スズ・シアター・ミュージアムは、2026年7月18日に再び開きました。日本海を見下ろす高台の、かつての珠洲市立西部小学校を使った館です。公式サイトには、館のある大谷地区が令和6年能登半島地震で大きな被害を受けたあと、住民とともに復興を進めてきた経緯に続けて、「2年半の歳月を経て、皆さまを再びお迎えする準備が整いました」とあります。
珠洲市は能登半島の先端にあり、2024年1月1日の地震から2年9か月がたちます。行くかどうかを決めるのに要るのは、いま開いている館、見られる芸術祭の作品、行き方、復興の数字です。どれも市と施設が自分で出しているページで確かめました。被害の様子は扱いません。
開いている館と閉じたままの館
| 施設 | いまの開き方(2026年9月に公式ページで確認) |
|---|---|
| スズ・シアター・ミュージアム(大谷町) | 土曜・日曜・祝日の10時〜16時(入館は15時30分まで)。個人で大人800円、大学生600円、小中高生400円 |
| 同 分館(旧大谷保育所) | 地震の影響で休館(メンテナンス)中 |
| 潮騒レストラン(同じ敷地) | 11時〜15時。火曜・水曜が定休 |
| 珠洲焼資料館(蛸島町) | 令和6年1月1日の地震の影響で、当面の間は臨時休館 |
| 道の駅すず塩田村(清水町) | 売店は2026年4月27日に全面営業を再開 |
平日に行くと、館の中で展示を見られる所はほとんどありません。スズ・シアター・ミュージアムが開くのは土日祝だけで、珠洲焼資料館と分館は休館しているからです。屋外の常設作品(次の節)は曜日を問わず見られます。
スズ・シアター・ミュージアムは、家々に眠っていた民具を集めて作品にした館です。芸術祭の「大蔵ざらえ」で集めた生活用具は1,500点にのぼり、8組のアーティストが作品にしました。館長は北川フラム。再開後も8月1日と2日は悪天候によるシステムの不良で臨時休館になり、8月8日から通常の営業に戻りました。「余光の海」の上映プログラムは休止しています。
分館は、民具を収蔵していた大谷保育所を展示の場に変えた施設で、本館から車で5分です。
潮騒レストランは、西部小学校のランチルームの名前を継いだ店で、建物は坂茂の設計です。2024年8月に一度再開したあと同年9月の豪雨で休業し、2025年5月1日に上下水道の修繕を終えて再び開きました。
珠洲焼資料館が扱う珠洲焼は、12世紀中葉から15世紀末にかけて珠洲郡内で作られた焼き物です。
道の駅すず塩田村を運営する株式会社奥能登塩田村の仕事は、会社概要によると、市の施設である塩田村の管理運営と、揚げ浜式製塩の伝統を受け継ぐことです。地震のあとの揚げ浜館(製塩体験ができる資料館)の開館状況は、公式ページに記述がなく未確認です。行く前に道の駅(0768-87-2040)に確かめてください。
芸術祭の常設作品は市の地図で探す
奥能登国際芸術祭の第4回(2026年)は、2025年6月7日の実行委員会総会で見送りが決まりました。公式サイトは、地震による第4回の見送りを伝えたうえで「その歩みは止まりません」と書き、「奥能登国際芸術祭(Being)」の名で作品の修繕と拠点づくりを続けています。
いま見られる作品は、珠洲市観光サイトの「奥能登国際芸術祭~いま見に行ける常設作品~」(2025年6月19日更新)にある地図で分かります。地図には10点が載り、潮騒レストランの建物(坂茂)もその一つです。ほかは、蛸島駅の線路跡に置かれたトビアス・レーベルガーのカラフルなフレーム、旧正院駅の線路脇に埋めた大岩オスカールの巨大な植木鉢、旧上戸駅の駅舎をなぞったラックス・メディア・コレクティブの「うつしみ」など。「うつしみ」は日没から21時ごろまで毎晩点灯する作品で、2025年12月に修繕を終え、芸術祭は2026年1月5日に再点灯を知らせました。屋内作品の鑑賞は10名以上の事前予約のみです。地図には、地震で道路や通路に地割れや破損があるという注意があり、工事車両と住民の通行を妨げないよう求めています。
作品の手入れは「作品普請」と呼ぶ参加型の作業で、専門的な修復ではなく掃除と軽い手入れです。振り返りの記事には「作品修繕は地元事業者の復旧対応が優先され、十分に進められない状況が続いています」とあります。2026年7月20日には飯田町の旧山口本家金物店が「のとすずハウス」として開き、9月にも仕上げの工事が続いています。
見附島とその周り
市の常設作品の地図には、作品のほかに見附島と禄剛埼灯台(狼煙の灯台)も載っています。ただし地震のあとの島の形については、市の公式ページに記述がなく未確認です。この記事の写真は地震の前の撮影で、いまの姿とは違う可能性があります。2026年6月10日には見付海水浴場のそばにフォトスポット「ラブカスベンチ」ができたと、市の観光サイトが知らせています。
行き方と道路の確かめ先
のと里山空港は、2026年7月7日から「のと里山ポケモン・ウィズ・ユー空港」の名で開いています。空港の案内では、この名前は2029年9月30日までの予定です。空港の案内に載っている羽田との便は、ANAのNH747・NH749(羽田発)とNH748・NH750(能登発)の2往復です。空港から珠洲市内へは、市の案内でふるさとタクシーを使って約40分。スズ・シアター・ミュージアムまでは、空港から車か乗り合いタクシーで45分、金沢駅から車で2時間20分、珠洲市街から車で20分です(館の公式サイト)。
金沢駅からは北鉄能登バスの特急バスがあり、市のアクセスマップでは珠洲市内まで約2時間30分です。ただしこのページの更新は2022年1月17日で、地震の前の所要時間です。時刻と運賃は北陸鉄道のサイトで確かめてください。市内の移動は市営のすずバスで、狼煙飯田・大谷飯田・三崎飯田などの路線があります。大谷へ向かう国道249号の仁江町〜真浦町は冬の波浪で予告なく通行止めになることがあり、そのあいだ仁江〜町野の運行は休みます。
道路の状態は「石川みち情報ネット」と、石川県の「奥能登の道路通行状況」のページ(通れるマップは2026年3月25日時点)で見られます。県道38号輪島浦上線の下山町〜上山町は、大雨で通行止めになる可能性がある区間として県が挙げています。旅先で地震や大雨にあったときの公式ページは別の記事にあります。宿と飲食店の一覧は、市の観光サイトが「すずの旬」の名で2026年8月19日現在のPDFを出しています。
復興の数字
石川県の推計人口では、地震の前の2023年12月1日に11,759人でした。2026年8月1日は7,813人です。ただし2つの数字は、もとにした国勢調査が違います。前者は令和2年(2020年)の国勢調査の結果に、毎月の出生・死亡・転入・転出を足し引きした推計です。後者は令和7年(2025年)の国勢調査の速報値から同じように足し引きしています。そのため、差の4千人ほどがそのまま地震のあとに減った数だとは言えません。
珠洲市は2025年2月に復興計画を作り、期間は令和6年度から令和11年度までの6年間です。基本理念には、里山里海の営みの再生をもとに「奥能登国際芸術祭などを復興への光として」新しい地域づくりを目指しています。進め方の節には「誰一人取り残すことのない持続可能な復興」の語があります。
復興公営住宅は10地区に整備する計画です。最も早い馬緤町団地の10戸が令和8年度中、宝立町柏原団地の17戸や大谷町団地の40戸など事業者が決まった団地が令和9年度中、飯田町団地(栄町)の55〜60戸は令和11年度中の完成目標です。
編集部の考え
珠洲を取り上げたのは、芸術祭が開かれない年にも、作品を手入れし、館を開けている人たちがいるからです。2025年9月14日と11月22日には、地域の人と各地から来たサポーターが、蛸島駅や旧上戸駅の屋外作品を掃除しました。スズ・シアター・ミュージアムを土日祝に開けているのは、震災の前から珠洲で活動してきた住民の有志と、震災のあとに移り住んだ人たち、あわせて約30人で、交代で運営にあたっています。