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新潟のえごと佐渡のいごねり:海藻を煮て固めた盆の料理、100年フードの由来と買い方

伝統の100年フード · 令和3年度認定

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白地に藍の絵付けの小鉢に盛られた、細く切った半透明のいごねり。刻みねぎとおろしショウガがのっている
佐渡の民宿で出されたいごねり(2024年7月、七浦海岸の大浦) 写真: Indiana jo(CC0、Wikimedia Commons)

新潟のえごは、紅藻のエゴノリを煮溶かし、よく練ってから固めた海藻の料理です。一口大に切って皿に盛り、からし酢味噌かわさび醤油で食べます。県内では「えご」とも「いご」とも呼び、お盆や冠婚葬祭の膳から外さずに来ました。佐渡では同じものを板状に薄く延ばし、くるくると巻いて細く切り、薬味をのせて醤油をかけます。こちらの名前が「いごねり」です。

文化庁が、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する「100年フード」の令和3年度の認定で、えごは伝統の100年フード部門に入りました。申請したのは越後えご保存会です。新潟県からは同じ年度に、へぎそば、村上市の鮭の食文化、背油ラーメンと合わせて4件が認定されています。

夏の漁と、山へ運ばれたえご草

えご漁が解禁されるのは、梅雨が明けた7月の土用過ぎです。お盆前までが漁期で、海藻の状態のものを「えご草」と呼びます。保存会のページでは、素潜りのほか船の上から長い竿状の漁具で採り、混じった別の海藻の細かな枝を一つずつ取り除いてから、浜に広げて天日に干す、という順です。

認定の文は保存会が書いたもので、「乾物にしたえご草は、海から遠く離れた山間の村々へ運ばれ」と続きます。保存会のページはもう少し具体的で、「江戸時代の史料には国境を越えて信州や会津地方にえご草が運ばれたことが記され」とあります。猪貝のえごのページには、北前船の往来で能登半島の輪島から出雲崎へえご草が運ばれた記録が残る、ともあります。県内の主な産地は佐渡と出雲崎で、猪貝では佐渡産を薄く延ばすいごねりに向くとし、出雲崎産は四角く固めて一口大に切り分ける食べ方を勧めています。

越後の角と、佐渡の巻き

越後では長方形の容器に固めてから四角に切るのが一般的です。佐渡では板状に薄く延ばしたものを巻いて細く切り、これがいごねりの名で通っています。農林水産省の「うちの郷土料理」のいごねりの項は、ねぎやしょうがの薬味をのせて醤油をかける佐渡の食べ方と、本土で煮こんで漉したものを固め、板状に切ってポン酢や酢味噌で食べる食べ方を分けて載せています。相川の海士町には、細く切ったいごねりにめんつゆをかける「海士町そば」があります。

同じ項によると、いごねりはもともと秋から冬にかけて各家庭で作り、冠婚葬祭の場を中心に食べられていたものです。製造業者が年間を通して作るようになってから、日常の食べ物に変わってきました。最近は黒蜜きなこを添えたスイーツ系のものが商品化され、バニラアイスを添える食べ方も考案されています。越後の側では、原藻で作った黒えごのほかに、魚沼などの山間部で天日乾燥を繰り返して脱色した晒しえごが好まれ、盆の精霊迎えに「鏡えご」という円形の供え物をする所もあります。

保存会とえごの日

越後えご保存会は2013年5月に発足し、長岡市を拠点に約80名の会員がいます。月1回の茶話会は参加自由で、お茶を飲みながらえごを語る会です。会報の「えごだより」も月1回出しています。4年に一度の「えごリンピック」は保存会が主催する祭典で、2021年5月の回では出雲崎のえご漁師を招き、会員が取材した漁と選別・乾燥の映像を見ながら話を聞きました。2024年5月15日の回はアオーレ長岡で開かれ、えご料理の紹介、県内のえご業者の試食と販売、えご名人が教えるえご練りの体験がありました。祭典のほかにも、自治体と組んだえご作り体験、新潟県立歴史博物館と調査研究を進めたえご食文化のパネル展示、えごを使った新作郷土菓子の商品開発を保存会は手がけています。

5月15日は保存会が定めた「えごの日」で、1と5で「いご」と読みます。認定の翌年の2022年には、新潟県立歴史博物館がこの日に記念講座を開き、保存会の会長の猪貝克浩さんが会の取り組みを話しました。

買える所と取り寄せ

保存会のページには「お盆や正月などの帰省シーズンには、えごの特設売り場が設けられる」とあります。ふだんの売り場は、猪貝が2023年7月に出した長岡のお土産の案内にあり、スーパーの原信、マルイ、ウオロク、イチコ、CoCoLo長岡 食品館、直売所のなじら〜て関原店と東店、ただいまーと、道の駅ながおか花火館などが並びます。2023年7月時点の一覧なので、今も置いているかは店に確かめてください。

佐渡では、佐和田のスーパーMARUIの中にある「佐渡の山田屋 喜右エ門」に丸中商店のいごねりが、エーコープ佐渡金井店の中の直売所「新鮮空間よらんか舎」に佐渡前浜産のきいろやのいごねりが並んでいました(新潟県観光協会のブログ、2024年6月)。スーパーごとに置いている作り手が違います。よらんか舎は9:00〜19:30で、休みは元旦(1月1日)。両津港から喜右エ門までは車で約30分、よらんか舎までは約20分です。

取り寄せは、猪貝のオンラインショップが10,000円(税抜)以上で送料無料です。猪貝は30年ほど前から商品に辛子酢味噌を添えて売っています。えごを見てようかんかこんにゃくかと迷い、食べ方が分からないという県外の客の声に応えたものです。佐渡の早助屋は60年ほど前からいごねりの製造を専門にしていて、直送便の通販で巻いごねりと角いごねりを売っています。行く前に品の形を見るなら、楽天市場で新潟のえごを探すPRとAmazonの検索結果PRで、角のえごと巻いたいごねりがどう売られているかを一覧で見られます。

長岡と佐渡へ

保存会への連絡は、長岡市新産の株式会社猪貝の電話、FAX、問い合わせフォームです。佐渡汽船は新潟港と両津港、直江津港と小木港の二つの航路で、公式サイトのアクセス案内では、東京から新潟までは新幹線で89分、新潟から佐渡までは佐渡汽船で67分です。時刻と運賃は同じサイトの航路ごとのページで確かめてください。

家で作るなら

農林水産省「うちの郷土料理」のいごねりのページにはレシピがあり、いご草100gを水2Lで煮て練り、薄く延ばして固めてから巻いて切ります。猪貝のレシピはえご草50gに水1000ccで、煮溶けたら弱火で10〜15分練り、溶けにくければ食酢を少量加える、とあります。

編集部の考え

新潟の人は、海藻を煮て固めただけのえごを、お盆と冠婚葬祭の膳から外さずに来ました。江戸時代の史料には、国境を越えて信州や会津地方にえご草が運ばれたことが記されています。今も帰省の時期には特設の売り場が立ちます。手作りできる人が減り、需要も落ちた中で、保存会は2013年5月に発足し、月1回の茶話会とえご作り体験を続けています。えご草の収穫は、かつて全国で毎年100トン前後あったといわれ、近年は30トンを超えれば豊漁と呼ばれます。

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