協会のアクセスの頁が案内している山交バスで確かめてください。

ろばたは11月に1年分のたれを手造りする
たれは店ごとに違います。申請の文も、各店が独自のたれを工夫しているので、それぞれの味を楽しんでほしいと結んでいます。
温泉街のろばたは、店の頁でたれの造り方を明かしています。材料は毎年同じ生産者から仕入れ、11月に次の1年分だけをスタッフ全員で手造りして、半年以上寝かせてから客に出します。合わせる肉は、手切りで厚みのある生ラム(サフォーク種)です。たれを分けてほしいと頼まれることはよくあるそうですが、「私たちが手造りできる量しか造っておりません」として断っています。
シローの羊肉とたれを取り寄せる
シローは肉の販売もしている店で、頁の通信販売の欄に羊肉のセットと量り売りを載せています。セットはたれと辛味が付いたおみやげ用ジンギスカンセットで、特上羊肉(肩ロース)の約4人分が3,500円、約6人分が5,400円、冷凍羊肉(モモ)の約4人分が3,000円です。送料と容器代は別にかかります。セットのほかに量り売りもあり、100gで特上生肉(肩ロース)が626円、冷凍羊肉(モモ)が518円です。値段はいずれも税込で、2026年10月28日の表示です。
たれは小が1合350円、大が2合700円です。分けるのは肉を買う人にだけで、たれだけの購入は遠慮してほしいと頁にあります。目安は羊肉1kgにたれ1合です。
頁には、電話で前もって頼めば持ち帰りの品を用意しておくとありますが、送料の額は載っていません。取り寄せる前に、店(023-688-9575)に電話で頼み方と送料を確かめてください。
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鋳物の鍋は隙間をなくして煙を減らした
昭和23年頃から使った初期の鍋は表面が平らで焦げつきやすく、隙間から油が炭火に落ちて、煙がたくさん出ました。中期の鍋では表面に凹凸をつけて焦げを抑え、油の流れも考えましたが、隙間は残っていて、煙は止められませんでした。さらに手を加えたいまの鍋で隙間がなくなり、煙はぐっと減った、とシローの頁にあります。
鍋を作ったのは山形の鋳物工場で、身近な工場だったので後の改良にも大いに力を貸してくれた、とシローの頁は書いています。