三面川(みおもてがわ)を上る鮭を、新潟県村上市ではイヨボヤと呼びます。イヨもボヤも魚を意味する言葉で、市の特産品のページには、「三面川の鮭でなければ鮭とはいえない」と言い切るほど鮭と密着した暮らしを営んできた、とあります。村上市が申請し、令和3年度に文化庁の100年フード(伝統の100年フード部門)に認定された申請の文では、鮭は「捨てるところが無い」と言われるほど殆どの部位が使われ、百種類以上の鮭料理があるとされます。
その料理を店で食べるなら、割烹や料亭の鮭のコースと、駅前の宿のはらこ丼があります。店ごとの料理と予約・時間を先に表にし、部位ごとの料理はその後ろにまとめました。
はらこ丼と鮭のコースを出す5軒
新潟県観光協会のにいがた観光ナビの鮭料理の特集(2026年9月17日更新)に載る店のうち、鮭のコースや膳を出す5軒です。鮭のコースを秋だけ出す店と通年で出す店があり、石田屋と海鮮一鰭は時期が書かれていません。
| 店(村上駅から) | 鮭の料理と時期 | 予約と時間 | 定休日・電話 |
|---|---|---|---|
| 割烹 新多久(徒歩約25分) | 特集の案内では、鮭づくしは毎年10月〜12月までの期間限定。八寸に焼漬け、昆布巻、ハラコのみそ漬け。鮭やイクラを糀で漬け込んだ飯ずしも出る。コースは3,000円から | 昼夜とも完全予約制。昼12:00(最終来店)、夜17:00〜21:30(最終入店19:00) | 火・水曜。0254-53-2107 |
| 割烹 善蔵(タクシー約5分) | 鮭料理のフルコースは10月から12月限定。同じ紹介文に、秋の料理は12月10日頃までともあるので、12月は店に確かめる。めふん、白子、洗い、焼漬け、はらこごはん | 要予約。10:00〜22:00(ランチ11:00〜14:00) | 不定休。0254-53-3813 |
| 料亭 能登新(徒歩約15分) | 通年で出す鮭会席と、鮭のフルコース。極みはらこ飯もある | 要予約。昼11:30〜14:00(最終入店13:00)、夜17:00〜23:00(最終入店20:00) | 月曜(変更あり)。0254-52-6166 |
| おもてなしの宿 石田屋(徒歩約1分) | はらこ丼。みおもて定食はミニはらこ丼に塩引き鮭、酒びたし、昆布巻が付く。時期の記載なし | 予約の記載なし。11:00〜13:45、17:30〜19:45(どちらも最終入店) | 不定休。0254-53-2016 |
| 越後村上うおや直営店 海鮮一鰭(徒歩約20分) | 黒御膳(塩引き鮭、イクラのしょうゆ漬け、刺身)、海鮮はらこ丼。時期の記載なし | 予約の記載なし。11:00〜14:00(LO) | 木曜、年末年始ほか不定休。0254-52-3056 |
特集で値段が出ているのは、新多久のコースの3,000円からです。予約が要るか、何日前までか、一人で頼めるかは、電話で確かめてください。夜の店から列車で帰るなら、村上駅の羽越本線 新津方面(上り)の時刻表では、平日も土休日も最後の列車は22時15分発です。
止め腹の塩引き鮭と、半年干す酒びたし
料理の始まりにあるのが、各家で作る塩引き鮭です。村上市観光協会の塩引き鮭のページでは、塩引き鮭作りは「その家の主の仕事」で、作り方も家ごとにこだわりがあるとされています。城下町だった村上では切腹を忌むとされ、腹を二段に分けて切ります。止め腹と呼ぶ切り方です。内臓を取り出して塩をすり込み、1週間ほど置いてから塩出しをして、2週間ほど風に当てます。つるすときは尾から下げるのが村上流と、同じページは紹介しています。
町に塩引き鮭が下がるのは12月上旬と、このページにあります。晩秋から初冬に日本海の湿気を帯びた風でゆっくり乾かすので、身が柔らかく、うまみが出るとされます。できた塩引き鮭は年取り魚として大晦日の食卓に上ります。
大晦日に食べずに、そのまま寒風を受けて年をまたぐ塩引き鮭もあります。冬から夏の村上大祭の頃まで約半年、村上の風にさらすと、身は水分が抜けて漁獲時の3分の1ほどの重さになり、カチカチになります。これが鮭の酒(さか)びたしで、皮をはいで薄く削ぎ、日本酒か本みりんを少し振って3〜5分ひたしてから食べるもの、と観光協会は紹介しています。祭礼のお膳に載るのも酒びたしです。
部位ごとの料理と、出す店
身のほかの部位にも料理があります。観光協会の伝統の鮭料理のページに挙がっている料理を部位ごとに並べ、上の特集でその料理の名前が出てくる店を添えました。
| 部位 | 料理 | どんな料理か | 特集で名前が出てくる店 |
|---|---|---|---|
| 身 | 塩引き鮭 | 塩をすり込み、風にさらして熟成させる | 石田屋、能登新、海鮮一鰭 |
| 身 | 酒びたし | 塩引き鮭をさらに約半年干したもの | 石田屋(みおもて定食) |
| 身 | 焼漬け | 身を白焼きにして、しょうゆだれに漬け込む | 新多久、善蔵 |
| 身 | 昆布巻 | 身を昆布で巻き、しょうゆだれで煮込む | 新多久、石田屋 |
| 卵 | はらこ | 卵を醤油などで味付けする。ご飯にのせるとはらこ丼 | 石田屋、新多久、善蔵、能登新、海鮮一鰭 |
| 背ワタ | めふん | 背ワタを塩漬けにした珍味 | 善蔵 |
| 内臓 | なわた汁 | 内臓を野菜と一緒にみそ汁にする | なし |
| 心臓(どんびこ) | どんびこ煮 | 心臓を集めて甘辛く煮る | なし |
| 皮といくら | 卵皮煮(こかわに) | すり身に刻んだ皮やいくらを入れたつみれを、すまし汁に浮かべる | なし |
なわた汁、どんびこ煮、卵皮煮を食べたいときは、店に問い合わせてください。
10月26日からの居繰網漁と、イヨボヤ会館
居繰網漁(いぐりあみりょう)は、今では三面川だけに残る、江戸時代から伝わる漁法だと観光協会は紹介しています。川幅いっぱいに設けた柵(ウライ)の下流で、漁師が小回し舟という川舟を操り、300〜400メートル下りながら網で鮭を捕ります。
2026年は10月26日(月)から11月30日(月)まで(例年は10月中旬〜11月末)。月・火・木・金曜は9:00ごろ、土・日曜と祝日は9:00ごろと13:30ごろに始まり、水曜は休漁です。見学は無料で、場所は三面川の左岸、村上駅から徒歩で約20分。状況によって早く終わることがあり、悪天候や西風が吹くときなどは出漁しないことがあるので、問い合わせは村上市観光課(0254-75-8943)へ。
漁を見たあとに寄れるのが、三面川のほとりのイヨボヤ会館です。三面川の分流・種川の中をガラス越しに観察でき、秋には遡上する鮭も見られると観光協会は案内しています。2026年7月1日から毎週水曜(祝日のときは翌日)が休館日に加わりました。鮭の日の11月11日(水)は臨時開館しますが、水曜なので居繰網漁は休みの日です。村上駅からは徒歩で約18分です。
塩引き鮭と酒びたしを買える店
観光協会の鮭が買えるお店の一覧から3軒です。永徳 鮭乃蔵 本店は、塩引き鮭と鮭の酒びたしを販売しています。千年鮭 きっかわでは、天井の梁から吊り下がるたくさんの鮭を見ながら、説明を聞けます。JR桑川駅前の山正鮮魚は、電話・FAX・ホームページからの注文で全国へ発送しています。
楽天市場の村上の塩引き鮭の一覧PRとAmazonの検索結果PRには、三面川の鮭や村上の店の品でないものも並びます。産地と作り手、冷蔵か冷凍かと量を、商品ページで見て選んでください。