本文へ移動
trip-jp博覧会からミュージアム、寺社仏閣まで 横浜花博 2027 開幕まで 162日

大山のきゃらぶき:大山詣りの弁当に添えられてきた野ぶきの佃煮を、こま参道で買う

広告を含みます 本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。リンク経由で予約・購入されると、当サイトに報酬が支払われることがあります。

本文の価格・時刻・日程は2026年10月7日時点の公式発表に基づきます。予約の直前に各公式サイトで最新情報を確認してください。

青空のもと、杉木立を背にした大山阿夫利神社下社の拝殿。赤い柱と黒い瓦屋根の前の石段や参道で、参拝者が手水舎のそばに並んでいる
大山阿夫利神社の下社(標高696m)。大山ケーブルカーの終点駅から歩いて着く 写真: Saigen Jiro(CC0、Wikimedia Commons)

大山のきゃらぶきは、神奈川県伊勢原市の大山に自生する野ぶきを醤油で炊いた佃煮です。大山詣りの帰りの土産として参道で売られ、宿坊の膳に添えられてきました。文化庁が、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する「100年フード」に、令和4年度の伝統の100年フード部門で認定されています。申請したのは一般社団法人伊勢原市観光協会でした。

修験者の保存食から、宿坊の膳へ

観光協会が文化庁に出した認定の文には、大山のきゃらぶきは「修験者の保存食を起源とし」とあります。野ぶきを伽羅色になるまで醤油で炊くことから、この名で呼ばれるようになりました。添加物を使わず、早春にふきのとうが顔を出したあと、茎と葉が大きくなる野ぶきを使います。山麓の家庭では、江戸時代から季節の一品として作られてきました。

宿坊との結びつきもこの文に書かれています。先導師旅館(宿坊)で出るとうふ料理の膳や、大山詣りの弁当には「昔から香の物等として必ずと言ってよいほど添えられる食品」でした。大山詣りの土産として広まったのは、明治の頃からと言われています。観光協会の「食べる」のページを見ると、大山の旅館・宿坊は泊まらなくても豆腐料理だけで使え、その場合は予約が要ります。

こま参道の土産屋と、伊勢原駅のクルリンハウス

伊勢原駅からバスに乗って終点の大山ケーブルバス停で降りると、すぐにこま参道が始まります。観光協会の案内では、徒歩15分、362段の階段の脇に「名産のきゃらぶきや大山こまなど、地域の特産品を扱うお土産屋さん」と、大山とうふの食堂や宿坊が並びます。階段の踊り場にはこまの模様が描かれていて、その数は踊り場の数と同じ27か所です。階段が苦手な人は左手の舗装路も途中まで使えます。

山へ行かずに買うなら、伊勢原駅の駅ナカにある観光案内所のクルリンハウスです。年中無休で9:00〜17:00に開いていて、観光協会の名産品の一覧には大津屋のきゃらぶきときゃらぶき(甘口)が各650円、黒箱入りが1,296円で載っています。配送可能の印がある品で、在庫があれば郵送もしてくれます。送料と振込手数料は買う側の負担です。

遠くから取り寄せるなら、大津屋の公式サイトで通販ができます。カートのほか電話・FAX・郵便でも注文でき、支払いは代金引換か、入金を確かめてからの発送です。大津屋の公式サイトには2026年8月1日から価格を改定するとあり、観光協会の一覧にある650円がその改定後の値段かは未確認です。

伊勢原駅からバスとケーブルカーで下社まで

小田急小田原線の伊勢原駅で降り、北口下のバス停4番のりばから大山ケーブル行きのバスで30分、終点の大山ケーブルバス停に着きます。そこからケーブルカーの大山ケーブル駅までは、こま参道を歩いておよそ15分です。小田急線・神奈川中央交通のバス・ケーブルカーがセットになった「丹沢・大山フリーパス」のAキップが使えます。

大山ケーブルカー(大山観光電鉄)は、大山ケーブル駅から阿夫利神社駅まで約6分。運賃は片道で大人640円、小児320円、往復なら大人1,270円、小児640円です(2024年4月1日に変更された運賃)。途中の大山寺駅で降りることもできます。通常の営業時間は平日9:00〜16:30、土休日9:00〜17:00で、正月・ゴールデンウィーク・紅葉の時期は延長します。窓口では現金のほかクレジットカード・交通系ICカード・PayPayが使えます。

阿夫利神社駅を出ると、標高696mにある大山阿夫利神社の下社です。本社は山頂にあり、下社から先は登山道になります。

野ぶきの季節と、大山の秋

認定の文のとおり、野ぶきは早春にふきのとうが出て、そのあと茎と葉が伸びます。きゃらぶきは保存食ですから、店に並ぶ季節は春に限りません。

大山の秋には、江戸時代から続く大山阿夫利神社の秋季例大祭が、毎年8月27日から3日間、大山全区で開かれます。下社から男坂を御輿が下りる「お下り」で始まり、最終日の「お上り」で神様が下社に戻ります。秋にはこのほかに菊まつりがあり、伊勢原秋豊会の人たちが育てた菊が大山阿夫利神社に奉納され、下社に展示されます。紅葉の時期はケーブルカーの営業時間が延びますが、2026年の延長の日程は取材の時点で公式に出ていませんでした。

大山詣りと先導師旅館

大山は江戸時代に「大山詣り」で栄えた山で、この文化は日本遺産に登録されています。日本遺産のポータルサイトには、江戸の人口が100万人の時代に、年間20万人の参拝者が訪れたと言われている、とあります。参拝者の多くは「講」と呼ばれる町内会や同業者の団体で、費用を積み立てて出かけました。講の参拝は今も続いていて、春先から夏にかけて、行衣という白装束を着た人たちが参道を登ります。

講を迎えた宿が宿坊で、その主人が先導師です。先導師の家は先祖から代々引き継がれ、今は個室を備えた宿坊も増えています。伊勢原市の構成文化財の説明では、大山の麓の道沿いには、大山講の名前が彫られた玉垣に囲まれた建物が多く残り、店先には「何々坊」や「先導師何某」と書かれています。先導師はかつて御師と呼ばれ、徳川家康による大山山内の改革で追放された修験者たちが、大山信仰の布教や講の世話をしたのが始まりです。宿坊ごとに大山阿夫利神社を分霊した社が置かれているのが、ふつうの宿と違う点です。関東大震災の山津波で多くの宿坊が流されましたが、安政年間に建てられたと分かる建物も残っています。

編集部の考え

大山のきゃらぶきは、大山詣りの道筋そのものの上に今もあります。起源は修験者の保存食で、宿坊を営む先導師は修験者の系譜にあたります。認定の文と伊勢原市の説明の両方にある話です。宿坊の膳と弁当に添えられてきた品が、同じ参道の土産屋で売られ、駅ナカの案内所にも並びます。100年フードの申請者は一つの店ではなく観光協会で、認定も一つの銘柄ではなく大山の名物に対してです。参道で買う一袋がどの店のものでも、同じ名物を買ったことになります。

ランダムに探す 押すと読みものを 1 本選びます

メニュー

English