或る列車には、予約の完了画面からダウンロードした「乗車証」をスマートフォンに出すか印刷して、有人改札で見せて乗ります。JR九州がこの列車を、コース料理と片道のJR券をまとめた旅行商品として売っているからで、駅のみどりの窓口では買えません。2人以上で乗れば大人1人38,000円から、専用ホームページで出発の5日前まで申し込めます。
申し込みは専用ホームページから
JR九州が企画・実施する分は、「或る列車」専用ホームページの予約の画面から申し込みます。予約にはJR九州WEB会員の登録が要り、支払いはクレジットカードです。ほかに、全国の主な旅行会社が或る列車を組み込んだツアーを売っていて、こちらは専用ホームページからは予約できず、締め切りも旅行会社ごとに違います。
発売は原則として年3回に分かれます。よくあるご質問には、4月〜9月運行分はその年の1月頃、10月〜2月運行分は7月頃、3月運行分は前年の12月頃から発売するのが例年だとあります。いま売っているのは2026年10月〜2027年2月運行分で、2026年7月15日11時に発売が始まりました。発売の案内には2027年3月以降も運行するとありますが、運行日はまだ発表されていません。
申込みが先着順か抽選かは、公式の案内に書かれておらず未確認です。満席の便にキャンセル待ちはできません。代わりに2026年10月22日から空席通知の機能が使えるようになり、WEB会員が日付・便・人数を登録しておくと、空きが出たときに乗車日の5日前18時までメールが届きます。ただし通知は席の確約ではなく、届いたら自分で予約の手続きをします。
乗車証の案内は、予約完了のメールでも届きます。よくあるご質問によると、旅行商品なので、JR九州レールパスや身体障害者割引などの割引は使えません。
席ごとの代金
代金には博多〜由布院の片道のJR券と、5品のコース料理、フリードリンクが入っています。次の表は大人1人あたりの代金で、2026年4月4日からの料金です。
| 車両と席 | 利用人数 | 大人 | こども |
|---|---|---|---|
| 1号車 2名利用テーブル(1〜5番) | 1名様 | 50,000円 | ― |
| 1号車 2名利用テーブル(1〜5番) | 2名様 | 38,000円 | 32,000円 |
| 1号車 4名利用テーブル(11〜13番) | 3名様・4名様 | 38,000円 | 32,000円 |
| 2号車 1名利用個室(21番) | 1名様 | 44,000円 | ― |
| 2号車 2名利用個室(23〜28番) | 1名様 | 50,000円 | ― |
| 2号車 2名利用個室(23〜28番) | 2名様 | 38,000円 | 32,000円 |
2人以上で乗れば、テーブルでも個室でも1人38,000円です。一人旅なら、1名利用個室の44,000円が2名用の席を1人で使う50,000円より安くなります。4名利用テーブルは3名からで、1〜2名では使えず、ほかの客と相席にもなりません。1号車1番・11番と2号車21番・27番は、ほかの席より窓が小さい席です。
こどもの代金は10歳以上の小学生に当てはまり、料理は大人と同じです。10歳未満の子は、座席の要らない幼児や乳児も含めて乗れません。食物アレルギーへの対応もしていません。
取り消すと、旅行開始日の前日からさかのぼって10日目に当たる日以降は旅行代金の20%、7日目以降は30%、前日は40%、当日は50%がかかります。日付や便、座席を変えたいときは、一度取り消して予約を取り直します。
車内と料理
代金が同じ38,000円でも、1号車はテーブル席、2号車は個室です。1号車はメープル材の明るい車内に2人席と4人席を並べ、デザインのページによると、ななつ星in九州でも使った格(ごう)天井を張っています。2号車はウォールナットの組子に囲まれた個室で、組子には福岡県の大川組子の技術を使っています。料理を監修するのは、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ、成澤由浩氏です。コースのページには「九州各地の生産者を訪れ、五感で確かめた質の高い食材」を中心に使うとあり、器も九州の職人がこの列車のために作ったものです。献立は季節で替わり、2026年秋のコースは11月30日まで、冬のコースは12月5日の運行分から出す予定です。
走る区間と運転日
いまの或る列車は、運転日に博多駅と由布院駅のあいだを午前便と午後便の1本ずつ走ります。片方の便だけの日もあります。午前便は博多駅10時58分頃に出て由布院駅に14時08分頃着き、午後便は由布院駅15時00分頃に出て博多駅に18時03分頃着きます。途中の駅では乗り降りできません。
2026年10月〜2027年2月の運転日は土・日・月曜で、合わせて59日あります。そのうち午前便だけの日が7日、午後便だけの日が21日あります。博多から行って同じ日に戻るつもりなら、公式の運行カレンダーで両方の便が出る日かを見ておく必要があります。
名前のもとになった九州鉄道ブリル客車
JR九州の説明では、名前のもとは明治39年(1906年)に九州鉄道がアメリカのブリル社に発注した豪華な客車です。九州鉄道が国有化されたため、この客車は活躍する機会がなく、「九州鉄道ブリル客車」、通称「或る列車」と呼ばれてきました。コンセプトのページには、「当時の日本で最も豪華な設備を備えていた“幻”の豪華客車」が2015年に九州によみがえった、とあります。
よみがえらせる手本になったのは、鉄道模型の製作者で収集家の原信太郎氏が作った模型です。原氏は2012年7月に横浜で原鉄道模型博物館を開いた人で、所蔵した模型は約6,000両にのぼります。この模型をもとに、博物館の副館長の原健人氏の協力を得て、水戸岡鋭治+ドーンデザイン研究所がデザインと設計をしました。外観は模型の「或る列車」にならって、金と黒に唐草模様をあしらっています。
列車は2015年8月8日に走り始め、2021年11月13日から博多〜由布院でコース料理を出す今の形になりました。