「二往復する間、参道は一面火の川となります」。大善寺玉垂宮(福岡県久留米市)が公式サイトで鬼夜のこの場面を書くのは午後八時すぎの汐井かきで、6本の大松明に火がつくのはそのあとです。2026年の回は23時過ぎまで続きましたが、2026年10月時点の平日ダイヤでは大善寺駅を出る天神行きの最終は22時52分で、2027年1月7日の木曜日も今のダイヤのままなら厄鐘の前に出ることになります(2027年の点火の時刻は未発表)。
1月7日の夜の流れ
神社の公式サイトで鬼夜を説明するページは、当日の夜を次の順で書いています。時刻は神社の案内のままです。
| 神社の案内の時刻 | 境内で行われること |
|---|---|
| 午後七時すぎ | 締込み一本の若衆が提灯と小松明を持ち、神社裏の玉垂公園に集まる |
| 午後八時すぎ | 汐井汲み神事。続いて若衆が汐井場で禊をし、社殿へ駆け上がる汐井かき |
| 汐井かきのあと | 一番鐘で境内の灯りが消える |
| 午後九時 | 大松明の前に勢揃い |
| 午後九時半 | 二番鐘のあと、奥神殿から出た鬼火で6本の大松明に点火。続いて鉾面神事 |
| 午後十時すぎ | 一番松明が惣門をくぐり、汐井場で火を消す。鬼の禊 |
| 午後十一時すぎ | 厄鐘が打たれ、行事が終わる |
汐井かきでは、提灯と小松明をかざした数百人の若衆が汐井場で禊をし、参道から社殿へ駆け上がります。その後は「一番鐘を合図に境内全域の灯が一斉に消されます」とあり、点火は真っ暗な境内で行われます。
点火の時刻は年によって違います。神社の流れの午後九時半に対し、久留米の観光サイトでは2024年の回が21:00頃、2026年の回が20:40頃でした。2026年1月7日の回のページに付いた、保存会主催のチラシでは、19:30に汐井汲み・汐井かきが始まり、点火が20:45頃、一番松明の惣門くぐりが22:30頃、行事の終わりが23:20頃です。同じ回の観光サイトでは、終わりは23:10頃でした。
帰りの列車
2026年10月時点の平日ダイヤで、大善寺駅を夜遅くに出る列車は次のとおりです。
| 行き先 | 大善寺駅の発車 |
|---|---|
| 福岡(天神)行きの最終 | 22:52 急行(天神 23:41着) |
| 北野行き | 23:08 |
| 久留米行き | 23:33 |
| 大牟田行きの最終 | 23:33 急行 |
| 柳川行きの最終 | 24:05(翌0時5分) |
福岡(天神)行きの最終は、上の2026年の回の行事の終わりより前に出ます。神社の流れでも、厄鐘は午後十一時すぎです。大善寺駅から神社までは、神社の案内では徒歩5分です。2026年の時刻をこのダイヤに当てはめると、22:52に乗る人が見られるのは点火と鉾面神事、一番松明の惣門くぐりの始まりまでで、そのあとの鬼の禊と厄鐘の前に境内を出ることになります。
最後まで見る人は、23:33の久留米行きで西鉄久留米駅まで出られます。2027年の終わりの時刻は、まだ出ていません。
天神と久留米からの行き方
2026年10月時点の平日ダイヤでは、西鉄福岡(天神)駅から大善寺駅まで、18:00発の特急で39分、運賃は780円です。
同じく2026年10月時点の平日ダイヤで、西鉄久留米駅からは特急で7分、300円です。JR久留米駅からは西鉄バスの15番で宮前バス停まで行き、神社の案内ではそこから徒歩3分です。
観覧席と場所取り(2026年の回)
2026年の回の有料の観覧席は、桟敷スタンド300席で、全席自由の2,000円でした。発売は2025年12月1日からで、問い合わせ先は玉垂宮社務所(0942-27-1887)です。同じ回は雨天決行で、駐車場は神苑(玉垂公園)に約150台、大善寺小学校に約100台。チラシは、周辺の駐車場に限りがあるとして公共交通機関を使うよう求めています。
場所取りについて、神社は2025年1月6日付けのお知らせで、三脚や脚立を使った本人不在の場所取りは、安全面と神事の進行の観点から一切許可していないと告げていました。2027年の回の観覧席や場所取りの案内は、まだ発表されていません。
大松明と鬼役は何をするか
夜の大松明は、神社のトップページによると直径1m余り、全長13mです。裸の若者たちがカリマタと呼ぶカシ棒で支え上げ、神殿の周りを時計回りに回ります。点火の直後には、赤と青の天狗による魔払いの鉾面神事があり、鉾取った、面取った、ソラ抜イダの場面を経て、ソラ抜イダを合図に鐘や太鼓が打ち鳴らされます。
その間、鬼は姿を見せません。神社のトップページによると、鬼役はシャグマの子どもたちに囲まれて鬼堂(阿弥陀堂)の周りを七回半回り、社前の霰川で禊をして神殿に帰ります。鬼が神殿に戻ると灯りがともり、厄鐘が七・五・三と打たれて行事が終わります。
夜の行事の前にも、神事は続いています。神社によると、大晦日の夜から1月7日まで、神官が斎戒沐浴して燧石(ひうちいし)でとった御神火(鬼火)を護り、天下泰平や五穀豊穣を祈ります。これを鬼会(おにえ)といい、7日の鬼夜はその結びの行事です。昼には鬼面尊神の神事があり、神社の流れでは午後一時に尊神が鬼堂へ渡り、午後四時ごろ本殿に還ります。
由来は、神社が『吉山旧記』を引いて説明しています。藤大臣(玉垂命)が勅命を受け、当地を荒らしていた賊徒・桜桃沈輪(ゆすらちんりん)を闇夜に松明で照らして探し出したのが始まりと伝わります。
鬼夜は1994年12月13日に国の重要無形民俗文化財に指定され、保護団体は大善寺玉垂宮鬼夜保存会です。神社の説明では、日本三大火祭りの一つに数えられています。保存会のチラシには、鬼夜は「年の始めに災厄を祓い、幸いを招く」追儺の火祭りだとあり、大松明の火の粉を浴びると無病息災といわれる、とも書かれています。