「出来れば焼き立てをそのまま食べてもらいたいわ。」大館の十字屋きりたんぽ店の女将が、店の頁でおいしい食べ方として話している言葉です。大館駅から歩いて4分の工房では、その焼き立てを自分で作れます。ご飯をつぶして杉の棒に巻き、炭火で焼いたたんぽにみそを付けて食べ、残りを鍋に仕立てるまでが約2時間です(予約制、2名以上、1日1組)。
地元の秋田名物本場大館きりたんぽ協会の会員の店では、食べることも店頭で買うこともできます。家で食べるなら、協会の会員の3店に冷蔵の鍋セットがあり、日持ちは十字屋が到着日から、ベニヤマが製造日から数えるなど店ごとに違います。山王食品には賞味期限90日のレトルトのセットもあります。
杉の棒に巻いて焼くご飯
きりたんぽは、つぶしたご飯をすぎの木の棒に巻き付け、炭火などで焼き上げたものです。農林水産省の郷土料理の頁には「外側はカリっと、中はもちもちした食感」とあります。とりガラと調味料で作った鍋の具にすることが多く、家庭や地域によっては、しょうゆやみそを塗ってそのまま食べることもあります。
ベニヤマきりたんぽ工房の説明では、あきたこまちを「はんごろし」、つまり半分つぶした状態にして杉の棒に巻き付けます。棒に付いたまま焼き上がったもの、または棒から外して切る前のものが「たんぽ」で、食べやすい大きさに切ると「きりたんぽ」になります。協会の説明でも、たんぽを切るかちぎって鍋に入れることが名前の由来です。
だしも肉も比内地鶏
協会が「本場大館きりたんぽの条件」として挙げるのは、たんぽ、比内地鶏のガラからとっただし、比内地鶏の肉、ゴボウ、キノコ、ネギ、セリの7つです。キノコには「地場産の天然物が最上」と添え書きがあります。このほかに使える食材として、糸こんにゃく、サトイモ、食用菊が挙がっています。
味の付け方は、ベニヤマきりたんぽ工房の作り方の頁では、比内地鶏でとっただしに醤油と塩です。地域や家庭によっては酒とみりん、砂糖を加えるとも書かれています。
大館市の特産の頁によれば、比内地鶏は国の天然記念物の比内鶏をもとに生まれた地鶏で、出荷まで160日以上をかけて育てます。
大館駅から歩いて4分の工房で作る
ベニヤマきりたんぽ工房は大館市御成町2丁目にあります。体験は4つの工程に分かれ、最初にお米をつぶしておにぎりほどの種を作り、棒にほどよく伸ばし付けて炭火で焼きます。試食で付けるのは工房の甘いみそです。鍋には残りのたんぽと自分で切った野菜、鶏肉、工房のスープを入れ、たんぽに味が染みるまで少し待ってから食べます。持ち物は要らず、エプロンは貸し出しがあります。
開始は10時・11時・12時の3つの枠で、ほかの時間は問い合わせになります。料金はおとな1名(中学生以上)3,000円、小学生2,200円、8名以上の団体は1名2,500円で、どれも税込です。
申し込みは電話(0186-59-7773、9時〜17時)、FAX(0186-59-7774)、工房の体験概要の頁のフォームの3つで、どれも体験日の日曜・祝祭日を除いた3日前までに予約します。電話とFAXは当日の支払いで、ウェブと団体の申し込みは前払いです。キャンセル料は前日が50%、当日が100%です。
工房の定休日は日曜・祝日ですが、申し込みの電話の欄には休みが不定休とも書かれています。日を決めたら、予約の前に電話で確かめてください。
協会の会員の店で食べる、買う
大館市の頁にある協会の会員一覧には、店ごとに食事ができるか、買えるかが書かれています。きりたんぽ専門店むらさきは昭和19年創業で、住所は幸町12-9です。営業は11時〜14時と17時〜21時、休みは月曜と日曜の夜で、食事も買い物もでき、地方への発送もあります。店のコメントには、手作りのたんぽは1人前1本で茶碗2杯分の量だとあります。同じ幸町の北秋くらぶ(幸町15-6)は明治26年創業で、営業は11時30分〜21時、休みは不定休、食事も買い物もできます。出かける前に店へ電話で営業を確かめてください(むらさき 0186-42-0741、北秋くらぶ 0186-42-2033)。
十字屋きりたんぽ店は、常盤木町18-9の仲見世にある昭和23年創業の店で、会員一覧では買うための店です。店の案内では、営業は8時〜17時30分、年中無休です。
大館駅までの行き方
大館駅はJRの奥羽本線と花輪線の駅です。大館市観光協会の2024年6月の案内では、秋田市方面からはJRの特急で約90分、青森市方面からは特急で約70分、盛岡市方面からは花輪線で約3時間です。空路なら羽田空港から大館能代空港まで約1時間、空港からリムジンバスで約1時間かかります。
取り寄せる鍋セット
価格は2026年10月23日に各店の公式の頁で見た表示です。表の3店は、どれも協会の会員一覧に名前があります。
| 店と品 | 量 | 届き方 | 日持ち | 注文の方法 | 価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| 山王食品 きりたんぽセット | 2人前(きりたんぽ4本) | クール便 | 賞味期限5日(いつから数えるかの記載なし) | 注文の問い合わせは order@sannou.net | 4,600円(税と送料の扱いは未確認) |
| 山王食品 レトルトセット | 3〜4人前 | レトルト | 賞味期限90日 | 同上 | 未確認 |
| 十字屋 5本入りセット | 2人前(きりたんぽ5本) | 冷蔵(ヤマト運輸のクール便) | 到着日より2日間 | FAX | 5,500円(送料別・税込) |
| ベニヤマ 4人前セット | 4人前(きりたんぽ8本) | 冷蔵 | 製造日より5日 | ネットショップ・電話・FAX | 9,000円(税込・送料別)。10月23日は売り切れの表示 |
山王食品の2人前には、90gのきりたんぽ4本に比内地鶏肉150g、比内地鶏スープ200ml、舞茸、せり、長ねぎ、ごぼう、糸こんにゃくが入ります。十字屋の5本入りは、比内地鶏150gとスープ1袋、舞茸、長ネギ、ゴボウ、セリの組み合わせで、店はFAXで注文を受けていて、支払いは代金引換か銀行振込です。ベニヤマのスープは濃縮ではないストレートで、薄めずにそのまま使います。比内地鶏と野菜は切った状態で届き、作り方のレシピが付きます。
冷蔵のセットの日持ちは、十字屋が到着日から2日間、ベニヤマが製造日から5日で、山王食品はいつから数えるかの記載がありません。数え始めが違うので、表の日数だけでは長短を比べられません。十字屋の注文の頁で冷凍できると書かれているのは、きりたんぽと比内地鶏の2品です。
山王食品のレトルトセット(3〜4人前)は、商品一覧のセットの内容の欄に賞味期限90日とあります。中身はきりたんぽのレトルトパック2袋(表示は「3本入り270g」)、比内地鶏スープ(50g)2袋、乾燥舞茸4gです。ほかの作り手の品は、きりたんぽ鍋のセットを楽天市場で探すPRと、きりたんぽの名前で売られている品の一覧を見られます。
明治の料亭が出したもてなしの鍋
協会の説明では、きりたんぽは大館地方の家庭で「おふくろの味」として受け継がれてきたもので、明治中期に大館市内の料亭や旅館がもてなしの料理として鍋を出しはじめ、料亭の間で味や具材が決まっていき、それが今まで続いていることから、大館がきりたんぽの本場と言われています。協会の申請で文化庁の「100年フード」に認定されたときの説明は、料理を「江戸時代からあり」と書き起こし、新米の出回る秋には市内の至るところで「たんぽ会」が開かれると続け、「大館の人々にとってきりたんぽは生活から切り離せないものなのです」と結んでいます。生まれた土地については、農林水産省の頁が大館と鹿角の地方をともに発祥の地といわれる所として挙げています。