トゥンクトゥンクの絵を描く、折り紙で作る、ぬいぐるみを縫う、衣装を作る。ここまでは、営利目的でない個人なら協会が認めています(2025 年 7 月 9 日施行の二次創作ガイドライン)。作ったものを自分の SNS やブログに載せるのも可です。できないのは、売ること、配ること、宣伝に使うこと、そして公式の絵をそのまま載せることです。
決まりの正本は、公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会(GREEN×EXPO協会)が 2025 年 7 月 9 日に施行した「2027年国際園芸博覧会公式マスコットキャラクター二次創作ガイドライン」(全 10 条)です。二次創作をした時点でこのガイドラインに同意したものとみなされます。協会のマスコットページには要点だけが載っているので、以下は PDF の条文を読んで、場面ごとに当てはめたものです。法律の解釈ではなく、協会がそう決めている、という整理です。線引きに迷う場合の相談先はガイドラインに書かれた協会の窓口で、この記事の末尾に載せています。
まず、できる・できない・要相談
| 区分 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| できる | 営利目的でなく、個人的に楽しむために、トゥンクトゥンクに似た作品(絵、デジタル画像、ぬいぐるみ、衣装など)を作る | 第 3 条 |
| できる | 作った作品の画像や動画を、営利目的でなく個人の SNS や個人ブログに載せる | 第 3 条 |
| できない | 作品をデザインした T シャツやぬいぐるみなどを売る、配る、宣伝する | 第 3 条・第 4 条 1 号 |
| できない | 企業や事業の広告、販売促進に使う | 第 3 条・第 4 条 1 号 |
| できない | 公式のキャラクターをそのままの形、または創作性の低い形で使い、自分の作品として出す | 第 4 条 2 号 |
| できない | 協会の協賛・推奨・公認などを受けていると示す、関係があると誤解させる | 第 4 条 3 号 |
| できない | 暴力的・グロテスク・性的な表現など、キャラクターや博覧会のイメージを損なうもの | 第 4 条 4 号 |
| できない | 法令違反、他人の権利侵害、誹謗中傷、思想・宗教・政治のメッセージ、公式と誤解させるもの | 第 4 条 5 号 |
| 要相談 | 企業、法人格のある団体が二次創作を使うこと | 第 3 条 3 項 |
許諾の対象は「個人または法人格のない団体」で、非営利かつ個人的な利用に限られます(第 3 条 1 項・3 項)。許諾は非独占で、第三者に再許諾することはできません(第 3 条 5 項)。公式ロゴマークなど、マスコット以外の協会の知的財産はこのガイドラインの対象外です(第 3 条 6 項)。
8 つの場面に当てはめる
| 場面 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| イラストを描いて SNS に投稿 | できる | 第 3 条の許諾される使用例そのもの。二次創作であることを書き添える |
| 折り紙で作って写真を投稿 | できる | 立体物も「二次創作物」(変更・改変して創作された一切の著作物)に含まれる。神奈川県が折り方を公開している折り紙トゥンクトゥンクも、作品の投稿はこの範囲 |
| 手作りのぬいぐるみを自分で楽しむ | できる | 使用例に「ぬいぐるみ」が明記されている |
| 衣装を作って着る、写真を投稿 | できる | 使用例に「衣装」が明記されている。イベントの主催者の決まりは別に確かめる |
| 作った動画を投稿 | できる | 使用例に「画像や動画」とある |
| 手作りグッズを売る、材料費だけもらって配る | できない | 販売・配布が禁止。「名目のいかんを問わず、対価(費用相当額のみの場合も含みます)」の徴収が第 4 条 1 号で禁じられている |
| 店の POP やチラシ、会社の SNS に載せる | 要相談 | 企業・法人格のある団体は許諾の対象外。協会の窓口へ個別に問い合わせる。商品化は 2027MLO(マスターライセンスオフィス)の扱い |
| 学校の文化祭やクラブの展示に使う | 判断が分かれる | クラブや同好会は「法人格のない団体」に当たりうるが、学校法人としての利用は企業・法人と同じ扱いになりうる。入場料や販売が絡むなら対価の徴収に当たる。協会の窓口に確かめるのが確実 |
AI で生成した画像、同人誌、二次創作の合同展示については、ガイドラインに言及がありません。書かれていないことをこの記事で「可」とは言えないので、条文の一般則(非営利・個人・改変の創作性・誤解を招かない)で読むことになります。
要約には出てこない 4 つの条文
1. 材料費だけでも「対価」になる。 第 4 条 1 号は、営利目的の利用に加えて、名目を問わず対価を受け取ることを禁じ、その括弧の中で「費用相当額のみの場合も含みます」と書いています。原価で頒布する、送料だけもらう、という形も対象です。二次創作を配って回収できるお金は無い、と読むのが安全です。
2. 公式の絵の転載やトレースは二次創作ではない。 第 4 条 2 号は、公式マスコットを「そのままの形や創作性が低い形で、自ら創作したものとして利用すること」を禁じています。協会は画像の提供もしていません。公式サイトの画像を保存して投稿したり、なぞって描いたりしたものは、このガイドラインの許諾に入りません。自分の作品として認められるのは、自分の表現で描き直したものです。
3. 投稿した作品を、協会が無償で使えるようになる。 第 5 条で、利用者が二次創作物を公衆送信(SNS への投稿など)した場合、協会はその作品を「無償かつ地域・期間・媒体の制限なく」複製・公衆送信などに使えるとしています。作品の同一性を損なわない範囲で修正することもある、とあります。第 2 条 2 項では、協会が二次創作物について創作者と同一の種類の権利を持つ、ともしています。自分の絵が協会の広報に使われることがある、と了解したうえで投稿する決まりです。この条文が実際に使われる場面は、2026 年 9 月 15 日の協会の発表にあります。毎月 19 日を「トゥンクトゥンクの日」とし、「トゥンクトゥンク推し活キャンペーン」に寄せられた投稿画像を協会の SNS で出すとしています。
4. 違反すると、作ったものを全部消す。 第 8 条は、違反した時点で許諾が取り消され、違反者は自分が作った二次創作物のすべてを破棄または削除しなければならない、としています。違反作品を転売・転載した人にも、協会は削除を求めることがあります。
投稿するときに書き添えること
第 3 条 4 項で、二次創作物を公開するときは二次創作であることを明記する、と決まっています。文言の指定はないので、「二次創作です」「ファンアートです」「公式ではありません」のような一言で足ります。公式アカウントの投稿と見分けがつく書き方にすることが目的です。「協会公認」「オフィシャル」と見える書き方は第 4 条 3 号に触れます。
名前の表記は「トゥンクトゥンク」で、英語は Tunku Tunku です。打ち方は別の記事に載せています。
商標と意匠も登録されている
第 2 条で、デザインと名前の権利が次のように登録されていることが示されています。
| 対象 | 種別 | 登録番号 |
|---|---|---|
| デザイン | 商標 | 第6855078号 |
| デザイン | 意匠 | 第1780590号、第1780591号 |
| 名前「トゥンクトゥンク」 | 商標 | 第6924185号 |
| 名前「Tunku Tunku」 | 商標 | 第6909132号 |
名前そのものが商標なので、グッズやサービスの名前に「トゥンクトゥンク」を使う商用利用は、公式ライセンスの手続きになります。公式ライセンス商品の企画・販売は 2027MLO が扱っています。
相談先と、変わりうること
ガイドライン第 3 条 2 項に、利用許諾の範囲について個別に相談する窓口として、協会プロモーション企画部プロモーション企画課ライセンス担当のメールアドレス([email protected])が載っています。企業・法人の利用も同じ窓口です。
協会は必要と判断すればガイドラインを変更でき(第 7 条)、変更後に二次創作をした人は変更後の内容に同意したとみなされます。上の整理は 2026 年 9 月 13 日時点の PDF に基づくもので、変更が公表されたら直します。ガイドラインは日本語で提供され、翻訳との食い違いがあれば日本語版が優先します(第 10 条)。準拠法は日本法、管轄は横浜地方裁判所です(第 9 条)。
編集部の考え
このガイドラインで一番知られていないのは、第 5 条だと思います。作品を投稿した時点で、協会がそれを広報に使えるようになる。それを嫌う人は投稿しない選択になりますが、逆に言えば、自分の折り紙や絵が公式の場に出る可能性がある決まりです。作るのは自由、売るのは不可、載せたら協会も使える。この 3 つを覚えておけば、だいたい迷いません。
