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瀬戸の染飯はくちなしで染めた東海道の名物:大井川のお茶請け食4品と藤枝の伝承館

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くちなしで黄色く染めたもち米を小判の形に整えた、瀬戸の染飯の復元展示
瀬戸の染飯を復元した展示(藤枝市・千貫堤・瀬戸染飯伝承館蔵、2021年5月撮影) 写真: やきつべ(CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commons)

くちなしの実で黄色く染めたもち米のおこわを、瀬戸の染飯(そめいい)と呼びます。東海道の上青島村瀬戸町、いまの藤枝市上青島のあたりの茶屋で戦国時代から売られ、蒸したもち米をくちなしで染めてすりつぶし、薄くのばして小判の形などにして干した携帯食でした。文化庁の100年フードの認定の文には「旅人の足腰の疲れを取るとされ」とあり、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』にも出てきます。

この染飯を含む4品が「大井川のお茶請け食文化」です。朝比奈ちまき、ほととぎす漬、瀬戸の染飯、らっか煮を、大井川農泊推進協議会が一つにまとめて申請し、令和3年度の伝統の100年フード部門で認定されました。100年フードは、文化庁が地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する取り組みです。協議会は2022年7月14日のお知らせで認定を伝え、認定授与式と100年フードのスタンプラリーを開いています。

4品の中身

認定の文を書いたのは協議会です。川根と牧之原台地のお茶の産地を抱える大井川地域で、東海道を旅する人々に愛されてきた食べ物だと説明しています。

朝比奈ちまきは、椿の灰汁(あく)に浸したもち米で作るちまきです。認定の文では、食べれば気力体力を充実させ、戦国時代から必勝の縁起物だったとあります。ほととぎす漬は、紫蘇と白瓜に和辛子を効かせた漬物です。らっか煮は、生の落花生をにんじん・ごぼう・れんこん・こんにゃく・しいたけと煮含めた煮物で、認定の文には「お茶にぴったりの川根路のおかあさんの味です」とあります。

協議会の体験プログラムの頁は、食体験を「地元のお母さん方と楽しむ」ものとして案内しています。JAおおいがわの女性部が料理教室や食農教育で重ねてきた経験を、その食体験に生かすそうです。

瀬戸の染飯を見る・買う

藤枝市下青島1006-3の千貫堤・瀬戸染飯伝承館は、染飯と、江戸時代の初めに大井川の氾濫から田中藩領の村々を守るために築かれた堤防の千貫堤(せんがんづつみ)を中心に、瀬戸のあたりの史跡を展示する施設です。運営は染飯千貫保存会で、保存会の人が解説します。入館は無料。開館は火曜から日曜の午前9時から午後4時で、11月から3月は火曜から金曜が午前10時から午後3時、土日祝は午前9時30分から午後3時に変わります。休みは月曜(祝日なら翌日)と12月28日から1月4日。駐車場は瀬戸公民館の20台で、徒歩5分です。令和5年度には文化庁の食文化ミュージアム(博物館の区分)にも認定されました。

食べるなら、藤枝市駅前1-6-19の喜久屋です。昭和29年創業の弁当・仕出しの店で、約60年前に藤枝の名物になるよう商工会議所と一緒に染飯を復活させました。昔は干し飯を戻して食べたものを、すぐ食べられるおにぎりの形にしたのがこの店です。いまは染飯弁当として売っていて、事前の予約が要ります。染飯を染めるくちなしの実は、山梔子(さんしい)という漢方薬でもあります。

農林水産省の郷土料理の頁には、瀬戸地域ではお祭りや祝い事のある時に作られ、市内のお祭りや行事のときに和菓子店で売られる、とあります。市内の飲食店にも、染飯を使った料理があります。

朝比奈ちまきの井戸

朝比奈ちまきは、藤枝市岡部の朝比奈谷のものです。藤枝市郷土博物館の頁に、旧岡部町教育委員会が平成10年に出した「岡部のむかし話」が転載されています。それによると、殿(との)という集落に「ちまきの井戸」と呼ぶ井戸があり、この水でちまきを作ったと伝わります。ちまきは五月五日の端午の節句に食べた餅で、村人は武家屋敷まで出かけて献上し、武士がこれを食べると勇気百倍でいつ戦っても大勝した、というのがその言い伝えです。

殿の朝比奈氏の所蔵伝録には、今川や武田に献上し、徳川家康の代にも数度献上の仰せつけがあった、と記されています。椿の木を焼いた灰汁でちまきを作り、三浦合戦に大勝したことから名が付いたという由来も、同じむかし話にあります。作り方は秘法で、椿の灰汁とも山茶花(さざんか)の灰汁ともいい、どちらかは分からない、と締めくくられています。

金谷駅から川根へ

らっか煮は川根路の味と認定の文にあり、川根本町へは大井川鐵道で入ります。JR東海道線の金谷駅で降りると、ホームの一部が大井川鐵道の金谷駅とつながっていて、新金谷駅まで大井川本線の普通電車で約4分。川根本町の千頭駅は、南アルプスあぷとラインで奥大井へ行く拠点です。

東京からは東海道新幹線で静岡駅まで約1時間25分、東海道本線で金谷駅まで約31分。名古屋からは新幹線で掛川駅まで約1時間、東海道本線で金谷駅まで約14分です。どちらも大井川鐵道のよくある質問にある目安です。列車の選び方は大井川鐵道のきかんしゃトーマス号の記事と関東の観光列車とSLの記事に分けてあります。

ほととぎす漬とらっか煮の売り場は未確認です。協議会と島田市・川根本町の公式サイトで確かめてから出かけてください。

大井川と東海道

大井川の流域は静岡県のほぼ中央で、島田市・川根本町・藤枝市・焼津市にまたがります。江戸時代は東海道の宿場町として栄えました。島田には国の指定史跡の島田宿大井川川越遺跡が残り、世界一長い木造歩道橋としてギネスブックに登録された蓬莱橋が架かります。瀬戸の千貫堤も、この川の氾濫から村を守るための堤防でした。流域は、全国でも有名な川根茶をはじめとするお茶の産地でもあります。

編集部の考え

認定の文で協議会が4品に共通して挙げているのは、お茶と一緒に味わうことです。由来は一つずつ違い、染飯は茶屋で売られた旅人の携帯食、朝比奈ちまきは武家への献上品、らっか煮は川根の家庭の煮物です。染飯は約60年前に喜久屋と商工会議所が復活させ、いまは染飯千貫保存会が伝承館で解説しています。4品のうち、公式の頁で売り場と形まで分かるのは染飯で、朝比奈ちまきは由来の話まで、ほととぎす漬とらっか煮は名前と材料までです。

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