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深谷の煮ぼうとう:幅2.5cmの生麺を深谷ねぎと煮込む、渋沢栄一ゆかりの郷土料理

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赤レンガ造りで、中央に時計と緑の屋根を載せた深谷駅の駅舎。手前は石畳の駅前広場
東京駅を模したデザインの JR 高崎線 深谷駅の駅舎(2014年10月4日撮影) 写真: くろふね(CC BY 3.0、Wikimedia Commons)

深谷の煮ぼうとうは、幅およそ2.5cm、厚さ1.5mmほどの幅広の麺を、深谷ねぎと根菜と一緒に生の麺のまま煮込み、しょうゆで味をつけた麺料理です。この料理を文化庁に申請した武州煮ぼうとう研究会の文には「生麺から煮込むことで、適度なとろみが生まれ」とあります。麺を別にゆでない作り方が、汁のとろみの理由です。小麦粉を手に入れやすかった土地で生まれた料理だと、研究会の文は由来を説明しています。

文化庁は令和4年度に、この煮ぼうとうを「100年フード」の伝統の100年フード部門に認定しました。100年フードは、文化庁が地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する取り組みで、申請したのは武州煮ぼうとう研究会です。研究会は平成26年8月9日に、深谷市花園文化会館アドニスで設立10周年の記念事業を開いていて、来賓で出た深谷市長は、市内外のイベントに参加して煮ぼうとうの振興に尽くしてきた会員に感謝を述べました。

渋沢栄一が帰郷のたびに食べた麺

深谷市血洗島の農家に生まれた渋沢栄一も、この麺を好んで食べたそうです。研究会の文は「好んで食べたそうで」と伝聞の形で書いていますが、深谷市が運営する渋沢栄一記念館のパンフレットには「栄一も帰郷の際には好んで食べました」とあります。栄一が帰郷したときに寝泊まりしたのは、生地にある旧渋沢邸「中の家」の主屋で、明治28年に栄一の妹夫妻が上棟した建物です。昭和60年からは学校法人青淵塾渋沢国際学園の学校施設として外国人留学生が学び、平成12年の法人の解散で深谷市に帰属しました。県指定旧跡「渋沢栄一生地」、市指定史跡です。

栄一は昭和6年(1931)11月11日に、91歳で亡くなりました。研究会の文には「栄一翁の命日には、煮ぼうとうの会が催され」とあります。広報ふかや2017年12月号の記事では、その年の11月11日に八基公民館で「にぼうと会」が開かれ、200人を超える人が煮ぼうとうを食べて栄一をしのびました。同じ日には深谷駅北口の青淵広場で、栄一の銅像への献花式もありました。渋沢栄一記念館が開いたのも、平成7年11月11日の祥月命日です。2026年の会がいつ、どこで開かれるかは未確認です。

深谷で食べられる店

深谷市の煮ぼうとうのページ(2026年7月29日更新)には、煮ぼうとうマップに載る店が14軒並んでいます。渋沢栄一の生地には麺屋 忠兵衛 煮ぼうとう店があり、住所は血洗島247-1で、旧渋沢邸「中の家」と同じです。道の駅おかべ(岡688-1)には、そば蔵 道の駅おかべとNOLA(ノーラ)の2軒が入っています。深谷駅に近いところでは、和めしCafe HISAGO(本住町6-33)と立花(西島町2-17-8)。JR深谷駅の住所は西島町3-1-8です。市の一覧には、提供期間は各店に問い合わせるようにと注記があります。

家で作るなら

市のページにはレシピもあります。4人前で生麺340グラム、深谷ねぎは1本で70グラム。1070ccの水に昆布と干し椎茸を入れてだしを取り、沸いたら鶏肉とごぼうを先に入れ、ひと煮立ちしたら白菜、大根、人参などの残りの具を入れます。全体に火が通ったら麺を入れて菜箸でよくかき回し、麺に透明感が出たらしょうゆで味を調えます。火を止めてふたをし、2〜3分蒸らして出来上がり。トッピングは柚子の皮と七味唐辛子で、季節の野菜はじゃがいもや里芋、八頭を好みで足します。

生麺は深谷の店で買うほか、通販でも探せます。楽天市場で煮ぼうとうを探すPRと、幅広の生麺とつゆの組み合わせが出てきます。

深谷駅からの行き方

深谷駅はJR高崎線の駅で、開業は明治16年10月21日。市の目安では東京駅から48分(上越新幹線と高崎線)、上野駅から68分(高崎線の通勤快速)、新宿駅から70分(湘南新宿ラインの特別快速)です。みどりの窓口はなく、指定席券売機は6:30〜23:50。赤レンガの駅舎は東京駅を模したデザインで、栄一が明治20年(1887)に設立した日本煉瓦製造会社のレンガが東京駅に使われた縁だと、記念館のパンフレットにあります。

改札を出て右手の市民サービスセンター(深谷市観光協会)で、渋沢栄一記念館をはじめ市内の観光案内を受けられます。食事処や土産の店は、駅から徒歩10分の商店街です。市内にはレンタサイクル「フカペダル」もあり、問い合わせ先は深谷商工会議所です。市内のタクシー会社は、誠之堂・清風亭や田島弥平旧宅(伊勢崎市)など栄一ゆかりの史跡を約3時間でめぐる「史跡めぐりタクシー」を出しています。

渋沢栄一記念館(下手計1204)は深谷駅から約6kmで、タクシーで約15分。旧渋沢邸「中の家」(血洗島247-1)は約20分です。どちらも開館は午前9時から午後5時(中の家の入場は午後4時30分まで)、入館は無料、休みは年末年始(12月29日〜1月3日)です。記念館には写真や遺墨で生涯をたどる常設展示と企画展示があり、講義室では70歳代の姿を再現した渋沢栄一アンドロイドから『道徳経済合一説』などの講義を受けられます。この講義は人数にかかわらず予約が要ります。中の家の主屋は靴を脱いで見学し、10名以上の団体は見学予約システムからの事前予約が要ります。

中の家の渋沢栄一アンドロイドは不具合のため当面休止中です(市のページ、2026年10月7日更新)。12月22日(火)は主屋の清掃で休館、2027年1月25日(月)はアンドロイドとシアターが終日休止です。

編集部の考え

煮ぼうとうの麺の幅と厚さ、深谷ねぎと根菜、生麺から煮込む作り方、しょうゆ味、そして渋沢栄一の命日の会。研究会が文化庁に出した文は、これを一つの段落に収めています。市の煮ぼうとうのページも同じ文で始まり、記念館のパンフレットでは煮ぼうとうが栄一の事績と並ぶ一項目になっています。命日の会には2017年に200人を超える人が集まりました。

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