鮎の腐れ鮓は、宇都宮市の北部、鬼怒川が流れる上河内の家庭で作られてきたなれずしです。内臓を除いて塩漬けにした鮎を、ご飯と千切りの大根と合わせ、重石をかけて寝かせます。上河内の羽黒山神社で11月に開かれる梵天祭りと結び付いた食べ物で、市のページでは祭りの行事食とされています。
鮎と大根とご飯で漬ける
材料は鮎、大根、うるち米です。市の上河内地区の観光のページ(令和6年3月8日更新)が書く順に並べると、こうなります。まず鮎の内臓を取り、3か月ほど塩漬けにします。その鮎を、水洗いしたご飯と千切りの大根と混ぜ、押し蓋をして重石を載せます。1週間ほどたったら1昼夜かけて水を切り、できあがりです。
この鮓を文化庁の100年フードに申請したのは、栃木江戸料理研究会です。令和7年度(2025年度)に、江戸時代から続く郷土の料理を対象とする伝統の100年フード部門に認定されました。研究会の説明では、腐れ鮓は鬼怒川の清流で育った鮎を、塩と米でじっくり自然に発酵させる料理です。同じ説明によると、上河内ではかつてカジカなどの川魚でなれずしを作っていて、今は手に入りやすい鮎を使う形が主になりました。宇都宮市は、同じ料理を「あゆのくされずし」「鮎のくされずし(鮎ずし)」の名で案内しています。
家庭の味で、店では売られていない
宇都宮市の観光のよくある質問には、「鮎のくされずし(鮎ずし)」について知りたいという問いがあります。市はその答えで、上河内地域の郷土料理として、くされずしをなれずしの一種とし、「本来、魚を貯蔵するために考案されたものであるようです」と答えています。続けて、今は梵天祭りの時期の行事食として旬の鮎を使い、また各家庭のふるさとの味として守り継がれてきた季節限定の食事だとし、最後の一文で「家庭料理のため、お店等での販売はされておりません」と案内しています。
研究会の説明にも、家ごとの営みが出てきます。腐れ鮓は地元の人の間でも広く親しまれていて、「各家庭で出来栄えを競うようにご近所へ配ったり」、食べ比べのために交換したりする、という文です。家で作り、家どうしで配り合う食べ物として続いてきたことが、二つの説明から読み取れます。
市の答えの「お店等」に通販や取り寄せが入るかを含め、店以外の道で手に入るかは未確認です。
梵天祭りとの関わり
研究会の説明では、この鮓は11月の新嘗祭の頃に開かれる梵天祭りで、神々に奉納されます。ご近所への配り合いは、それとは別の文に書かれている話です。祭りの会場で見物の人に振る舞われるかは未確認で、祭りに出かけても鮓を口にできるとは限りません。
梵天祭りは、羽黒山の山頂にある羽黒山神社の例大祭です。孟宗竹と真竹を継いだ15メートルほどの竿に和紙やビニールで房を付けた梵天を、そろいのハッピに白足袋の若者が担ぎ、五穀豊穣と家内安全を願って神社に奉納します。
開催日は、市の梵天祭りのページと宇都宮観光ナビでは11月第3土曜日で、2026年は11月21日(土)です。一方、市の腐れ鮓のページ(令和6年3月8日更新)には、「11月23日の梵天祭り」の行事食として作られるとあり、市の梵天祭りのページ(令和7年7月17日更新)と日付が合いません。出かける前に、下の問い合わせ先で祭りの日を確かめてください。
2026年の観光ナビの案内では、時間は9:00〜17:00頃で、見物は無料です。市の梵天祭りのページにある行き方は、JR宇都宮駅西口から関東バスの玉生車庫行きか今里行きに乗り、約35分の今里下で降りる道です。祭りについての問い合わせ先は、上河内地区市民センター(電話028-674-3131)です。