三鷹の森ジブリ美術館の受付で渡すきっぷは、映画の上映に本当に使える35mmフィルムです。どの場面が当たるかは、もらうまで分かりません。館の案内によると、この受付では子どもも踏み台にのぼって、自分の手できっぷを受け取ります。
その訳は「小さな子どもも一人前に扱います」です。もとになっているのは、館主の宮﨑駿が署名した「館主のことば」です。建物・運営・展示物・カフェ・ショップ・公園との関係について、したいこととしたくないことを並べた文で、運営の項に「小さな子ども達も一人前にあつかいたい」と書かれています。美術館全体については「入った時より、出る時ちょっぴり心がゆたかになってしまう美術館」にしたい、というのが願いです。
入場は日時指定の予約制です。チケットは毎月10日の10時に翌月の入場分が発売され、売るのはローソンチケットだけで、美術館の窓口では扱っていません。当日に行っても入れないので、行く日を決めたら、その前の月の10日に予約することになります。
順路のない建物
館主のことばの運営の項には、「道順だの、順路だのと、あまりお客さんを管理したくない」という一行もあります。建物の項では、人の少ない時間にこそ落ち着ける場所であってほしい、と願っています。
建物は地上2階・地下1階で、中央ホールは地下1階から2階までの吹き抜けです。館の案内は、螺旋階段や空中廊下、張り出したテラスが「迷路のような空間」を作っていると書き、展示室に入る前に好きなところを見つけてほしいと勧めています。2階にはネコバスの部屋があり、使えるのは小学生以下だけです。屋上には約5メートルのロボット兵が立っています。

図書閲覧室「トライホークス」には、宮﨑駿館主とジブリ美術館が選んだ絵本・児童書が並びます。この部屋は、「子ども達にふしぎなものを見て、触れて、感じて欲しい」という思いを本の形で伝える場所です。
美術館は三鷹市の「公の施設」で、2001年10月1日に開館しました。管理運営は、三鷹市・徳間書店・日本テレビ放送網が主体となって設立した公益財団法人徳間記念アニメーション文化財団が、市の指定を受けて行っています。
映画ができるまでの展示と土星座の短編
館主のことばの展示物の項では、今までの作品の絵が並んでいる「おもいで美術館」にはしたくない、と言っています。地下1階の常設展示室「映画の生まれる場所」は5つの小部屋でできていて、机の上の描きかけの絵や壁一面のスケッチから、一本の映画が完成するまでを追う構成です。2026年7月の美術館日誌には、ベテラン作画スタッフの斉藤昌哉さんが「作画実演」をした日の話も載っています。
映像展示室「土星座」は80人ほどが入る小さな映画館で、スタジオジブリがここのためにつくった短編アニメーションを上映します。鑑賞は1人1回限りです。9月30日までは「パン種とタマゴ姫」(約12分)、10月1日から11月3日までは「くじらとり」(約16分)、11月19日から11月30日までは「たからさがし」(約9分)の予定です。「やどさがし」「水グモもんもん」「パン種とタマゴ姫」「毛虫のボロ」以外の作品は、1日に数回、日本語字幕付きで上映し、音声補助イヤホンの貸し出しもあります。
開催中の企画展示『山脇百合子の仕事部屋』展
企画展示は『山脇百合子の仕事部屋』展で、2025年11月19日から2027年5月までの予定です。山脇百合子さんは、中川李枝子さんが書いた童話『いやいやえん』や絵本『たからさがし』の絵を描いた人で、土星座の「くじらとり」と「たからさがし」は、この姉妹の本をもとにした映画です。館の紹介文によると、これらのお話は宮﨑駿監督に「どうしてもアニメーションにしてみたい」と思わせた作品でした。展示では、高校生の頃に始まった画業を物語る仕事部屋を再現しています。館の説明では、絵の秘密はその部屋を細かく見ていくうちに見えてくる、ということです。
チケットと入場時間
チケットはローソンチケットのウェブサイトで予約し、受け取りはスマートフォンアプリの電子チケットか、ローソン店頭で発券する紙チケットを選びます。公式サイトの例では、6月10日10時に7月入場分が発売されます。
料金(税込)は大人・大学生1,000円、高校・中学生700円、小学生400円、幼児(4歳以上)100円で、4歳未満は無料です。団体・前売りなどの割引制度はありません。転売されたチケットでは入場できません。三鷹市と近隣の市民向けの枠はみたか都市観光協会のウェブサイトに案内があり、海外に住む人はJTBグループを通して買う方法とローソンチケットの英語サイトで予約する方法があります。
開館は10時〜18時で、入場時間は10時・11時・12時・13時・14時・15時・16時の7回です。指定入場時間から1時間以内に入場し、入れ替え制ではないので、早い枠ほど館内で長く過ごせます。1時間を過ぎた場合にどうなるかは公式サイトに書かれておらず、未確認です。再入場はできません。休館日は毎週火曜日で、そのほかの休館日と長期休館は年度ごとに変わり、公式サイトの開館カレンダーに出ます。
館内の撮影と食事
館内での写真撮影と動画撮影は、遠慮するよう求められています。理由は「思い出は心の中に大切にしまって持ち帰って欲しい」からです。商業目的の撮影は断っていて、館内では携帯電話の使用も控えます。地下1階の常設展示室にはストロボの点滅を使った展示があるので、光に敏感な人は気をつけてください。
館内での飲食はできず、持ち込んだものもカフェで買ったものも、カフェ「麦わらぼうし」の店内か前のデッキで食べます。店内は10:30、デッキは11:00に開きます。敷地内は全面禁煙で、ペットは盲導犬・聴導犬・介助犬を除いて入れません。

ベビーカーや車椅子で行くとき
館主のことばには「ハンデをもっている人にできるかぎり配慮したい」ともあります。ベビーカーはベビーカー置場に置いてから館内に入ります。おむつかえ台は各階のトイレと、館外とカフェの多目的トイレにあり、授乳室を使いたいときはスタッフに相談します。
車椅子は3台を無料で貸し出しています。1階の入口から地下1階へは段差解消機、地下1階から2階まではエレベーター2機で移動できますが、屋上へのエレベーターはありません。土星座には車椅子のまま見られるスペースが2〜3台分あります。コインロッカーは96個で、100円を入れて取り出すときに戻る方式です。
三鷹駅からの行き方
美術館は東京都三鷹市下連雀1丁目1-83、都立井の頭恩賜公園の西園の中にあります。JR三鷹駅南口から玉川上水沿いに歩いて約15分で、三鷹駅へは新宿駅からJR中央線の快速で20分です。

歩かないなら、三鷹駅南口の9番のりばからコミュニティバス「みたかシティバス」で美術館まで約5分です。ルート1(ジブリ美術館経由の循環)とルート2(明星学園行き)の2路線があり、運賃は大人が現金・ICとも230円、子どもが現金120円・IC50円です。バスは美術館の休館日には運休します。吉祥寺駅と京王井の頭線の井の頭公園駅からも徒歩約15分です。
遠くから来て朝10時の枠に合わせるなら、前の晩の宿は楽天トラベルの吉祥寺・立川など東京の西部のホテル・旅館の一覧PRで探せます。
美術館に駐車場はなく、公式サイトは車での来館を控えるよう求めています。障害のある人が車で来る場合は事前の相談が要ります。自転車は敷地内に約100台分の駐輪場があります。
編集部の考え
館主のことばの最後には、したくない美術館として「人間より作品を大事にしている美術館」が挙がっています。写真を撮らないでほしいという頼みも、子どもに自分の手できっぷを取らせる受付も、この一行から読むと筋が通ります。愛知のジブリパークは別の施設で、行き方とチケットはジブリパークの記事にまとめてあります。