「柿の葉は取り除いてお召し上がり下さい。」。柿の葉寿司の葉を食べるかという問いに、奈良の柿の葉すし本舗たなかはお客様Q&Aでこう答えています。中身は塩で締めた鯖を酢飯にのせて柿の葉で包み、押して一晩おく押し寿司で、鯖7個入りの消費期限はたなかも平宗も製造日を含む3日目の20時までです。
たなかの案内では葉を外して食べる
包みを開いて葉を外し、中の寿司を食べます。
包む葉の扱いは、たなかの説明がくわしいところです。柿の葉寿司はもともと生の葉が手に入る夏祭りのごちそうで、たなかは創業のころから年中作れるように葉の塩漬けの研究に取り組み、今は塩漬けの葉で包んだものが主流になった、とたなかは書いています。たなかは初夏の若葉、夏の青葉、秋の紅葉で包んだ品も、季節と数を限って売っています。
葉に包んだまま焼く食べ方もあります。農林水産省の「うちの郷土料理」は、冬は「炙り柿の葉寿司」にするとよいとしていて、葉に包んだままオーブントースターで焼き、葉の表面が少し焦げてきたら食べごろです。
近鉄奈良駅前と吉野の本店で買う、食べる
たなかのなら本店は、近鉄奈良駅を出てすぐ、行基像の噴水の前にあります。営業は9:00〜19:00で、持ち帰りの品はWebで予約して店で受け取ることもできます。店の中の「柿の葉茶屋」は11:00〜16:00で、数量限定の昼の品「おすしあらかると」が1,700円(税込)です。GW・正倉院展・年末年始など季節の「特別メニュー」を出している期間は、おすしあらかるとを休みます。営業時間は予告なく変わる場合があるので、行く前に店に確かめてください。店から興福寺へも奈良公園へも歩いて5分です。
平宗の吉野本店は吉野川のほとりにあり、近鉄吉野線の大和上市駅から歩いて18分です。吉野町バスのCコースなら、桜橋南詰で降りて歩いて1分です。販売は9:00〜17:30(4月〜11月)で、12月〜3月は17:00までになります。店で食べられる焼鯖ずし盛合せは1,800円(税込)で、焼鯖ずしと鯖・鮭・穴子の柿の葉ずしに胡麻豆腐と吸物が付きます。食事は16時ころまでです。定休日は毎週月曜日で、ほかの休みは店のカレンダーで知らせているので、訪ねる日は店に確かめてください。
駅の中で買うなら、平宗には近鉄大和西大寺駅の構内にも店があります(9:30〜21:30、不定休)。
取り寄せと日持ち
たなかの「柿の葉すしとは」のページには、「日が経つにつれ熟成し、できたてから少しずつ味が変化する」とあり、一番の食べ頃は一晩寝かせた翌日だと勧めています。たなかは取り寄せの品を注文を受けてから作るので、お届け日は注文日から4日以降で指定します。消費期限は箱の包装紙にも書いてあります。鯖だけを7個詰めた品の消費期限と置き方は、店ごとに次のとおりです。
| 店 | 品と量 | 届け方 | 消費期限 | 届いた後の置き方 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|
| たなか | 紙箱 さば7個入り(350g) | 年中冷蔵便。配送に2日以上かかる地域へは送らない | 製造日を含む3日目の20時まで | 冷蔵庫に入れず、部屋の涼しい所に | 1,285円(セール価格) |
| 平宗 | 7個入(鯖のみ) | 届くのに2日以上かかる地域は、着いた日のうちに食べる | 製造日を含む3日目20時 | 10〜20℃での保管が最適 | 1,361円 |
表の価格は、どちらも2026年10月24日に店のオンラインショップに載っていたものです。たなかの1,285円は、その日のページに「SALE」の表示が付いていた価格です。どちらも鯖7個入りで、たなかは重さ(350g)も載せています。鯖のほかの具もあり、たなかの通販には鮭や鯛を包んだ品があります。平宗の7個入は、鯖だけ・鮭だけのほか、鯖・鮭・金目鯛・穴子・海老の5種を詰めた箱なども選べます。
たなかが置き方で気をつけるよう書いているのは、冷やし過ぎです。運ぶ間は冷蔵便を使い、家では冷蔵庫に入れないよう案内しています。夏などで部屋が暑く冷蔵庫に入れるときは、新聞紙に包んで野菜室のような冷気の弱い所に置きます。冷えすぎるとすし飯が固くなる、とたなかは書いています。冷えてご飯が硬くなったときは、電子レンジなどで少し温めると食べやすくなる、と農林水産省の「うちの郷土料理」にあります。また、宅配で届けた品は届いた日と翌日までおいしく食べられる、とたなかは書いていて、これは消費期限とは別の目安です。
店を決めずにほかの作り手の品も見たいときは、柿の葉寿司を楽天市場で探すPRと、その名前で売られている品が並びます。届け方と消費期限は、品ごとに商品のページで確かめてください。
塩鯖を渋柿の葉で包んで押す
柿の葉寿司が主に伝わってきたのは五條市と吉野地域で、包むのはタンニンが多く緑が鮮やかな渋柿の葉です。農林水産省の「うちの郷土料理」に載る家庭向けの作り方では、塩サバを酢で締めて薄くそぎ切りにし、俵の形に握った酢飯と一緒に葉で包み、寿司箱にきっちり詰めて重石をのせ、一晩ほどおきます。作り方は地域や家庭で違う、という注記も付いています。一晩おく訳も同じページにあり、そのあいだに柿の葉の香りとサバの旨みが酢飯に移る、という説明です。
吉野川沿いの夏祭りのごちそう
奈良県が申請したこの料理は、文化庁が地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する「100年フード」で、令和6年度に伝統部門に入り、有識者特別賞も受けました。
奈良県が文化庁に出した説明では、柿の葉寿司は江戸時代中頃から吉野川流域の家々で夏祭りのごちそうとして作られてきました。和歌山方面で揚がって塩で締めた鯖を行商人が吉野まで売りに来ていて、そのままでは塩辛い鯖を薄く切ってご飯にのせ、身近な柿の葉で包んだ、という説明です。由来には諸説あり、農林水産省の「うちの郷土料理」には、紀州(和歌山県)の漁師が熊野灘で取れた夏サバを塩で締め、峠を越えて吉野川沿いの村へ売りに出かけたという説のほか、保存食や兵食から変わったという説も載っています。
今、県内で柿の葉寿司を作る会社は30社を超え、1個から買える店もある、と奈良県の説明は続きます。平宗は1861年に吉野の上市で創業し、昭和37年に天王寺ステーションビルの開店に合わせて出店して、大阪で初めて柿の葉ずしを売りました。平宗の年表には、これが全国に広まるきっかけになったとあります。五條市のたなかが味へのこだわりを書いたページには、柿の葉寿司は「地元では母から娘に伝わるおふくろの味であり」とあります。