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小田原・曽我の梅干しは曽我梅林の梅を塩だけで漬ける白漬け

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曽我梅林(別所梅林地区)。青空の下で紅梅と白梅が咲き、梅の木の間を来場者が歩いている小田原市の梅林
曽我梅林の別所梅林地区(神奈川県小田原市、2021年2月11日撮影) 写真: 妖精書士(CC0、Wikimedia Commons: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Soga-bairin_20210211_01.jpg)

小田原市の曽我地域で、梅と塩だけで漬けて土用干しをした梅干しが「曽我の梅干し」です。小田原市は、この名前の付いたロゴを使う届出の対象を、曽我地域で塩と梅だけで漬け、土用干しをする方法で作った梅干しと決めています。塩分を減らして調味料で味を付けた調味梅は、この定義には入りません。

文化庁は令和4年度に、この梅干しを「100年フード」の伝統の100年フード部門に認定しました。100年フードは、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を文化庁が認定する取り組みで、申請したのは小田原市です。市が書いた認定の文には、「塩と梅だけで漬け、土用干しで太陽の恵みを凝縮させる」白漬けだとあります。

十郎梅を6月に漬けて、7月に3日干す

曽我梅林で採れる梅の中心は十郎梅です。神奈川県農事試験場園芸部が足柄上郡の在来の実生から選び、昭和35年に小田原市梅研究会が名付けた、小田原生まれの品種です。実は肉厚で柔らかく種が小さい一方、皮が薄くて破れやすいので、農家は収穫用のカゴの底にクッションを敷き、木から一つずつ手でもぎます。収穫は6月中・下旬です。

漬け込みは6月で、梅と塩だけ。7月中下旬、梅雨が明けて晴天が続く時期に、漬けた梅を3日間干します。これが土用干しで、十郎梅は干している間に裏返すのも手作業です。塩分を減らして調味料で味を付けた調味梅が近年増えているなかで、十郎梅の梅干しは塩と梅だけの白漬けを続けています。市は2026年2月に更新したページで、梅農家に教わる「小田原梅干しの作り方」の動画を公開していて、梅の選び方から土用干し、出来上がりまでを追えます。

家庭では、米に梅干しとちりめんじゃこを混ぜ、出汁で炊いた「梅ごはん」が日常の食事として受け継がれています。小田原梅ブランド向上協議会が小田原短期大学などと作った梅干しのレシピ集もあり、ごはん・おかず・お菓子の17品のうち「タラの梅マヨパン粉焼き」などは市内の小中学校の給食にも出ました。

箱根越えの旅人の弁当に入っていた

小田原市の説明では、小田原の梅の栽培は北条氏が治めた戦国時代より前に始まります。江戸時代には「東海道中膝栗毛」に、梅漬が小田原の名産品として出てきます。箱根越えの宿場町だった小田原には多くの旅人が訪れ、曽我の梅干しは弁当の腐敗を防ぎ、疲れを取るものとして重宝された、と市は認定の文に書きました。100年フードは令和3年度に始まった取り組みで、曽我の梅干しが認定された令和4年度は2回目です。

曽我梅林の3万5千本と梅まつり

曽我梅林は別所・中河原・原の梅林をまとめた呼び名で、約3万5千本の梅が富士山と箱根の山を背景に咲きます。品種は十郎梅、白加賀、南高、枝垂れ梅。小田原市の梅の生産量は神奈川県で最も多く、その中心がこの梅林です。ここから見る富士山は「関東の富士見百景」に選ばれています。

小田原梅まつりは毎年2月で、2026年は第56回として2月7日(土)から3月1日(日)まで開きました。会場は9:00〜16:00で入場は無料、期間中の日曜と祝日には梅林内の野外ステージで寿獅子舞があります。曽我別所梅まつり観光協会の会長、川久保和美は会期を終えたあいさつで、2月初めの週末や祝日に寒気と積雪で道路の状況が難しくなり、花の様子も心配したが、後半は晴れて暖かい日が続いて梅が美しさを取り戻した、と振り返っています。結びは「梅まつりが地域の大切な誇りとして発展していくよう、努力と工夫を重ねてまいります」です。2027年の日程は未確認で、協会のページには2027年も待っている、という一文だけがあります。

梅林は曽我兄弟のゆかりの地でもあり、市の散策コースは、下曽我駅から中河原梅林と曽我兄弟の菩提寺の城前寺を回って別所梅林へ向かう里コース(1時間30分、5.5km)と、見晴らしコース(2時間、8km)の2本です。

下曽我駅からの行き方

曽我梅林の最寄り駅はJR御殿場線の下曽我駅で、観光協会の案内では梅林まで徒歩約20分、小田原市の花のページでは徒歩10分です。気を付けたいのはICカードで、下曽我駅はTOICAのエリアに入り、Suicaのエリアとまたいでは使えません。観光協会は、下曽我駅までのきっぷを先に買うよう案内しています。

梅まつりの期間中は、小田原駅・JR国府津駅・小田急線新松田駅から富士急モビリティバスの臨時バスが出て、「中河原梅林」〜「下別所」で降りればすぐです。土日祝(計10日間)には上府中公園北側駐車場とJAかながわ西湘曽我の里支店前の間を無料のシャトルバスが9時から16時まで15〜20分間隔で走ります。観光バスの駐車場はありません。梅の里センターでは期間中の土日祝にレンタサイクル「ぐるりん小田原」の臨時貸出所が開き、普通自転車は1日500円、電動アシスト付きは1,000円です。

買える場所と取り寄せ

出来上がった梅干しは、2月の梅まつりの会場の売店で売られるほか、農産物直売所と、JAかながわ西湘を通じて小田原城址公園の売店に並びます。市の名産品の一覧には梅干し・漬物の店も載っていて、小田原駅前のちん里う本店は街かど博物館「小田原駅前梅干博物館」を兼ねています。梅まつりの時期に行けないなら、楽天市場で曽我の梅干しを探すPRとAmazonの検索結果PRに、産地の名前が付いた品が出てきます。

編集部の考え

曽我の梅干しの作り方は、小田原市の決めごとに一文で書いてあります。ロゴの届出の対象になる曽我の梅干しは、産地が曽我地域で、材料が塩と梅で、工程に土用干しがあること。市が定義に書いたのはそれだけです。市は令和4年度に文化庁の100年フードに応募し、認定の文の結びに「歴史と魅力を次世代に伝えていくため、さらなる普及に努めてまいります」と書きました。2026年2月には、梅農家に教わる作り方の動画のページと、ロゴの使用承認のページを更新しています。

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