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伊那のローメンは、卓上のソースと酢で自分の味に仕上げる麺料理

未来の100年フード · 令和6年度認定

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晴れた日の伊那市駅前。ロータリー越しに八角形の屋根の商店ビルと、両腕を上げた女性の立像、緑色のオブジェが見える
伊那市駅前(2009年8月撮影) 写真: Kinori(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

ローメンは、蒸した麺にマトンとキャベツ、ニンニクを入れた長野県伊那市の麺料理です。店から出てくる皿は薄めの味になっていて、食べる人が卓上のソースや酢、ごま油、七味唐辛子を足して自分の味にします。スープで煮る店と、焼きそばのように炒める店があります。

文化庁が、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する「100年フード」で、ローメンは令和6年度に未来の100年フード部門の認定を受けました。申請したのは伊那ローメンズクラブです。クラブが書いた認定の文には、「街のどこに行っても食べることができる、とても手軽で、身近な食べものです」とあります。伊那では昼にも、夜に酒を飲んでいる時にも食べられています。

スープ風と焼きそば風

どちらも、麺を蒸して湯で戻すところまでは同じです。スープ風はそのあとスープで煮て、焼きそば風は炒めます。クラブの公式サイトによると、スープ風にはスープのベースに醤油を使う店があり、スープの量も店によって多い、少ない、ほとんどない、とさまざまです。焼きそば風の味付けは基本的にソースで、麺と具を別に炒める店もあります。

伊那市観光協会のページでは、萬楽が半世紀前からのスープ風、うしおが焼きそば風の専門で、高遠町の華蔵はどちらも出しています。肉を羊肉か豚肉かで選べる店もあります。

全国の催しに出るときは、スープ風にするか焼きそば風にするかで店主たちが悩み、焼きそば風に近い「統一ローメン」で出ることになりました。いま地域の催しで出るローメンの多くも、この統一ローメンです。

卓上のソースと酢とごま油

ローメンの店に置いてある主な調味料は、ソース、酢、ごま油、七味唐辛子、ニンニクです。マヨネーズやカレー粉を置く店もあります。クラブはこの食べ方をテーブルクッキングと呼んでいて、店ごとの味に、さらに自分の好みを重ねていきます。

長野伊那谷観光局の特集には、萬里の皿が載っています。スープのあるローメンで、具はマトンとキャベツとキクラゲ、麺は中太の茶色い蒸し麺です。2代目店主の馬場元さんは、まずウスターソースと酢をひとまわしかけ、そのあとごま油とニンニクを加えています。半分ほど食べたところで七味を足し、ニンニクを増やす食べ方も同じ特集にあります。萬里では、味の付け方を書いた「ローメンのおいしい食べ方」が卓上に置かれています。

伊那谷では、酒のあとの締めにラーメンではなくローメンを食べる人が多く、持ち帰って家で食べる人も少なくないそうです。

炒肉麺から「チャー」が外れるまで

クラブが文化庁に出した文には、「昭和30年頃、麺にマトンとキャベツ、ニンニクを入れたローメンが誕生しました」とあります。はじめの名前は炒肉麺(チャーローメン)でした。炒めた麺のチャーメンに、肉のローが加わった名前です。やがてラーメンブームが来て、語呂も良いということで「チャー」が外れ、ラーメンの発音に近いローメンと呼ばれるようになりました。

生まれたきっかけには、客のひと言が伝わっています。麺を焼きそば風にしたらうまそうだと言った客がいたとか、「焼きそばにお湯を入れてくれ」と言った客がいたとか、いずれにしても地域の人の声から生まれた料理で、これがローメンのルーツと言われています。

長野伊那谷観光局の特集には、誕生は昭和30年(1955年)、発祥の店は伊那市の「中国風菜館 萬里」とあります。萬里で出し始めたのをきっかけに伊那市を中心とした飲食店に広まり、伊那谷特有の麺料理になりました。伊那ローメンズクラブの発足は平成9年3月20日で、事務局は伊那商工会議所の中にあります。

加盟店の一覧とローメンの日

クラブの公式サイトには加盟店の一覧があり、店の名前と住所、電話番号が載っています。住所で見ると、伊那市駅と同じ荒井にうしおと紋次郎、坂下に萬里、ともえ食堂、入舟酒場さかいや商店、西町に田村食堂、串正、スナック喫茶 ポッケがあります。紋次郎は、観光協会のページによるとJR伊那市駅から北へ2分です。高遠町の華蔵、みすゞ食堂、高遠温泉 さくらの湯も同じ一覧に入っています。クラブのガイドブックの食べ歩きマップには、伊那市駅の北側に「ローメンの碑」も描かれています。

この一覧は2022年1月末現在のものです。いまの営業時間と定休日は未確認なので、出かける前に店へ電話で確かめてください。

6月4日は「ローメンの日」です。蒸し麺の「むし」の語呂から決めた日で、日本記念日協会に登録されています。2025年は参加店でローメンを割引で食べられ、2026年は21店舗が参加店に名を連ねました。参加店のお知らせがクラブのサイトに出たのは、2025年は5月23日、2026年は5月22日です。2026年は4月29日に、第14回の伊那ローメン春まつりもありました。

協力加盟店として製麺所やローメンの土産の店も載っていて、服部製麺所、木曽屋、みはらしファーム とれたて市場などの名前があります。通販や発送の案内は、クラブの公式サイトでは未確認です。

伊那市駅まで

伊那市駅はJR飯田線の駅で、所在地は伊那市荒井3465です。JR東海の駅案内では、きっぷうりばの営業時間は5:05〜21:30で、一部閉まる時間帯があります。駅につながる路線バスは、伊那バスとジェイアールバス関東です。

高速バスは、伊那市観光協会のアクセスのページに、新宿と伊那市、名古屋と伊那市を結ぶ便が載っています。問い合わせ先は伊那バス予約センター(0265-78-0007、受付8:00〜18:00)です。

編集部の考え

伊那のローメンは、店が薄めの味で出し、食べる人が卓上のソースや酢、ごま油、七味唐辛子、ニンニクを足して自分の味にします。伊那ローメンズクラブは、この食べ方をテーブルクッキングと呼んでいます。スープで煮る店と炒める店があり、全国の催しに出るときは、どちらにするかで店主たちが悩んで、焼きそば風に近い「統一ローメン」で出ることになりました。はじめの名前は炒肉麺(チャーローメン)で、ラーメンブームのころに語呂も良いということで「チャー」が外れています。クラブは蒸し麺の「むし」の語呂から6月4日をローメンの日と決めていて、2026年は21店舗が参加店に名を連ねました。

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