特急なのに、きっぷだけでは乗れません。「かんぱち・いちろく」はJR券(片道)と食事、お茶1杯がセットになった旅行商品で、駅のみどりの窓口では売っていません。JR九州が売る分は専用ホームページで出発の5日前までに申し込み、2026年10月1日からの旅行代金は大人1人21,000円(畳個室は26,000円)です。
停車駅と時刻
博多と別府の間を久大本線(ゆふ高原線)経由で結ぶJR九州のD&S列車で、1日に片道1便だけ走ります。乗り降りできる駅は決まっていて、かんぱち号は博多で乗って由布院・大分・別府で降り、いちろく号は別府・大分・由布院で乗って久留米・博多で降ります。途中の「おもてなし駅」では地元の人たちとの触れ合いや特産品の販売がありますが、そこで乗ったり降りたりはできません。時刻は2026年3月14日からのものです。
| かんぱち号(博多発→別府行) | いちろく号(別府発→博多行) | |
|---|---|---|
| 乗る駅 | 博多 12:19発 | 別府 11:00発、大分 11:22発、由布院 12:27発 |
| おもてなし駅 | 田主丸(13:22頃から約12分)、恵良(14:52頃から約16分) | 天ケ瀬(13:17頃から約10分)、うきは(13:58頃から約20分) |
| 降りる駅 | 由布院 15:41着、大分 16:38着、別府 16:59着 | 久留米 14:57着、博多 15:47着 |
| 食事の店 | 月曜 中洲 松(和食)、木曜 味竹林(和食)、土曜 FUCHIGAMI(イタリアン) | 火曜 ヌーヴェル・キュイジィーヌ・タカハシ(フレンチ)、金曜 裏舌鼓(和食)、日曜 兎と亀(和食) |
食事は、乗る曜日の店が作ったものが、日田杉で作った列車オリジナルのお重に入って出ます。店とメニューは、事情により予告なく変わることがあります。
かんぱち号が約16分停まる恵良駅は、列車名の麻生観八が再興した酒蔵「八鹿酒造」の最寄り駅で、駅舎の中には麻生家の業績を讃える資料を並べた先哲史料館があります。由布院駅は、いちろく号の名の衞藤一六が線路を通すよう働きかけた北由布駅が、今の駅名になったものです。
曜日に当たっても走らない日
かんぱち号は月・木・土、いちろく号は火・金・日に走るのが基本で、水曜日はどちらも走りません。ただ、曜日に当たっても運行日に入っていない日があります。専用ホームページの運行カレンダーでは、2026年11月はかんぱち号の7日(土)と9日(月)、いちろく号の1日(日)・17日(火)・22日(日)が運行日に入っていません。年末年始は、いちろく号が2026年12月22日(火)から2027年1月5日(火)まで、かんぱち号が2026年12月24日(木)から2027年1月7日(木)まで運行日に入っていません。
カレンダーが出ているのは2027年2月27日(土)のかんぱち号までです。3月以降も走ると発表されていますが、日付はまだ出ていません。JR九州の分を申し込める日は専用ホームページの予約画面で、旅行会社の分は各社に問い合わせて確かめます。
いま申し込めるのは2027年2月の運行分までで、2026年7月15日から売られています。JR九州のよくある質問によると、発売は運行の月で3回に分けていて、3月運行分は例年「前年の12月頃から発売」です。
席と旅行代金
全席がグリーン席です。旅行代金は1人あたりの額で、どの駅で乗り降りしても変わりません。
| 席 | 定員 | 2026年10月1日からの1人あたり |
|---|---|---|
| ソファ席 | 3名(2名から) | 大人21,000円、こども18,000円 |
| BOX席 | 2名・3名・4名・6名 | 大人21,000円、こども18,000円 |
| 畳個室 | 6名(3名から) | 大人26,000円、こども22,000円 |
1号車のソファ席は、最大3名まで並んで座れるソファの席で、座席を回して前後の席と向かい合わせにすることはできません。BOX席は高い仕切りに囲まれた半個室の席です。畳個室は履物を脱いで上がる部屋で、大きな窓から沿線の景色が見えます。
こどもは小学生です。2名用のBOX席を1人で使うときは14,500円、3〜4名用のBOX席を2人で使うときは1人あたり7,200円が足されます。6名用のBOX席は4名から使えます。小学生未満は、大人かこども1人につき2人まで無料で連れて乗れますが、席を使うならこどもの代金がかかります。
お茶1杯のほかの飲みものは有料です。旅行商品なので各種の割引は使えず、JR九州レールパスも使えません。食事はアレルギーに対応していません。
専用ホームページで申し込む
JR九州が企画・実施する分は「かんぱち・いちろく」の専用ホームページで売られ、予約にはJR九州WEB会員の登録が要ります。支払いはクレジットカードです。予約が済むと「乗車証」をダウンロードでき、当日はスマートフォンの画面か印刷したものを有人改札で見せて入ります。
旅行会社が企画・実施する分は、全国の旅行会社が団体ツアーなどで売っていて、専用ホームページからは予約できません。締め切りも会社ごとに違います。
満席の日のキャンセル待ちはありません。代わりに、2026年10月22日から空席通知が使えるようになりました。希望の日と列車、人数を登録しておくと、キャンセルなどで空席が出たときにメールで知らせてくれます。JR九州WEB会員だけが使え、号車や席の種類は選べません。通知が届いても席が取れるとは限りません。
取消料は、出発日の前日から数えて10日目にあたる日から旅行代金の20%、7日目にあたる日から30%、前日は40%、当日は50%です。日付や席を変えるときは、いったん取り消して予約し直します。
3両の車内
3両編成で、車体は艶のある黒を基調に、ゆふ高原線の久留米〜大分間の路線図をかたどった金色の線が入っています。1号車は大分・別府、3号車は福岡・久留米の風土を題材にした内装です。2号車の「ラウンジ杉」は乗った人みんなが使える共用のスペースで、樹齢約250年の杉の一枚板のカウンターを置いています。ここはビュッフェも兼ねていて、沿線の食べものや飲みもの、列車のグッズを売っています。
列車名になった麻生観八と衞藤一六
列車名は、かんぱち号が麻生観八(あそう かんぱち)、いちろく号が衞藤一六(えとう いちろく)の名前から取られています。
麻生観八は、酒蔵の舟来屋(今の八鹿酒造)の3代目で、明治18年に20歳で舟来屋の酒造場を再興しました。明治39年に大分と久留米を結ぶ久大線を敷く運動を始め、当時の鉄道院総裁だった後藤新平にも陳情しました。運動は20年を越えて続き、昭和4年に引治・恵良・豊後森の各駅が開通しました。その前年の昭和3年に63歳で亡くなっていて、JR九州の説明には「念願の鉄道開通を見ることは出来なかった」とあります。
衞藤一六は北由布村の生まれで、大分県農工銀行の頭取を務めました。JR九州の紹介では、大正12年に小野屋〜湯平間が開通したあと、湯平の先で線路を曲げて「北由布・南由布両村を通すよう働きかけた有力者」です。曲がった所に南由布駅と北由布駅が置かれて大正14年に開通し、地元ではこの道筋を「一六線(一六曲がり)」と呼ぶようになったと、JR九州は続けています。衞藤一六も同じ昭和3年に亡くなり、大分〜久留米間が全線で開通したのは昭和9年です。