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飯綱町のやたらは、刻んだ夏野菜を大根の味噌漬けで食べる北信の家庭料理

伝統の100年フード · 令和5年度認定

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しなの鉄道北しなの線の牟礼駅のホームに入ってくる、橙と黄色の電車。後ろに飯縄山の山並みが見える
しなの鉄道北しなの線の牟礼駅と、背後の飯縄山 写真: Yoshi Canopus(CC0、Wikimedia Commons)

やたらは、なす、きゅうり、みょうが、青唐辛子といった夏野菜と大根の味噌漬けを、どれも細かく刻んで混ぜた料理です。長野県北部の北信地方で、夏のあいだ家庭で作られてきました。ご飯にのせて食べるほか、そうめんや冷や奴の薬味にもなります。

文化庁が、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する「100年フード」に、やたらは令和5年度(2024年3月)、伝統の100年フード部門で認定されました。申請したのは飯綱町とだんどりの会です。

大根の味噌漬けが調味料になる

町と会が書いた認定の文には「大根の味噌漬けが調味料を兼ねます」とあります。味をつけるのは刻んだ味噌漬けなので、町のチラシに載っている作り方にも、みそ漬けのしょっぱさで量を加減する、という一言が付いています。

名前の由来は、やたらとたくさんの野菜を使うからとも、やたらに刻むからとも言われています。江戸時代から食べられてきたといわれ、いまは野菜の種類や調味料を変えたものも、広くやたらの名で呼ばれています。

青唐辛子は、この地域で「ぼたんこしょう」と呼ばれるものです。農林水産省の「うちの郷土料理」によると、古くからこの地域で栽培されてきた青唐辛子で、平成20年に信州の伝統野菜に認定されました。

野菜がどこから来るかは、町が認定報告会を知らせた文にあります。やたらは「せんぜ畑」でとれる旬の丸なす、ぼたんこしょう、きゅうり、みょうがなどで作る、親から子へと引き継がれてきた家庭料理です。せんぜ畑は、自家用の野菜を作る、家のそばの畑のことです。

作り方は、農林水産省「うちの郷土料理」のやたらのページに4人分の分量つきで載っています。丸なすを刻んで塩水にさらし、きゅうり、みょうが、青唐辛子、味噌漬けのみじん切りと合わせて水気をしぼる、という手順です。味噌漬けの代わりにたくあんやぬか漬けを使う食べ方も、同じページにあります。

8月のやたら祭り

ふだんは家庭の料理ですが、飯綱町では8月に、町内の飲食店がやたらを使った料理を出す「信州・飯綱町やたら祭り」が開かれます。2026年は8月1日から8月31日までで、町の案内では15回目、14店舗が18のメニューを出しました。参加する店の数は年によって変わり、認定の文では「例年8月に町内の飲食店15店舗ほどが参加して」とあります。

2026年のチラシに並ぶのは、ご飯にのせる食べ方だけではありません。番号の順に拾うと、とちの木食堂のやたら冷やし中華(1,050円)、そば処 よこ亭のやたらそば(1,200円)、石窯ピザ café ブレーメンのやたらベーコン・バター醤油ピザ(1,600円)、むれ温泉 天狗の館のやたらカツ丼(1,000円)、味処 ふじよしのやたら丼と手作りハンバーグセット(1,600円)と続きます。値段はどれも2026年のチラシの税込の額です。

予約が要る店もあります。食事処 世界一は要予約で、たんぽぽ アイカフェは6名以上の予約制でした。横手直売所 四季菜の中にある四季菜ベーカリーは、やたらヴルスト(380円、数量限定)を出していました。

期間中はスタンプラリーもあり、やたらの料理を2店舗で食べてスタンプを2つ集めると、町の特産品が当たる抽選に応募できました。四季菜ベーカリーだけは、対象の商品を含めて600円以上の会計をするとスタンプが押される決まりでした。

チラシの紹介文には、語源は諸説あるが「やたらうまくてやみつきになってしまうのは本当のはなし」とあります。

2027年の日程と、祭りの期間の外にやたらを出している店、やたらを売っている直売所、通販や発送の案内は、2026年10月9日の時点で町と観光協会の公式では確かめられず、未確認です。

牟礼駅から店まで

飯綱町には、しなの鉄道北しなの線が通っています。町内の駅は牟礼駅で、所在地は飯綱町大字豊野です。駅には飯綱町観光協会が併設されていて、営業は9:00から17:00、水曜が定休です。

駅からの足として、しなの鉄道の駅のページには長電バスの吉村・牟礼線と、鳥居川観光タクシー、飯綱ハイヤーが載っています。観光協会の案内では、町内の観光は路線バスのほか、土日祝日は定時定路線の「iバスコネクト」が予約なしで使えます。

参加店の住所は川上、普光寺、柳里、牟礼、倉井、坂口、古間、芋川、平出と、町のあちこちに分かれています。チラシの地図では、れうりや、味処 ふじよし、食事処 世界一が牟礼駅の近くに描かれていますが、駅から各店までの距離と、バスがどの店の近くを通るかは未確認です。

営業時間も店ごとに違います。れうりやは11:30〜17:30で日・月・火曜が定休、食事処 世界一は16:00〜21:00でした。チラシには、営業時間が変更となる場合があるとの断りも入っています。

だんどりの会と『信州いいづな 食の風土記』

申請者に名前のあるだんどりの会は、昔のくらしや食文化を地域づくりに生かす、飯綱町の会です。長野県の「みどりのこえ」No.54に、代表の宮本久子さんが会の成り立ちを書いています。

何でも買える便利な時代になって、「私たちは本当に大事なことを捨ててきてしまったのではないだろうか」。そう考えた行政と町民有志が、平成19年に会をつくりました。最初の仕事は、明治生まれの世代にくらしや食べものを聞き取る調査で、その記録は『信州いいづな 食の風土記』にまとめられています。書かれた当時の活動の中心は、町の小中学校や高校への出張授業と、博物館と組んだ食文化の体験でした。

やたらの100年フードの認定日は令和6年3月5日で、町はこれを記念して認定報告会を開くと知らせました。

編集部の考え

飯綱町とだんどりの会は、家庭で作られてきたやたらを100年フードに申請し、町は8月の1か月、町内の店がやたらの料理を出す祭りを続けています。やたらの調味料は刻んだ大根の味噌漬けで、町のチラシにある4人分の材料は、なす、きゅうり、みょうが、ぼたんこしょう、みそ漬け20gの5つです。野菜は、家のそばで自家用に作るせんぜ畑のものです。だんどりの会は平成19年に、明治生まれの世代へくらしや食べものを聞き取ることから活動を始めました。2026年の祭りは15回目で、14店舗が冷やし中華やそば、ピザ、カツ丼にやたらを使いました。

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