いかにんじんは、するめいかと人参を細く切って、酒・醤油・みりんで味を付けた和え物です。福島市観光コンベンション協会が文化庁に出した認定の文には「するめいかと人参の千切りを酒・醤油・みりん等で味付けしただけのシンプルな和え物」とあります。福島県北部に江戸時代末期から伝わる料理で、この年代は協会が福島民友新聞社の『「食」ふくしま新ふーど記』を参照として挙げたものです。
文化庁が、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する「100年フード」の令和3年度の認定で、いかにんじんは伝統の100年フード部門に入りました。申請したのは一般社団法人福島市観光コンベンション協会 DMO です。この年度の認定は131件で、伝統部門は80件。福島市では同時に円盤餃子が未来部門で認定されています。
正月の箸休めと酒のつまみ
認定の文には「正月料理の箸休めとして、祝祭時の酒のつまみとして地域で長く愛されてきました」とあります。大量に作れて保存がきくことが、その訳として添えてあります。協会の観光ノートの記事では、「いつでも手に入る人参を使って、忙しい主婦が簡単に作れる便利な料理」として福島地域で受け継がれてきた料理です。材料はするめと人参、調味料は醤油と酒とみりんで、切って和えるだけなので短時間に大量に作って保存でき、冷蔵庫に入れておけば困ったときのもう一品になる、と同じ記事にあります。
農林水産省の「うちの郷土料理」のいかにんじんの項では、主な伝承地域は福島市で、もともとは冬に保存食として作られていた料理です。つけだれに数日漬けて出来上がり、長持ちするので、雪が多く冬に作物を収穫しにくい福島で重宝されていたといいます。正月に欠かせない郷土料理で、ご飯のおかずにも酒のつまみにもなる、と同じ項にあります。今は通年の惣菜として食べられていて、協会の文でも、現在は福島県全域で一年中食べられ、各家庭で工夫のある「おふくろの味」として親から子へ引き継がれています。
松前漬と昆布
北海道の松前漬とよく似ていると言われる料理です。農林水産省のページによると、松前漬には昆布が入り、いかにんじんには入っていません。松前漬がいかにんじんのルーツだという説も、その逆の説もあり、二つの料理にはつながりがあると考えられることが多い、とあります。福島県のページでは、イカニンジンは梁川町など県北地方の郷土料理で、松前氏が移封された梁川町からこれを持ち帰り、昆布を合わせたものが松前漬になったと言われています。協会の観光ノートが勧めるレシピも、砂糖と昆布を入れない作り方です。
作り方は家ごとに違う
味付けは家庭によって異なります。農林水産省の項の説明では、醤油とざらめ、またはみりんの甘辛いたれに漬けるおかずで、100年以上前から食べられてきました。同じ項に4人分のレシピが載っていて、するめいかと人参を千切りにし、ざらめ・酒・醤油を煮立てて冷ました液に漬けて半日ほど置く作り方です。数日漬けるとより味が染み、地域によっては仕上げにいりごまをかけるそうです。分量は農林水産省のいかにんじんのページで見られます。協会の記事では、調味料の質と配合が味を決めます。醤油は国産大豆を使った本醸造、みりんは本みりん、酒は料理酒ではなく純米酒などの晩酌用を勧めています。
ポテトチップスと炊き込みご飯
認定の文には、近年はポテトチップスなどの加工食品や、レシピサイトでのアレンジ料理があり、炊飯器に入れて炊くだけの「いかにんじん炊き込みご飯」はSNSで口コミが広まった、とあります。農林水産省の項でも、スナック菓子の味に採用され、かき揚げや炊き込みご飯にも使われている料理です。商品化されていて、土産として買う人が多く、ふるさと納税の返礼品にもなっています。福島出身の著名人がメディアで取り上げたこともあって、全国的に知られるようになった、と同じ項にあります。
福島駅で、お取り寄せで
協会の記事では、福島市はいかにんじんの里で、来たときには食べられる店に寄るか、土産にしてほしい、とあります。JR東日本の案内では、東北新幹線のやまびこは東京〜福島間を約1時間30分で走ります。協会のアクセスのページには、新幹線のほか、仙台空港と福島空港からの行き方と高速バスが載っています。
福島駅の新幹線・在来線の改札口の正面、西口2階に福島市観光案内所があります。営業は9:00〜18:00で年中無休。福島市のキャラクター「ももりん」のグッズと土産品のコーナーがあり、宿の手配や、車いすとベビーカーの貸し出しもしています。観光庁の心のバリアフリー認証制度で福島県第一号の認定を受けた案内所で、英語と、担当スタッフがいるときはスペイン語にも対応します。
西口から歩いて3分のコラッセふくしま1階には福島県観光物産館があり、福島県内の特産品と日本酒のコーナーがあります。9:30〜19:00、年中無休で、施設点検で臨時休業することがあります。併設のふくしまラウンジ(10:30〜19:00、ラストオーダー18:30)では、桃ジュースや福島の酒の飲み比べセットを出しています。案内所と物産館のどちらも、いかにんじんを置いているかは公式のページに書かれておらず、未確認です。
作っている店のオンラインショップで取り寄せられます。森藤食品が運営する福島りょうぜん漬のショップでは、「【福島名産】いか人参」が270g入り(固形量175g)で税込594円、賞味期限は45日です。佐久商店のいか人参は170g入りと300g入りがあり、福島市観光コンベンション協会のページから店のオンラインショッピングへ進めます。「ももがある」のオンラインショップにも、いかにんじんがあります。
行く前に品を見ておくなら、楽天市場でいかにんじんを探すPRとAmazonの検索結果PRで、どの店がどんな量で売っているかを一覧で見られます。
編集部の考え
一般社団法人福島市観光コンベンション協会 DMO が、いかにんじんを令和3年度の100年フードに申請し、伝統の部門で認定を受けました。協会が出した文で、いかにんじんは福島県北部に江戸時代末期から伝わる和え物で、大量に作れて保存がきくため、正月料理の箸休めと祝いの席の酒のつまみとして作られてきました。農林水産省のうちの郷土料理では、もとは冬の保存食で、雪が多く冬に作物を収穫しにくい福島で重宝されていました。今は福島県全域で一年中食べられ、ポテトチップスや炊き込みご飯にも使われています。