東京では江戸の昔から、火事や水害、震災、戦災のたびに古い建物が失われてきましたし、いまも社会や経済の移り変わりの中で消えつつあります。小金井市の都立小金井公園の中にある江戸東京たてもの園は、そうした建物を引き取る場所として東京都が開いた野外博物館で、園の概要には「現地保存が不可能な文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、復元・保存・展示する」とあります。
開園は1993年3月28日で、東京都江戸東京博物館の分館です。開園したときの復元建造物は12棟でしたが、そこから公開する建物を増やし、いまは約7ヘクタールの敷地に、江戸時代から昭和中期までの30棟が建っています。園内を見て回るには、平均2時間程度かかります。
前川國男邸や子宝湯の建つ園内
園は西ゾーン、センターゾーン、東ゾーンに分かれています。西ゾーンには常盤台写真場、三井八郎右衞門邸、前川國男邸、綱島家(農家)、デ・ラランデ邸など。センターゾーンには高橋是清邸や伊達家の門、東ゾーンには子宝湯、鍵屋(居酒屋)、万世橋交番、武居三省堂(文具店)、万徳旅館などが並びます。こうした建物で、下町と山の手のまちなみが再現されています。屋外には都電7500形も置かれています。
入口のビジターセンターも、その30棟の一つです。歴史的建造物「光華殿」を改修した建物で、導入展示の多目的ホールでは江戸東京の建築の歴史や建物の構造を紹介しています。
センターゾーンの旧自証院霊屋は、修繕工事のため2026年9月1日から令和9年(2027年)3月下旬まで見学できません。工事の期間は変わる場合があります。
建物の説明を聞きながら回るなら、ボランティアが毎日13:30から園内のたてものを案内する「たてものガイドツアー」があり、予約なしで当日参加できます。スマートフォンで開く「江戸東京たてもの園鑑賞ナビ」は、建物のみどころ解説と現在地を出すマップを備え、園内の6カ所では移築前の古写真をAR(拡張現実)で見られます。
展示室の「武蔵野の歴史と民俗」
この土地には、1954年に開館し1991年に閉館した武蔵野郷土館という博物館がありました。たてもの園はその資料を引き継いでいて、展示室では12月13日まで「武蔵野の歴史と民俗~武蔵野郷土館コレクション2026~」を開いています。下布田遺跡から出た土製耳飾(縄文時代晩期、国指定重要文化財)などの考古資料と、街中で見られた看板やマッチラベルが並びます。別料金はなく、観覧料で入れます。
関連の催しは、11月23日(月・祝)に学芸員と広告マッチのラベルをデザインするワークショップ(11:00と14:00、各回20名、先着順)、11月28日(土)14:30から手話通訳付きのミュージアムトークがあります。
観覧料と入園券
2026年10月時点の観覧料は、一般400円、65歳以上200円、大学生(専修・各種含む)320円、高校生200円で、中学生以下は無料です。障害者手帳などを持つ人と付き添い2名までも無料です。毎月第3水曜日のシルバーデーは65歳以上が無料になり、毎月第3土曜日とその翌日の日曜日は、都内在住で18歳未満の子を連れた保護者が半額になります。
入園券は、日付を指定するオンラインチケットと、受付カウンターで買う当日券のどちらでも入れます。オンラインチケットは時間の指定がなく、10月から3月は予約した日の15:59まで取り消せます。16:00を過ぎるとキャンセル料が100%かかります。中学生以下と手帳を持つ人は予約が要らず、そのまま受付カウンターへ行きます。JAFやJR大人の休日倶楽部などの割引を使うときは、当日券で入ります。
開園時間と休園日
10月から3月の開園は9:30〜16:30で、入園は閉園の30分前の16:00まで。4月から9月は17:30まで開いています。休園は毎週月曜日で、月曜日が祝日や振替休日のときはその翌日が休みです。
この先の休園日は、11月2日・9日・16日・24日・30日、12月7日・14日・21日。年末年始は12月25日から1月1日まで休みです。入園した日のうちなら、観覧券を見せて再入場できます。
秋の夜間特別開園
11月6日(金)・7日(土)は「夜間特別開園 たてもののライトアップ」で、閉園を20:30まで延ばします(入園は20:00まで、荒天のときは中止)。仕立屋に復元したガス灯がともり、綱島家(農家)の囲炉裏とデ・ラランデ邸の暖炉に火が入り、子宝湯の浴槽には湯が張られます。案内には「昔のあかりやぬくもりを体感してください。」とあります。
この2日間のオンラインチケットは10月23日(金)から販売されていて、各日19:59まで取り消せます。ライトアップの間は、建物や展示物のまわりで手持ちのスナップ撮影以外の写真撮影ができません。
武蔵小金井駅からの行き方
JR中央線の武蔵小金井駅北口から西武バスで5分です。2番のりば(武12・武13)か3番のりば(武21・武15)から乗り、「小金井公園西口」で降りて徒歩5分。段差が比較的少ないバリアフリールートの案内図(PDF)も、園のアクセスのページにあります。
東小金井駅北口からは、小金井市のコミュニティバス「CoCoバス」の北東部循環で6分、「たてもの園入口」で降りて徒歩10分です。西武新宿線の花小金井駅からは、南口を出て多摩湖自転車道を右に5分ほど歩き、小金井街道沿いの「南花小金井」のりばから武蔵小金井駅行きの西武バスで5分、「小金井公園西口」で降ります。時刻表にある武17は小金井公園西口に止まりません。
どの駅からも歩くと20〜30分程度かかります。園の専用駐車場はなく、車で行くときは小金井公園の有料の第1駐車場(普通車1時間300円)を使います。
車いす・ロッカー・食事
車いすで見て回れますが、一部見られない建物があります。ビジターセンターのインフォメーションで車いす6台とベビーカー5台を無料で貸しています(どちらも予約不可)。荷物はビジターセンターの無料ロッカーに入れます。上がって見られる建物があるので、脱ぎ履きしやすい靴が便利です。
建物の中は、見学できる場所なら撮影できます。三脚・一脚・ストロボは使えず、三井八郎右衞門邸の2階仏間は撮影できません。
食事は、東ゾーンの店蔵型休憩棟2階にある、手打ちうどんのたべもの処「蔵」(11:00〜16:00)と、西ゾーンのデ・ラランデ邸にあるカフェ「武蔵野茶房」(10月から3月は10:30〜16:30、食事は15:00まで)。ビジターセンターのミュージアムショップの奥にもカフェがあります。
編集部の考え
一般400円で入る入口のビジターセンターは、かつて武蔵野郷土館の資料陳列室だった建物で、いまは歴史的建造物「光華殿」を改修したものとして30棟の一覧に入っています。中学生以下は無料なので、小中学生と行けば観覧料がかかるのは大人だけです。武蔵小金井駅北口からは、5分のバスと5分の徒歩でその入口に着きます。