箱根湯本駅から芦ノ湖へ向かう国道1号線の半ばに、小涌谷の温泉街があります。岡田美術館はここに2013年10月に開いた私立美術館で、敷地は開化亭というホテルの跡地です。館の紹介には、開化亭は「明治時代に存在した欧米人向けのホテル」だったとあります。
入館料は一般2,800円で、ご利用案内の料金表にこれとは別の特別展の料金は載っていません。いま開いているのは特別展「金銀雲母きら」で、12月6日まで。電車で行くなら、箱根湯本駅からバスに乗って「小涌園」で降ります。
小地獄と呼ばれた谷のホテルの跡
小涌谷は江戸時代に小地獄と呼ばれ、噴煙の上がる荒れ地でした。明治10年代に実業家たちが温泉場を開き、旅館やホテルが建つようになります。開化亭もその一つで、美術館はその跡地の約6,300平方メートルに建てられました。
建物は斜面を使った全5階で、延べ床面積は約7,700平方メートルです。まわりには約15,000平方メートルの庭園が広がっています。美術館を持ち、運営しているのは株式会社ユニバーサルエンターテインメントで、建物の設計は三浦慎です。
1階の中国陶磁から5階の仏教美術まで
所蔵の中心は、近世・近代の日本画と、中国・韓国・日本の陶磁器です。そこに縄文土器や埴輪、古代・中世の仏像や仏画、書跡、蒔絵・玉器・ガラス器が加わります。展示は1階が中国・韓国陶磁、2階が日本陶磁、3階が企画展示、4階がガラス工芸品、5階が仏教美術で、時代や流派の流れに沿って並べています。
作品の前に置かれた液晶タッチパネルの解説は、日本語・英語・中国語・韓国語に対応しています。基本理念の4つ目には、箱根に建つ美術館として「日本とアジアの文化を世界に発信し、広く文化の創造に貢献することを、使命とする」とあり、海外から箱根に来た人も同じ解説を読めます。こどもプログラムもあり、小学生以上の子どもが対象です。
館の挨拶文は、箱根の風景を楽しんでほぐれた心で美術を見てもらい、祖先が残した美の遺産を振り返って明日への活力にしてほしい、という願いで結ばれています。
特別展「金銀雲母きら」は12月6日まで
いま開いている特別展は「金銀雲母きら ―かがやきの日本美術―」で、会期は2026年6月14日から12月6日までです。金・銀は古くから洋の東西を問わず、聖性や高貴さ、権力の象徴として使われてきました。この特別展は平安時代の経典と書跡を核に、桃山時代から現代までの絵画・書跡・やきもの・漆芸を合わせて約40件を並べます。
題名の「きら」は、展覧会の紹介にある「雲母(きら)と呼ばれる白雲母の微粉」のことで、平安時代の貴族文化では金・銀と一緒に好まれました。展覧会のページで紹介している作品には、天永3年(1112)頃の「石山切(伊勢集断簡)」、俵屋宗達が下絵を描き本阿弥光悦が書いた色紙、池大雅の屏風、江戸時代の「吉野山蒔絵分銅形硯箱」があります。特別展と常設の展示目録は、どちらも展覧会のページからダウンロードできます。
入館料と前売券
入館料は一般・大学生が2,800円、小中高生が1,800円です。ご利用案内の料金表にあるのはこの入館料だけで、特別展のための別の料金は載っていません。特別展の券の扱いは展覧会のページにも書かれていません。障害者手帳を持つ人は、本人だけなら1,800円、介護者と一緒なら2人で2,800円です。
前売券は一般・大学生が2,550円で、小中高生の前売券は扱っていません。売っているのは箱根の近くの窓口で、箱根登山鉄道の箱根湯本駅構内と強羅駅構内、それに箱根登山バスの小田原駅前案内所、湯本案内所、湯本駅構内案内所、仙石案内所、桃源台案内所、箱根町案内所です。電車で箱根湯本駅に着いたら、駅の構内で券を買ってからバスに乗れます。小田原駅前案内所も売り場に入っているので、小田原駅で新幹線を降りた人もそこで買えます。
日時指定の予約が要るかどうかは、ご利用案内に書かれておらず未確認です。
開館時間と休館日
開館は午前9時から午後5時までで、入館は午後4時30分までです。休館日は12月31日と1月1日、それに展示替期間です。特別展が終わったあとの展示替期間の日付は未確認なので、12月6日より後に出かけるなら公式サイトのお知らせで確かめてください。
展示室に持ち込めないもの
展示室には、携帯電話・カメラ・タブレット類などの記録媒体と、飲み物を持ち込めません。スマートフォンも展示室には持って入れないので、無料のロッカーに預けてから入ります。カメラも持ち込めないので、展示室の中で写真は撮れません。館では作品を守るためにセキュリティチェックもしています。
箱根湯本駅からのバス
新幹線なら、東京駅から小田原駅まで約35分、名古屋駅からは約70分です。特急ロマンスカーと箱根登山電車を乗り継いで、箱根湯本駅まで来る行き方もあります。箱根湯本駅までの電車と箱根フリーパスのことは、箱根フリーパスの記事にあります。
箱根湯本駅からバスに乗ると、約20分でバス停「小涌園」に着きます。乗り場は伊豆箱根バスがのりば①、箱根登山バスがのりば②です。所要時間は交通状況で大きく変わります。
館の住所は神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1、電話は0460-87-3931です。車で行く場合、駐車場は80台(うち身障者用2台)です。美術館や開化亭、足湯カフェ、ミュージアムショップを使う人は1回500円で、庭園と駐車場だけなら1時間につき500円かかります。
庭園と足湯カフェ
庭園の入園料は300円ですが、渓流散策コースを閉じているため、いまは無料です。再開の日は庭園のお知らせに書かれていません。散策の目安は10〜20分で、草花の案内にある紅葉の見頃は11月頃です。庭は自然林と、滝や池の水景を一体にした造りで、冬には薄氷の張った水景になります。建物のまわりには睡蓮の池もあります。
建物の正面には源泉かけ流しの足湯があり、福井江太郎の大壁画「風・刻(かぜ・とき)」の前に座れます。俵屋宗達の国宝「風神雷神図屏風」(京都・建仁寺蔵)を、縦12メートル、横30メートルの大きさで描き直した壁画で、640枚の金地パネルでできています。壁画のガラス面には本物の雲の流れも映り、絵に重なります。
湯は100%源泉かけ流しで、水も熱も加えていないアルカリ性の泉質です。足湯の入湯料は500円で、美術館に入った人は無料、営業は9:00〜17:00です。足湯カフェでは特別展に合わせた「きらきら焼き芋パフェ」(800円税込)を10月1日から12月6日まで出していて、ほかにおしるこが500円、プレミアムソフトクリームが400円です。
訂正(2026年10月19日): 「入館料と前売券」で、特別展のための別の料金はありませんと書いていましたが、ご利用案内と展覧会のページには特別展の券の記述がなく、別の料金の有無は書かれていませんでした。