3月12日は19時30分から、11本の松明が約45分かけて二月堂の舞台に上がります。ほかの日は10本で約20分。日付が変わった13日の午前1時半頃に、若狭井から観音さまに供える香水を汲む「お水取り」があります。東大寺の旅行会社へのお願いには、「修二会行事は、イベントではありません」とあります。
752年に始まり、令和9年で1276回目。2027年は3月1日〜14日
天平勝宝4年(752年)、東大寺開山良弁僧正の高弟・実忠和尚が修二会を創始しました。正式名称は「十一面悔過法要」で、二月堂の本尊・十一面観世音菩薩の宝前で日々の過ちを懺悔する法会だと東大寺は説明しています。東大寺の伽藍が二度焼失したときも、修二会だけは「不退の行法」として、1250年余りの間一度も絶えることなく続いてきたと述べています。奈良市観光協会によると、令和9年(2027年)の修二会は1276回目を迎えます。

もとは旧暦2月1日から行われていたため「修二会」と呼ばれ、これが「二月堂」の名の由来にもなっていると東大寺は説明しています。現在は3月1日から2週間、二七ヶ日夜にわたって本行が勤められます。本行に先立ち、12月16日に翌年の修二会を勤める練行衆11名が発表され、2月20日から試別火、2月26日(閏年は27日)から惣別火という前行が始まります。3月15日が満行です。

お松明は毎晩19時、12日だけ19時半・11本
東大寺のお松明のページによると、日程と時刻は次のとおりです。
| 日 | 時刻 | 本数 | 所要時間など |
|---|---|---|---|
| 3月1日〜11日・13日 | 19時 | 10本 | 約20分間。土日は特に混雑 |
| 3月12日 | 19時半 | 11本 | 約45分間。奈良公園周辺の交通規制、二月堂付近への入場規制あり |
| 3月14日 | 18時半 | 10本 | 約10分間。横一列に並ぶ |
お松明は、行を勤める練行衆の道明かりです。奈良市観光協会の説明では、童子(どうじ)と呼ばれる人が長さ6メートルの大松明を担いで二月堂へ上がります。12日は「お水取り(翌朝午前1時半頃)」の日として大混雑が予想され、お松明を見ていただくことができない場合があると東大寺の案内にあります。寺の注意事項によると、二月堂の下の広場に入れるのは約3千人。12日は長く待っても、順次移動しながらのごく短い拝観になる、と断っています。

お水取りは13日午前1時過ぎ、若狭井から
二月堂縁起には、若狭国の遠敷明神が魚を捕っていて参集に遅れたお詫びに、二月堂のほとりに清水を湧き出させて観音さまに奉ったという話が伝わっており、これが「お水取り」の由来とされています。
12日後夜の途中、13日午前1時過ぎに咒師と童子を先頭にした行列が石段を下り、若狭井という井戸から観音さまに供える「お香水」を汲みます。汲んだ水は内陣の甕に納められ、「お水取り」が終わると練行衆は再び二月堂へ戻り、中断していた行が再開されます。
この舞台となる二月堂は国宝で、寛文7年(1667年)に修二会の最中に堂内から出火して焼け、現在の建物はその2年後に再建されたものです。24時間参拝できますが、夜間は本堂周囲で騒がないよう案内されています。
お松明とお水取りは、14日間続く行法の一部です。行事の全体を知りたい人には、『東大寺お水取り 普及版:二月堂修二会の記録と研究』PR(堀池春峰、小学館)があります。東大寺の全面協力のもと10年にわたって取材し、修二会の全行事を写真と記録でまとめた本です。刊行は1996年なので、拝観の場所や制限は今の案内と違う所があるかもしれません。
令和9年(2027)は、お松明の拝観に一部制限
奈良市観光協会によると、令和9年(2027年)の修二会は、お松明などの拝観が一部制限されます。3月12日を除く期間は、二月堂下芝生や広場が満員になると第2拝観所へ誘導され、そこも満員になるとお松明は見られません。3月12日は、拝観場所を順次移動しながらの観覧になり、第2拝観所が満員になった場合はお松明を見ることができないとされています。局での聴聞は、12日以外は自由ですが、12日は各講社の関係者に限られます。状況によっては、今後さらに内容が変更される場合があるとも案内されています。

東大寺の注意事項では、二月堂周辺(裏参道全域を含む)で三脚・一脚・脚立・ストロボの使用が禁止されています。撮影を希望する場合は、第2拝観所西端区域を、譲り合って1人三脚1器で使うよう案内されています。
近鉄奈良駅から徒歩約20分、市内循環バスなら5分
東大寺の交通案内によると、近鉄奈良駅から東大寺境内までは徒歩約20分です。バスなら、JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バスで「東大寺大仏殿・春日大社前」下車、徒歩5分。ぐるっとバス(大宮通ルート・奈良公園ルート)なら「大仏殿前駐車場」下車すぐです。境内に参拝者用駐車場はなく、バイク・自転車は南大門南西の駐輪場に置いて徒歩で参拝するよう案内されています。
12日の19時半からのお松明や、13日午前1時過ぎのお水取りまで見るなら、宿は楽天トラベルの近鉄奈良駅周辺のホテル・旅館の一覧PRで探せます。境内から徒歩約20分の駅なので、夜遅くなっても歩いて戻れる距離です。
東京・新横浜からは新幹線で京都駅か新大阪駅へ
東海道新幹線の「のぞみ」は東京・品川・新横浜・名古屋・京都・新大阪に停車します。横浜・新横浜から来る場合は、京都駅か新大阪駅で近鉄かJRに乗り換える形です。東大寺の交通案内によると、近鉄奈良線は大阪難波駅から近鉄奈良駅まで約40分、近鉄京都線は京都駅から約50分、阪神なんば線経由なら三宮駅から約80分です。
近鉄の路線図・駅情報によると、難波線・奈良線には特急・快速急行・急行・準急・区間準急・普通が、京都線・橿原線には快速急行を除く特急・急行・準急・普通が走ります。近鉄の運賃特急料金表では、大阪難波⇔近鉄奈良の特急料金は520円(普通運賃680円)、京都⇔近鉄奈良も特急料金520円(普通運賃760円)です。西日本旅客鉄道は2026年3月14日のダイヤ改正から、京都〜奈良の臨時特急「いにしへ」を一部の土休日に設定すると発表しています。
近鉄「奈良世界遺産フリーきっぷ 奈良・斑鳩コース」は、大阪難波・京都発の1日コースが大人1,800円・小児900円、2日コースが大人2,370円・小児1,190円(特急料金は別)で、東大寺周辺の近鉄電車・奈良交通バスのフリー区間に使えます。修二会の日に合わせた近鉄・JR西日本の臨時列車は、確認した公式ページには案内がありません。
編集部の考え
東大寺の案内には、お松明が12日にしか上がらないと思っている人が多い、という一文があります。実際は14日間、毎晩です。12日は11本・約45分と長いかわりに、入場規制があり、立ち止まって見ることができません。2027年の12日は金曜で、奈良市観光協会は「参拝は極力お控えください」とまで書いています。火を落ち着いて見たいなら土日を外した1日〜11日、10本が欄干に横一列に並ぶところを見たいなら14日(日曜、18時30分から約10分)です。
二月堂までは近鉄奈良駅から徒歩約20分。バスの「東大寺大仏殿・春日大社前」からは徒歩5分で、大仏殿からさらに上った位置にあります。19時前後は大仏殿周辺も人が集まる時間なので、徒歩の所要時間には余裕を見ておくとよいと思います。
12日の交通規制の区域は、まだ確かめられていない
三脚・撮影の場所や、その年の拝観制限の詳しい内容は、東大寺の公式サイトで確かめてください。次の点は、この記事の執筆時点では確認できませんでした。
- 3月12日の奈良公園周辺の交通規制の具体的な区域と時間帯(東大寺の案内には「交通規制がある」とだけ書かれています)
- 令和9年(2027年)の拝観制限が、今後さらに変更される可能性(奈良市観光協会はその可能性に触れています)
奈良の冬の行事は、12月の春日若宮おん祭と1月の若草山焼きも書いています。寺社の記事は初詣・厄除けと寺社めぐりから。