津南町は新潟県中魚沼郡、上信越国境沿いの豪雪地にあります。この地域の暮らしを、町の観光協会は文化庁への申請の文で「5か月も雪に閉ざされた暮らし」と書きました。その冬のために、雪が消えた直後からゼンマイの支度を始め、大根は雪の中に入れて残してきました。冬に作るのが煮菜やなます、栃もちです。
100年フードは文化庁の取り組みで、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定します。津南の雪国の越冬料理は令和4年度に、伝統の100年フード部門で認定を受けました。申請したのは津南町観光協会で、認定の別紙では主な伝承地域が津南町を中心とした雪国観光圏、発祥の時期は不詳です。
雪消えのあとに始まる次の冬の支度
認定の文は観光協会が書いたもので、雪に閉ざされた暮らしの中で「冬期間でもおいしい食事をするための保存技術と越冬料理が」雪国の文化として続いている、とあります。保存の仕方は食材ごとに違います。ゼンマイは雪消え直後から、次の冬に向けて採取と乾燥の作業が始まります。だいこんは乾燥と凍結を嫌うので、大根つぐらに入れて雪の中で保存します。別紙によると大根つぐらは、秋に採った大根を春先まで保存するための雪中保存容器です。トチの実は栄養価が高く長く保存がきく食材で、別紙は調理法として、食材ごとの特性に合わせた保存の仕方とアク抜きの技術を挙げています。
冬のごっつぉになる煮菜と栃もち
残した食材で作る冬のごっつぉとして、認定の文に並ぶのが煮菜となます、栃もちです。ごっつぉは料理のことで、町が出した料理集の題にも、農産物の直売所の名前(こちらはごっつお市と書きます)にも付いています。煮菜は別紙では、酸味が出た野沢菜漬けで作る料理です。栃もちの材料のトチの実は、別紙が長期保存のきく食材として挙げるものです。
煮菜は塩漬けの菜を煮る料理
煮菜の読みは、認定の題では にいな、農林水産省の「うちの郷土料理」の新潟県の項では にな と添えられています。農林水産省のページによると、煮菜は塩漬けにした菜っ葉を煮た料理で、新潟県内全域で家庭の料理として食べられてきました。主に使うのは体菜(たいな)で、魚沼地方や上越地方では野沢菜を使います。津南の野沢菜は、町の新鮮野菜のページによると相吉山地区で作られ、収穫したその日に周辺の漬物屋で漬け込まれます。塩出しした菜を油で炒め、だし汁と醤油か味噌で煮て、具の定番は大豆をたたいて潰した打ち豆です。体菜の塩漬けは新潟のスーパーや産直で手に入り、塩を抜いた体菜の水煮も作られています。
冬になると畑が雪に覆われて菜類がとれなくなるため、昔から冬の青菜は干葉や塩漬けに頼るしかなかった、という説明も同じページにあります。作り方は農林水産省のうちの郷土料理の煮菜のページに、4人分の材料と手順が載っています。
津南の物産館と直売所
大根つぐらの大根や干したゼンマイ、栃もち、煮菜をどの店で買えるかは、協会と町の公式のページに出ていません。公式のページで分かる売り場は次のとおりです。国道117号沿いの津南観光物産館(芦ケ崎乙203)は地酒、カサブランカ、人参ジュースを売り、営業は9:00〜17:30、12月〜2月は9:00〜17:00、定休日は水曜日です。敷地内の直売所、食彩館は地元野菜を扱いますが、11月〜3月は休みます。冬に開いているのは物産館のほうです。最寄りは飯山線の越後田中駅で、秋山郷へ向かう観光バスの乗換場所にもなっています。
秋山郷の萌木の里(結東)は漬物・味噌・菓子を扱い、営業は10:00〜17:00、定休日は不定休です。ごっつお市(中深見)は協会のページの営業の記述が令和4年の冬季休業のままで、今の営業日は未確認です。行く前に品を見ておくなら、楽天市場で津南の栃もちを探すPRで売られ方を一覧で見られますが、検索の結果なので津南産に限りません。
町の料理集、昔なつかし 津南のごっつぉ
津南町は平成22年3月31日に、郷土料理集「昔なつかし 津南のごっつぉ」を出しました。町のページには、春のふきのとうと雪下人参、ぜんまいやわらびの山菜、秋のきのこと秋野菜を、塩漬けや乾燥で旬のあとまで長く楽しむ料理が「雪国ならではの工夫により培われてきたものが多くあります」とあります。1冊1,000円で、購入の希望と問い合わせの先は観光地域づくり課商工観光班(025-765-5454)です。これは町のページ(2014年10月更新)の案内で、いまも同じ値段で買えるかは未確認です。