国立科学博物館(上野本館)の常設展は、一般・大学生630円で入館できます。小・中・高校生は無料、休館日は毎週月曜日(日・月曜日が祝日の場合は火曜日)と年末年始です。630円で見られるのは展示であって、この博物館が抱える標本・資料500万点あまりを保管し続ける費用ではありません。2023年のクラウドファンディングは、その維持費のために実施されました。
早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開館時間 | 9:00〜17:00(最終入館16:30) |
| 休館日 | 毎週月曜日(日・月曜日が祝日の場合は火曜日)、年末年始(12月28日〜1月1日)。8月は休館日なし |
| 入館料(常設展) | 一般・大学生630円、小・中・高校生無料。団体(有料来館者20名以上)は一般・大学生510円 |
| 無料対象 | 65歳以上、障害のある方とその介護者1名(証明書提示) |
| 無料日 | 5月18日(国際博物館の日)、11月3日(文化の日)※常設展のみ |
| 最寄り駅 | JR上野駅 公園口から徒歩5分 |
料金・開館時間は2026年9月時点、国立科学博物館の公式サイトによります。
日本館と地球館、常設展は2つの建物に分かれています
常設展示は「日本館」と「地球館」の2つの建物でおこなわれています。日本館のテーマは「日本列島の自然と私たち」で、日本列島の生い立ちと日本人の形成過程を扱います。地球館のテーマは「地球生命史と人類」で、地球環境の変動の中で生命が誕生と絶滅を繰り返しながら進化してきた道のりを扱います。地球館の「地球史ナビゲーター」は、宇宙史・生命史・人間史を138億年一望する映像で、地球館の各展示室をつなぐ導線になっています。
公式サイトの「おすすめコース」は、地球館ハイライトコースが90分、日本館ハイライトコースが60分です。両方まわる日は、この2つを目安に時間を組むと動きやすくなります。

日本館は1931年竣工、2008年に重要文化財に指定されました
日本館の建物は昭和6年(1931年)9月に竣工し、同年11月2日に開館式が行われました。この11月2日が科博の開館記念日です。設計は文部省大臣官房建築課、担当は技師の糟谷謙三です。鉄筋コンクリート造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)で地上3階地下1階建て、建築面積は1,949.46平方メートル。正面中央に塔屋と赤道儀室を備え、正面玄関には車寄せが付いています。
文化庁は2008年6月9日、この建物を「旧東京科学博物館本館」として重要文化財に指定しました。文化庁の解説は、関東大震災の復興施設として建てられたことと、「我が国最初の本格的な社会教育施設としての博物館建築」としての価値を挙げています。中央広間・貴賓室・館長室・講堂などの室内意匠も、震災復興期における文部省営繕の設計水準を示す作品として評価されています。


東京国立博物館とは、1872年の博覧会が共通の出発点です
科博自身の沿革によると、始まりは明治4年(1871年)10月、文部省博物局が湯島聖堂内に展示場を設けたことにさかのぼります。翌明治5年(1872年)3月、文部省博物館の名で初めての博覧会を公開しました。東京国立博物館(トーハク)は、この1872年の湯島聖堂大成殿での博覧会を自らの創立起点として、2022年に創立150年を迎えています。
一方、科博は明治10年(1877年)を創立年としています。この年、上野山内の西四軒寺跡に新館が一部竣工し、東京博物館が「教育博物館」と改称しました。科博の沿革は、この年をもって創立年としています。同じ1872年の博覧会にさかのぼりながら、どちらの年を創立年に数えるかが違う、という関係です。上野公園に国立の博物館が2つあるのは、この分岐の結果です。
2023年のクラウドファンディング、目標1億円に対し9億円超
科博は2023年、標本・資料の受け入れと維持管理の費用を集めるクラウドファンディングを実施しました。目標金額は1億円、2023年11月5日の募集終了時点で支援総額は9億1,602万5千円、支援者は56,584人にのぼりました。
きっかけは資金繰りの悪化です。プロジェクトページによると、常設展の入館料収入は2019年度の約7.5億円から、コロナ禍の2020年度には約1.5億円まで落ち込みました。そこに光熱費や保存液などの物価高騰が重なり、2023年の光熱費は2021年と比べておよそ2倍の見込みです。
科博が持つ標本・資料は500万点を超え、毎年数万点ずつ増えていますが、上野の館内に展示されているのはこのうち1%未満です。多くは茨城県つくば市の収蔵庫に保管されていて、最大の「自然史標本棟」は2011年完成の7階建てです。米スミソニアン国立自然史博物館の所蔵約1億5,000万点と比べると、桁が1つか2つ少ない規模だとプロジェクトページは説明しています。
集まった支援金の一部は、ほかの科学系博物館のコレクション充実や巡回展の展開にも使うと、篠田謙一館長は2023年8月18日の追記で説明しています。
その篠田館長の著書『科博と科学──地球の宝を守る』PRは、Audible で聴けます。合成音声(デジタルボイス)による朗読で、4 時間 37 分です。
編集部の考え
630円は、常設展を見るための入館料です。標本・資料500万点あまりを保管し続ける費用そのものではありません。2023年のクラウドファンディングで集まった9億円あまりは、まさにその維持費に充てるための資金でした。
窓口では、630円の入館料に370円の寄付を上乗せした「寄付つき入館券」(1,000円)も選べます。630円だけでは足りない維持費の一部を、来館者が任意で埋める仕組みが、すでに常設の選択肢として用意されているということだと思います。
上野以外で科学系の展示を見るなら、横浜とJR横浜線沿いの科学館の記事にまとめています。
確かめられなかったこと
- 年度別の入館者数や収支の統計(単独のページは見当たらず、財務諸表・業務実績報告書はPDFのみでした)
- 日本館の建物そのものを解説する単独ページ(建築の来歴は文化庁の指定情報と沿革のページで補っています)