奈良国立博物館の仏像館は、2026年9月14日から休館しています。館のお知らせでは改修工事のためで、期間は約1年半、再開は令和10年(2028)春頃の予定です。休館前は、国宝や重要文化財を含めて常時100体近くの仏像を並べていた建物でした。
閉まったのは仏像館だけで、奈良博には入れます。休館の翌日の9月15日から、渡り廊下でつながる青銅器館の2階で、名品展「ナラハク仏像セレクション ―受け継ぎ、未来へ―」が始まりました。仏像館の休館中、青銅器館は無料です。10月24日からは、東西の新館で第78回正倉院展が開かれます。
1. 休館中の開館時間と行き方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仏像館 | 休館(2026年9月14日〜2028年春頃の予定) |
| 青銅器館 | 1階は名品展「中国古代青銅器〈坂本コレクション〉」、2階は名品展「ナラハク仏像セレクション」。仏像館の休館中は無料 |
| 開館時間 | 9:30〜17:00。土曜日は19:00まで(12月〜2月などを除く)。入館は閉館の30分前まで |
| 正倉院展の会期 | 10月24日〜11月9日は8:00〜18:00、金・土・日曜日と祝日は20:00まで。会期中は無休 |
| 休館日 | 毎週月曜日(祝日・休日の場合は開館し、翌平日に休館)、12月28日〜1月1日 |
| 最寄り駅 | 近鉄奈良駅から登大路を東へ徒歩約15分。近鉄奈良駅・JR奈良駅から市内循環バス外回りで「氷室神社・国立博物館」下車すぐ |
| 駐車場 | 専用の駐車場なし |
時間と料金は2026年9月22日時点、奈良国立博物館の公式サイトによります。
冬から春にかけては、奈良の行事に合わせて時間が変わる日があります。12月17日(春日若宮おん祭のお渡り式)、2027年2月3日(節分)、3月12日(二月堂修二会の籠松明の日)は19:00まで開き、2月8日と3月1日・8日の月曜日は休まずに開けます。遠くから来るなら、関西国際空港と大阪国際空港からリムジンバスでJR奈良駅(東口)まで出られます。車については、館の交通案内が正倉院展の期間は例年大変混雑するとしていて、正倉院展の公式サイトは車での来館を控えるよう求めています。
遠くから来て9時30分の開館に合わせるなら、前の晩の宿は楽天トラベルの近鉄奈良駅周辺のホテル・旅館の一覧PRで探せます。近鉄奈良駅からは登大路を東へ徒歩約15分です。
2. 青銅器館の2階に移った仏像
「ナラハク仏像セレクション」は、館蔵品と寄託品から選んだ仏像で、仏教美術と奈良の歴史を紹介する名品展です。展覧会のページには、館蔵の国宝・薬師如来坐像(平安時代、9世紀)の写真が載っています。何が出ているかは、館が9月11日にお知らせで掲出した展示品一覧で確かめられます。

1階の坂本コレクションは、商(殷)から漢の時代までの青銅器を並べる展示で、2021年2月23日から続いています。会場の青銅器館は、昭和12年(1937)に収蔵庫として建てられ、平成14年(2002)に坂本コレクションの常設展示室になった建物です。
休館前に仏像館にあった仏像のうち、セレクションに入らなかったものがどこにあり、ほかで公開されるのかは、館の休館のお知らせや仏像館のページに書かれておらず、未確認です。特定の1体を目当てに行くなら、先に展示品一覧でその名前を探してください。
名品展としていま開いているのは、青銅器館の2つだけです。東西の新館は特別展の会場で、正倉院展のあとに予定が出ているのは2027年7月10日〜9月5日の特別展「奇跡の壁画とシルクロードの至宝」です。奈良市とウズベキスタンのサマルカンド市の姉妹都市提携5周年を記念する展覧会で、開館時間や観覧料金は、確定し次第知らせるとしています。そのあいだに東西の新館で開く展示は、特別展・特別陳列のページには載っていません。

3. 名品展は無料、正倉院展は日時指定券
名品展の観覧料は、ふだんなら一般700円、大学生350円です。高校生以下と18歳未満、70歳以上は無料。仏像館の休館中は青銅器館が無料なので、いまは一般の大人も払わずに入れます。
正倉院展は料金も入り方も別で、観覧には原則として事前予約制の日時指定券が要ります。一般2,000円、高大生1,500円、小中生500円。名品展では無料の70歳以上も、正倉院展は一般の日時指定券を買う必要があります。無料になるのは、障害者手帳かミライロIDを持つ人(介護者1名を含む)や未就学児などで、券は買わずに証明書を見せて入ります。
券は9月4日に売り出され、展覧会オンラインチケット、ローソンチケット、美術展ナビチケットアプリなどで扱っています。レイト割は月〜木曜日が16時以降、金・土・日曜日と祝日が17時以降の枠に付き、一般1,500円、高大生1,000円、小中生は無料です。最終入館は17時、金・土・日曜日と祝日は19時。指定した日時以外には入れませんが、入れ替え制ではありません。1回に買えるのは8枚までで、団体券はなく、変更・キャンセル・払い戻しはできません。

正倉院展の公式サイトは、午前中から午後3時までの枠で入場待ちや会場の混雑を見込み、早朝や夕方の枠を勧めています。枠に空きがあれば敷地内の特設窓口で当日の日時指定券も売りますが、1枚200円の発券手数料がかかります。同じサイトは、正倉院展の会期中も青銅器館には無料で入れると案内しています。
4. 奈良で最初の本格的な洋館と、寺社から預かった宝物
仏像館の建物は明治27年(1894)に完成しました。設計は宮内省内匠寮の技師だった片山東熊で、奈良で最初の本格的な西洋建築とされ、フレンチルネサンスの様式です。この建物を本館に、明治28年(1895)4月に帝国奈良博物館が開館しました。昭和44年(1969)に「旧帝国奈良博物館本館」として重要文化財に指定され、平成22年(2010)に「なら仏像館」、令和7年(2025)に今の「奈良国立博物館 仏像館」へと名前を変えています。
沿革のページによると、奈良に国立の博物館を置いた趣旨は、社寺に伝わる宝物を博物館で保管・公開し、その価値を広く知らせて保護に協力することでした。昭和に入ると寺社からの寄託品が増え、陳列館(いまの仏像館)の収蔵庫が狭くなったため、昭和12年(1937)に収蔵庫が建てられます。それがいまの青銅器館です。
正倉院展も、この館で始まった展覧会です。昭和21年(1946)10月に奈良帝室博物館(いまの奈良国立博物館)で第1回が開かれ、22日間で約15万人が入りました。その後は、東京で開いた3回を除いて毎年奈良で開かれています。
5. 編集部の考え
仏像館の休館は約1年半とされていますが、再開は「春頃(予定)」で、日付はまだ出ていません。そのあいだ、奈良博の仏像は青銅器館の2階で見られます。展示の場所が一つの階に移ったぶん、仏像館のころほどの数は並ばないと思います。そのかわり料金はかからないので、東大寺や春日大社へ向かう途中に短く寄る、という使い方ができます。
正倉院展の会期に家族で行くなら、気をつけたいのは券の数です。70歳以上の家族は、名品展なら無料でも、正倉院展では一般2,000円の日時指定券が要ります。正倉院展に入らない人も青銅器館には無料で入れるので、正倉院展は見たい人だけが券を買い、ほかの人は青銅器館の仏像を見て待つ、という分け方もできます。
2028年春の再開に合わせて仏像館を目当てに計画を立てるなら、再開日の発表を見てからにしてください。