サンマのポーポー焼きは、サンマのすり身に味噌・ネギ・生姜などをまぜ、ハンバーグの形にして焼いたものです。福島県いわき市の小名浜で生まれ、家庭の食卓のほか、いわき市の小学校の給食にも出ています。同じ小名浜には、サンマのみりん干しという、もう一つのサンマの食べ方があります。
文化庁が、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する「100年フード」の令和3年度の認定で、サンマのポーポー焼きとサンマのみりん干しは未来の100年フード部門に入りました。申請したのは小名浜さんま郷土料理再生プロジェクトと小名浜水産加工業協同組合です。
「ポーポー」の名の由来
認定の文は申請した2団体が書いたもので、名前の由来を一つ挙げています。太平洋戦争の前、漁師が船の上で料理をしていて、「サンマの脂が炭火に落ちてポーポーと炎が立ったことに由来するという説もあります」。説の一つとして書かれていて、言い切ってはいません。いわき市の常磐もの公式サイトのポーポー焼きのページにも同じ由来が載っていて、ほかにも説があるとの断りつきです。
農林水産省の「うちの郷土料理」の福島県のページにも、いわき七浜で秋に盛んなサンマ漁と、サンマをミンチにしてハンバーグのように丸めて焼くポーポー焼きの話があります。炭で焼くときにサンマの油で火がポーポーと燃え上がることから、という説明です。
昭和23年、安川市郎氏がサンマを使い始めた
サンマのみりん干しもいわきが発祥です。認定の文によると、小名浜ではもともとイワシのみりん干しの製造が盛んでした。昭和23年に小名浜に住む安川市郎氏が、「みりん干しに不適とされてきたサンマを使い始めたのが起源です」。安川氏が製法を公開したことで小名浜のみりん干しの名が広まり、地元でみりん干しと言えばサンマのものを指すようになりました。
福島県の資料では、いわき地域のサンマの旬は9月から12月です。塩焼きのほかに、みりん干しとポーポー焼きが地域で親しまれている、と県の冊子にあります。
小名浜港のサンマと再生プロジェクト
震災前のいわき市では、カツオとサンマの水揚げが特に多く、2魚種で水揚量の半分を占めていました。平成27年3月には、衛生管理を強化した新しい小名浜魚市場が完成しています。
小名浜さんま郷土料理再生プロジェクトを設立したのは、小名浜の上野台豊商店の社長、上野臺優氏です。上野台豊商店は1960年創業の鮮魚仲買・水産加工の会社で、生鮮サンマの出荷のほか、ポーポー焼きやサンマの開きを作っています。上野臺氏は震災後に、大手飲料メーカーの支援のもとでプロジェクトを設立し、地元の水産加工会社や飲食店と組んでサンマの郷土料理を商品にし、県内と東京のイベントで試食を出してきました。常磐もの公式のインタビューで上野臺氏は、自社の商品は「昔ながらの家庭の味」を目指すと話しています。魚が苦手だった子どものころから、ポーポー焼きだけはおいしいと食べていたそうです。
2023年度には、上野台豊商店が加わる食育キャラバン隊「みみみプロジェクト」が、いわき市内9か所の小学校と学童で、のべ550名の子どもに授業をしました。紙芝居でいわきの海の食文化を学んだあと、手作りキットでポーポー焼きを作り、ホットプレートで焼いて食べる流れです。給食でポーポー焼きを食べたという声も子どもから出ました。
ポーポー焼きとみりん干しを買える店
いわき市水産振興課の常磐もの公式サイトは、ポーポー焼きとサンマのみりん干しの取扱店を品ごとに載せています。
| 店 | 品 | 営業時間(常磐もの公式の記載) |
|---|---|---|
| 株式会社おのざき | ポーポー焼き・みりん干し | 8:30〜19:00 |
| 有限会社丸克商店(小名浜港、魚市場の近く) | ポーポー焼き | 7:00〜17:00 |
| いわき市石炭・化石館ほるる ミュージアムショップ | ポーポー焼き・みりん干し | 9:00〜17:00 |
| 有限会社ニイダヤ水産 | みりん干し | 8:00〜16:00 |
| 株式会社大川魚店 | みりん干し | 平日 9:30〜18:30、日・祝 9:30〜18:00 |
ほるるのミュージアムショップは入館料なしで入れ、贈答用の地方発送もできます。上野台豊商店の会社案内には、主な取扱店として道の駅いわき・ら・ら・ミュウの「銘品プラザ」、ほるる、日本橋ふくしま館ミデッテなどが並びます。
ポーポー焼きを料理として出す店は、常磐もの公式の飲食店一覧に品名の記載がなく、未確認です。
道の駅いわき・ら・ら・ミュウと泉駅からのバス
いわき・ら・ら・ミュウは小名浜港のそばの観光物産センターで、2025年9月12日に道の駅になりました。営業は9時から18時で、店によって違います。休館日は2026年が10月14日、11月11日、12月9日、2027年は1月13日と14日から始まります。
行き方はJR常磐線の泉駅から。ら・ら・ミュウの案内では、泉駅前の1番乗り場から小名浜車庫行きのバスで約15分、品川駅からは特急を使って2時間です。泉駅には特急ひたちが止まり、上りは品川行きがあります。バスの時刻表(2026年4月現在)では、泉駅南口の乗り場から乗って料金は320円、降りるのはイオンモールいわき小名浜の停留所です。
いわき市は毎月7日を「いわき七浜さかなの日」と定めていて、ら・ら・ミュウの10月の催しの一覧にも7日のさかなの日が載っています。
上野台豊商店の通販と取り寄せ
上野台豊商店のオンラインショップでは、2026年10月8日の時点で、さんまポーポー焼きが1袋540円、5袋セットが2,500円、さんまみりん干しの5パックが1,000円です。値段は変わるので、注文のときに確かめてください。プロジェクトの商品は、水揚げ後24時間以内に下処理したサンマを使っています。
ほかの作り手のものも見るなら、楽天市場でサンマのポーポー焼きを探すPRとAmazonの検索結果PRがあります。
編集部の考え
小名浜さんま郷土料理再生プロジェクトと小名浜水産加工業協同組合は、ポーポー焼きとみりん干しの2品をあわせて申請し、令和3年度の未来の100年フード部門に認定されました。プロジェクトを設立した上野臺優氏は1960年創業の上野台豊商店の社長で、震災後に地元の水産加工会社や飲食店と組んで県内と東京のイベントで試食を出し、その一番の目的を、実際に食べて味を実感してもらうことに置いています。2023年度には市内9か所の小学校と学童で、のべ550名の子どもが手作りキットでポーポー焼きを焼き、給食で食べたという声も出ました。いわき市は作り方を教える料理教室を開き、小学校の給食の献立にもポーポー焼きを出しています。