なみえ焼そばは、通常の約3倍の太さの中華麺を、豚肉とモヤシだけの具とソースで炒めた福島県浪江町の焼そばです。卓上の一味唐辛子を振りかけて食べるのが通の食べ方とされます。町内で出す店は、商工会青年部が2026年6月に出した提供店MAPで7店。道の駅なみえの食堂では、請戸産のしらす丼とセットにしたメニューが人気の一番に挙がっています。
文化庁が、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する「100年フード」の令和6年度の認定で、なみえ焼そばは未来の100年フード部門に入りました。申請したのは浪江町商工会です。
太い麺と、豚肉とモヤシだけの具
商工会が文化庁に出した文では、なみえ焼そばは約65年前に「労働者のために食べ応えと腹持ちをよくするために考案されたとされています」。太い麺のほかは、「うまみたっぷり濃厚ソース、豚肉とモヤシだけのシンプルな具が特徴です」。由来の年数は伝聞のままで、商工会のページには約50年前と書いた箇所もあり、考案した人や店の名前は商工会と文化庁の文には出てきません。
商工会はなみえ焼そばの定義を3つに絞っています。中華麺の太麺を使うこと、具はモヤシと豚肉を基本とすること、ソース味であること。この3つに当てはまれば、店ごとの味付けや盛りは問いません。
多くの提供店では、九頭の馬を描いた「馬九行久(うまくいく)」の皿で出されます。地元の大堀相馬焼に330年以上伝わる絵柄で、開運成就の意味があると浪江商事のページにあります。上の写真の皿の縁にある「何事も馬九行久」は、2026年版MAPの表紙にも「なにごともうまくいく」の読みで載っています。
浪江焼麺太国とB-1グランプリ
なみえ焼そばの名前で町おこしを始めたのは、浪江町商工会青年部です。2008年11月に青年部が中心となって「浪江焼麺太国」を作り、焼そばを頭に乗せた「やきそば太王」と「麺バー」が広報を始めました。2010年11月には浪江町で東北4大やきそばサミットを開き、人口約2万1000人の町に2日間で約3万人が来たと商工会の沿革にあります。
B-1グランプリでは、2011年11月の姫路大会と2012年10月の北九州大会で4位に入りました。2013年11月の大会での優勝は、商標を管理する浪江商事の年表にあり、道の駅なみえの案内ではゴールドグランプリと呼んでいます。商工会の沿革は2012年の北九州大会までで、優勝した回の数字は公式の控えには出てきません。
名前は2017年3月24日に地域団体商標として登録されました(登録第5934383号、商標権者は浪江町商工会)。商標の管理は株式会社浪江商事が受託し、使用料は普及活動と町おこしの事業に充てられます。なみえ創成小学校での焼そばの授業と、東北五大やきそばサミットinなみえの開催が、その使い道として挙がっています。
全町避難から町内7店まで
2011年3月11日の東日本大震災と、翌日の福島第一原子力発電所の事故で、浪江町には町内全域に避難指示が出ました。震災当時の人口は約21,500人で、全国に散り散りになりました。浪江焼麺太国の麺バーもばらばらになりましたが、2011年4月には町民の避難先の二本松市で炊き出しを始め、同じ年の姫路大会に各地の避難先から集まって出展しています。
町内の提供店は、2010年4月に21店でした。避難指示解除準備区域と居住制限区域の避難指示が解けたのは平成29年3月31日で、道の駅なみえは2020年8月に開きました。浪江商事の年表では、2024年4月の町内の提供店は7店です。町の現況のページによると、町内の居住者は一時0人になったあと、現在は約2,400人まで戻っています。
道の駅なみえの自己紹介は、請戸川リバーラインの桜、請戸漁港の海の幸、大堀相馬焼、なみえ焼そば、銘酒「磐城壽」を並べたあと、こう続きます。「自慢できるものなら、いくらでもあります」。
町内で食べられる店
2026年版の提供店MAPに載る町内の7店は、食事処いふ・新妻荘(川添、17:00〜21:00、日曜・祝日休み)、道の駅なみえ(幾世橋、10:00〜18:00、毎月最終水曜休み)、如水(高瀬、11:00〜14:00、土日祝休み、予約のみ)、ジンギスカン絆、なみえアベンジャーズバル、たまげた屋、ジョワイストロナミエ(この4店は権現堂)です。ジョワイストロナミエには「請戸風なみえ焼そば」という特別メニューがあります。営業時間と休みは店ごとに変わるので、MAPも直接問い合わせるよう書いています。
浪江商事の提供店の一覧(2026年6月末日現在)では、町内は焼肉居酒屋DONを加えた8店です。同じ一覧に町外の5店もあり、麺屋神(富岡町)、豚壱(楢葉町)、新田川温泉はらまちユッサ(南相馬市)、かもし処ひょん(東京都葛飾区)、てびねり(長野市)で食べられます。
道の駅なみえの食堂はフードテラスかなでで、10:00〜18:00(17:30 ラストオーダー)。なみえ焼そばとミニ丼のセットが数種あり、しらす丼ミニとの組み合わせを人気の一番に挙げています。道の駅のお知らせには2026年9月28日付で定休日の案内が出ているので、行く日が休みに当たらないかは公式で確かめてください。
浪江駅から道の駅なみえへ
浪江駅はJR常磐線の駅で、品川方面からの特急ひたちが止まり、仙台まで行く便もあります。普通列車は下りが原ノ町行き、上りはいわき行きか水戸行きです。提供店MAPの目安では、仙台から浪江までJRで約1時間15分、上野からは約2時間10分。
道の駅なみえは浪江町幾世橋字知命寺60にあり、浪江駅から徒歩約15分、常磐自動車道の浪江ICから車で約10分です。駅と道の駅の間のバスは未確認で、公式の案内は徒歩と車だけです。
買える品と取り寄せ
道の駅なみえの直売所いろどり産直いなほは、町内の野菜や海産物と道の駅の自社商品を売っていて、10:00〜18:00。同じ建物のまちのパン屋さんほのか(10:00〜16:00)には、なみえ焼そばを挟んだパンがあります。提供店MAPの関連商品には、相馬市の旭屋が作る2食入と3食入の麺、なみえ焼そばポテトチップス、ソースせんべいが並びます。
通販は、道の駅なみえのオンラインストアに「ご飯にかける なみえ焼そば」が594円(送料は全国一律1,150円)で出ています。楽天市場でなみえ焼そばを探すPRと、麺の袋やギフトボックスの売られ方を一覧で見られます。
編集部の考え
浪江町商工会は、約65年前に労働者の食べ応えと腹持ちのために考案されたとされる焼そばを、太い中華麺・豚肉とモヤシ・ソース味の3つの定義で守っています。2010年4月に町内21店で出されていた焼そばは、2011年3月の全町避難のあと、2024年4月の時点で町内7店になりました。商工会青年部が2026年6月に出した提供店MAPは、その7店と町外5店の住所・営業時間・休みを載せ、浪江町で食べた人が令和9年1月31日まで答えられるアンケートを付けています。