GREEN×EXPO 2027(横浜花博)の会場になる旧上瀬谷通信施設地区には、会期のあとテーマパークができる予定です。作るのは三菱地所を代表事業者とする11社で、横浜市は2023年9月14日、三菱地所を地区の「観光・賑わい地区」の事業予定者に決めました。提案の名前は「KAMISEYA PARK(仮称)」です。
開業の時期は、2023年の提案では「令和13年(2031年)頃」でしたが、三菱地所などが2026年3月25日に横浜市へ出した環境影響評価の配慮書では「2030年代前半」になっています。名前は仮称のまま、時期は目標の段階です。
1. 決まっていること(どの資料の、いつの数字か)
| 項目 | 内容 | 資料 |
|---|---|---|
| 事業者 | 三菱地所(代表事業者)。配慮書では相鉄ホールディングス、東急などを加えた11社 | 市の決定は2023年9月14日、11社は2026年3月の配慮書 |
| 名前 | KAMISEYA PARK(仮称)。配慮書の事業名は「(仮称)旧上瀬谷通信施設観光・賑わい地区開発事業」 | 2023年9月の提案、2026年3月の配慮書 |
| 場所 | 旧上瀬谷通信施設地区の「観光・賑わい地区」。横浜市旭区上川井町、瀬谷区瀬谷町 | 配慮書 |
| 面積 | 計画区域は約70.65ha。提案の敷地は約706,500㎡で、うちテーマパークゾーン514,000㎡ | 提案と配慮書(内訳は同じ) |
| 来街者 | 開業時は年間1,200万人の見込み、段階的に1,500万人超を目指す | 提案と配慮書 |
| 開業 | 令和13年(2031年)頃 → 2030年代前半 | 2023年9月の提案 → 2026年3月の配慮書 |
| 着工 | 2028年(令和10年)以降 | 配慮書 |
| 駐車場 | 4,500台程度、駐輪450台程度 | 提案と配慮書 |
2. どこがテーマパークで、どこが公園として残るか
旧上瀬谷通信施設は、米軍に接収され、2015年6月30日に全域が返還された約242haの跡地です。返還までの約70年間は米軍施設として土地の利用が制限され、地権者を中心に農業が営まれてきました。横浜市は2020年3月に土地利用基本計画を作り、地区を農業振興地区、観光・賑わい地区、物流地区、防災・公園地区の4つに分けました。

テーマパークができるのは、このうちの観光・賑わい地区です。配慮書の計画区域は約70.65ha。提案の内訳は、テーマパークゾーン514,000㎡、駅前ゾーン70,000㎡、公園隣接ゾーン65,500㎡、環4西ゾーン57,000㎡の4つで、あわせて約706,500㎡です。テーマパークそのものは敷地面積約51haで計画されています。配慮書には、計画区域は横浜市などと協議中で、今後変わる可能性があるという注記が付いています。
花博の会場になる公園の区域は、会期のあとも(仮称)旧上瀬谷通信施設公園として整備が続きます。所在地は瀬谷区瀬谷町と旭区上川井町、面積は約650,000㎡。市はこの公園を、GREEN×EXPO 2027の理念や取組を踏まえ、発災時には広域防災拠点になることから、「環境」と「防災」をテーマにした「新しい公園」として整備します。テーマパーク側では、提案の資料が公園隣接ゾーンを「GREEN×EXPO 2027 会場跡地」と書き、都市公園との結節点として「農と食」や「Well-being」を掲げた、自然をコンセプトとした商業施設を置くとしています。
3. 三菱地所と10社が事業者、手続きは配慮書の段階
事業者は公募で決まりました。横浜市は2023年2月24日、「テーマパークを核とした複合的な集客施設」の立地を目指して観光・賑わい地区の事業者を募り、提案は1者でした。審査委員会が9月4日に答申し、市は地権者でつくるまちづくり協議会と調整のうえ、9月14日に三菱地所を事業予定者に決めました。
配慮書には事業者の全社名が載っています。計画段階事業者は三菱地所(代表事業者)、相鉄ホールディングス、東急不動産、東急、住友商事、高砂熱学工業、九州電力、クラフティア、大日本印刷、三菱倉庫、芙蓉総合リースの11社で、代表事業者の三菱地所が他の10社から手続きの委任を受けています。事業の種類は「第2種特定工作物の新設(遊園地)」で、工事の着手は2028年(令和10年)以降、開業は2030年代前半が目標です。
手続きは横浜市環境影響評価条例に基づく環境影響評価で、いまは最初の段階にあります。配慮書は2026年3月25日に提出され、市長の配慮意見書は5月27日付で作られました。次の方法書は「未定」で、そこから先の手続きには日付が入っていません。
4. 瀬谷駅からの交通は、バス専用道と連節バスの「案」
地区に鉄道を引く案は、いったん消えています。横浜市は2020年1月、「(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業」の環境影響評価の配慮書を出し、同年7月に方法書、8月には4回の説明会を開きました。この手続きは2024年3月27日に廃止の届出が受理され、理由は「修正後の事業が第1分類事業又は第2分類事業のいずれにも該当しないため」とあります。
代わりに市が2024年2月13日、市会の建築・都市整備・道路委員会に示したのが、瀬谷・上瀬谷間のバス専用道です。配慮書の整理では、相鉄本線瀬谷駅の近くに地下駅の(仮称)瀬谷ターミナルを造り、シールドトンネルの専用道で地上の(仮称)上瀬谷ターミナルと結ぶ計画です。市会の資料は、連節バスが最大3台で隊列走行する輸送システムを目指すとしていて、自動運転は将来の目標です。道路などのインフラ整備は市、バスの運行は民間が行う想定で、総事業費は現時点で約466億円と見込まれています。供用開始の目標は2030年代前半。配慮書は、詳細ルートは未定と注記しています。

同じ市会の資料では、地区と東名高速道路を直結する新しいインターチェンジも検討されていて、概算整備費は360億円程度、供用開始の目標はこちらも2030年代前半です。
どちらも「目指す」「検討」の段階で、経路も時期も決定ではありません。会期中の会場への行き方は花博の会場アクセスの記事に書いています。
5. 会場の周りの工事と、公園に残るもの
協会(公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会)が2025年5月の工事説明会で示した資料では、会場の周辺で、環状4号線の目黒交番前交差点の立体化(2026年の完成が目標)、八王子街道の4車線化、相鉄本線の下をくぐる瀬谷地内線のトンネル工事が進められていました。

会期中に見えるもののうち、公園に残るものもあります。同じ資料は、会場に約40種類600本以上の桜を配置し、会期後も地域の人が楽しめる花と緑の名所にするとしています。平屋のパークセンター2棟(延床面積は約3,900㎡と約2,500㎡)は、会期中は展示施設として使い、公園の公開後は環境体験学習施設や環境活動拠点になります。
公園そのものの計画はこれからです。市は2026年6月26日、「新しい公園計画策定に向けた試験的取組等検討業務」の受託者を公募型プロポーザルで募りました。結果は市のページで「今後掲載予定」です。配慮書によると、公園の整備は花博の会期中は一時中断し、閉会後に再開する予定です。
6. まだ決まっていないこと
正式名称、開業日、入場料、個々のアトラクションの中身は、横浜市が公表した提案の概要にも、2026年の配慮書にも載っていません。未確認です。提案にあるのは、テーマパークゾーンを「最先端のエンターテイメントが集まるエリア」「子供から大人まで楽しめるエリア」「スリルあふれるエリア」などに分けること、映像などの入れ替えで中身が変わる可変型アトラクションを置くことまでです。市の資料には、提案の内容は事業提案時のもので、今後変更する可能性があるという注記があります。