京都市京セラ美術館の本館は、1928年に京都で行われた即位の大礼を記念して、1933年に「大礼記念京都美術館」の名で開いた建物です。関西の財界や美術界、市民の寄付で建てられた鉄骨鉄筋コンクリート2階建ての帝冠様式で、設計は公募で選ばれた建築家の前田健二郎でした。館のあいさつの頁には「現存する日本の公立美術館建築の中で最も古い」とあります。
その本館を、いまの館長の青木淳が西澤徹夫と組んで改修し、2020年5月26日にリニューアルオープンしました。青木は建築の頁に「建築そのものは動かず、変わりません」と書き、時とともに変わるのは、見る人が心に写しとる像のほうだと続けています。通称の「京都市京セラ美術館」は、2017年に京セラと結んだ50年間のネーミングライツ契約によるものです。
神宮道から地下へ入る玄関
改修で青木がとくに大事にしたのは、神宮道側の前広場を広場のまま残すことと、西玄関から東玄関を貫く軸線を強めることでした。前広場はごく緩い傾斜で中央へ下るスロープに変わり、入口は1階の西玄関からその地下へ移っています。神宮道から見た本館の姿は変えていません。
広場と本館のあいだの切り込みにはガラスをはめ、「ガラス・リボン」と名付けた空間にカフェとショップを入れました。地下の入口からまっすぐ進むと新しい大階段があり、中央ホール(旧大陳列室)と東玄関、その先の東山を望む日本庭園まで一直線につながります。北東にあった収蔵棟は、現代美術の展示室をもつ新館「東山キューブ」に建て替えられました。
青木は2025年4月のあいさつで、美術館を「その豊かさを多くの人と分かち合っていく、広く開かれた場」と書いています。同じ月から、展覧会を企画する学芸部門が直営に一元化されました。
コレクションルームは市外の一般730円
コレクションルームは、2020年のリニューアルで新しくできた所蔵品の展示室で、京都画壇の日本画など、京都の名品を見せています。料金は一般が京都市内在住520円、市外在住730円、20名以上の団体620円です。小中高生等は京都市内在住(通学)なら無料、市外在住は300円、団体は200円で、小学生未満は無料。市内在住の料金で入るときは、住所がわかるものを見せます。
京都市在住の70歳以上は、身分証明書を見せると無料です。身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳などを見せた人と介護者1名も無料で、ミライロIDも使えます。京都市キャンパス文化パートナーズ制度に登録した学生は100円。京都国立近代美術館か細見美術館の対象展覧会の当日分の有料観覧券(半券可)があれば、100円引きで買えます(団体料金を除き、ほかの割引とは併用できません)。
企画展の料金は展覧会ごとに違い、館の来館情報の頁ではなく、それぞれの展覧会の頁に載っています。
開館時間と休館日
開館は10:00〜18:00で、最終入場は展覧会によって違います。いま開いているコレクションルームと2つの企画展は、どれも最終入場が17:30です。休館日は月曜日(祝・休日は開館)と、年末年始の12月28日〜1月2日です。
いま開いている3つの展示
コレクションルームの秋期は2026年10月9日〜12月13日、本館北回廊1階で、特集は「美術館物語 市美の産声」です。開館の翌年に館が開いた「大礼記念京都美術館展」と、会期後に買い上げた出品作がコレクションの始まりになった経緯を、作品と資料でたどります。ほかに「美術館の動物たち」と「紅葉・黄葉」の2つのテーマがあり、動物の作品には館の学芸員と京都市動物園の職員が一言ずつ解説を付けています。
特別展「生誕140年記念 染織家 山鹿清華─宙翔ぶイマジネーション」は9月19日〜12月20日、本館南回廊1階です。染織家の山鹿清華(1885〜1981)の40年ぶりの回顧展で、祭礼の懸装品の天女や雲龍から、日展などに出した壁掛の機関車やロケット、東京タワーまでが並びます。前期は11月1日まで、後期は11月3日からで、一部の作品が入れ替わります。観覧料は一般1,800円、大学・専門学校生・高校生1,300円、中学生以下は無料です。
「禅とジブリ」は10月3日〜12月6日、新館 東山キューブで開いています。スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫と禅僧の対談をまとめた書籍『禅とジブリ』を出発点にした展覧会で、宮﨑駿監督の『君たちはどう生きるか』(2023)を中心に会場を組んでいます。観覧料は一般・大学生1,900円、中学・高校生1,500円、小学生1,100円で、未就学児は無料です。
山鹿清華展と「禅とジブリ」は、もう一方の有料観覧券を見せると、同じ日に限って観覧料が100円引きになります。
「禅とジブリ」は10月31日から予約優先制
「禅とジブリ」は10月31日(土)から予約優先制に変わります。日時予約は10月16日(金)10:00からチケットページで受け付け、すでにチケットを持っている人や障害者手帳等を持つ人も、日時予約の対象です。通常は予約がなくても入れますが、混雑時は予約のない人が待つことになったり、当日の状況で入れなかったりすることがあります。
10月30日までは、土日に入場整理券を配っていて、平日も混み具合によって配ることがあります。11月1日(日)からは土日祝だけ9:00に開館します。ただし11月8日(日)、11月15日(日)、11月21日(土)は除きます。
東山駅からの行き方
地下鉄東西線 東山駅から徒歩約8分です。東側1番出口を左に出て三条通を東へ進み、神宮道の交差点を左に曲がって北へ。大鳥居をくぐった右手(東側)がメインエントランスです。京阪 三条駅・地下鉄東西線 三条京阪駅からは徒歩約16分で、滋賀方面からは、山科駅で地下鉄東西線に乗り換えて東山駅へ向かえます。
京都駅からは市バスのA1のりばで5系統に乗り、「岡崎公園 美術館・平安神宮前」で降りてすぐです。阪急 京都河原町駅からは、Eのりばの46系統かHのりばの5系統で同じ停留所へ行けます。
車なら本館北側の駐車場(一般用19台、優先車2台、いずれも有料・予約不可)です。火〜金は最初の60分500円、以後30分200円で当日最大1,500円、土日祝は最大料金がありません。
車いす・ベビーカーで行くとき
車いすのまま展示室へ入れます。車いすは無料で6台を貸し出していて、B1階クロークか1階総合案内で申し出ます。エレベーター2台ですべての階へ行けます。触地図は1階総合案内で借りられ、講演室にはヒアリングループ補聴システムがあります。盲導犬・介助犬・聴導犬は展示室まで一緒に入れます。多目的トイレは各階にあり、オストメイト対応の設備はB1階のカフェ近くです。
ベビーカーのまま展示室に入れます。授乳室は1階東広間にあり、男性も入れます。展示室での撮影の可否は未確認です。
正面エントランスのカフェ「ENFUSE」は10:30〜19:00(ラストオーダー18:00)で、離乳食やアレルギー食を持ち込めます。ミュージアムショップ「ART RECTANGLE KYOTO」は10:30〜18:30。どちらも休みは美術館の休館日に合わせています。
編集部の考え
秋のコレクションルームの特集は、1933年に開いたこの本館の最初の数年を扱っています。開館の翌年の「大礼記念京都美術館展」のあとに買われた作品が、いまの所蔵品の始まりです。市外から来る一般の人なら730円で、その作品を開館当時の本館の北回廊で見ることになります。