大阪・関西万博のパビリオンの多くは解体されましたが、建物や展示物を別の場所で使う契約や計画が、閉幕後の1年で各地から発表されています。横浜花博(GREEN×EXPO 2027)に来るものは「閉幕1年、大阪・関西万博が残したものの一覧」にまとめてあるので、ここでは横浜以外の行き先に絞りました。淡路島、けいはんな、泉佐野、福山、京都・鹿ケ谷の順に、何が、どの段階で、鉄道でどう行けるかを、2026年9月13日時点の公式発表と施設の案内で書いています。
早見表
| 何が | 行き先 | 段階 | 見られる時期 | 最寄駅 |
|---|---|---|---|---|
| オランダ館「A New Dawn」の建物 | 淡路市夢舞台サスティナブル・パーク(兵庫県淡路市) | 譲渡契約を締結(2026年6月29日) | 発表に記載なし | 淡路島に鉄道はなく、舞子駅(JR・山陽電鉄)などから高速バス |
| 「いのちの未来」のアンドロイド7体 | けいはんなオープンイノベーションセンター KICK(京都府精華町・木津川市) | 京都府へ無償譲渡、2026年2月21・22日にお披露目 | その後の公開予定は未発表 | 近鉄京都線 新祝園駅、JR学研都市線 祝園駅、近鉄けいはんな線 学研奈良登美ヶ丘駅からバス |
| 「Dialogue Theater – いのちのあかし –」の建物と敷地 | 泉佐野丘陵緑地(大阪府泉佐野市) | 移設決定。イチョウは2026年6月に移植済み | 建物の到着は2028年の予定 | JR阪和線 長滝駅から徒歩約30分 |
| 実物大ガンダム像 | 泉佐野市内(場所は予算資料に記載なし) | 2026年度当初予算に8億円を計上 | 未発表 | 未発表 |
| 「いのちの遊び場 クラゲ館」の膜屋根と創造の木 | 福山市の(仮称)子ども未来館の屋外(旧体育館跡地) | 市が移築を目指す段階 | 未来館の供用開始は2029年度中の目標 | 未来館の整備地の最寄駅は未確認 |
| 住友館の展示物・資料 | 泉屋博古館(京都市左京区) | 展示中 | 後期は2026年9月5日〜10月18日 | 公式サイトの案内を参照 |
1. 淡路島:オランダ館の建物
パソナグループは2026年6月29日、オランダ館「A New Dawn」の建築コンソーシアム AND B.V. と譲渡契約を結んだと発表しました。移設先は淡路市の夢舞台サスティナブル・パークです。発表によると、再利用に向けた基本合意は2025年4月25日、移設先の発表は同年5月20日で、万博のオランダ館にはのべ120万人が来場しました。
公開の時期と、パソナ自身の「PASONA NATUREVERSE」の建物の扱いは、この発表には書かれていません。報道では建物の移設を2027年度中、体験型のミュージアムの開業を2026年秋とするものがありますが、当サイトは公式発表で確認できていません。淡路島には鉄道がなく、舞子駅(JR神戸線・山陽電鉄)などから高速バスで渡る形になります。公開時期が発表されたら、行き方を含めて書き足します。
2. けいはんな:石黒浩氏のアンドロイド
シグネチャーパビリオン「いのちの未来」(プロデューサーは石黒浩氏)で展示されたアンドロイドは、京都府が無償で譲り受けました。京都府の2026年1月14日の報道発表資料によると、2月21日と22日にけいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)で、譲渡を受けた7体のうち一部を公開し、パビリオンを追体験できる映像の上映と、石黒氏らが登壇する記念シンポジウムを開きました。参加は抽選で無料、展示は各回200人の入れ替え制でした。
お披露目の後に常設で見られるのかは、当サイトが確認した範囲では発表されていません。KICKへは、近鉄京都線の新祝園駅かJR学研都市線の祝園駅から奈良交通バスで「公園東通り」下車、または近鉄けいはんな線の学研奈良登美ヶ丘駅から同じくバスで「公園東通り」下車です。KICKの案内では京都駅から約50分、大阪の本町駅から約60分とされています。
3. 泉佐野:河瀨直美氏の劇場とガンダム像
泉佐野市には2つのものが移ります。1つはシグネチャーパビリオン「Dialogue Theater – いのちのあかし –」(プロデューサーは河瀨直美氏)です。一般社団法人Dialogue Theaterのサイトによると、移設先は泉佐野丘陵緑地で、建物の到着は2028年の予定です。象徴だったイチョウの木は先に移植され、2026年6月18日に記念式典が開かれました。
もう1つは実物大のガンダム像です。泉佐野市の2026年度当初予算案(2月18日公表)には「大阪・関西万博パビリオン等移設整備事業」として11億3,200万円が計上され、内訳は河瀨館が2026年度3億3,200万円・2027年度3億100万円・2028年度11億8,800万円、ガンダム像が2026年度8億円です。市はこれを「万博のレガシーを活用した地域の魅力創造」と位置づけています。ガンダム像の設置場所と時期は、この予算資料には書かれていません。
泉佐野丘陵緑地は公式サイトによると入園無料で、開園は3月から11月が9時30分から17時、それ以外は16時30分まで、休園日は月曜(祝日の場合は翌日)と年末年始です。2026年4月に大阪府から泉佐野市へ移管されました。行き方はJR阪和線の長滝駅から南東へ徒歩約30分、日根野駅からは約35分で、コミュニティバスの上村バス停からなら徒歩約10分です。
4. 福山:クラゲ館の膜屋根と創造の木
「いのちの遊び場 クラゲ館」(プロデューサーは中島さち子氏)は、広島県福山市が移築を目指しています。福山市のページによると、市が整備する(仮称)子ども未来館の屋外フィールドとして、クラゲ館の膜屋根と「創造の木」の地上部分を移築する計画で、未来館の整備地は旧体育館跡地に決まりました。事業者を2025年度末をめどに選び、2026年度から設計と施工に入り、2029年度中の供用開始を目指すとしています。クラゲ館の置き場所は、未来館と一体で配置する案も含めて改めて検討するとされています。
5. 京都・鹿ケ谷:住友館の資料
住友館の展示物と資料の一部は、泉屋博古館(京都市左京区)が受託して展示しています。同館の2026年4月14日のお知らせによると、展示名は「大阪・関西万博 住友館のレガシー」で、前期は2026年4月21日から7月31日、後期は9月5日から10月18日です。会場は鹿ケ谷の京都館の休憩室「饕餮の間」で、住友館の公式スタンプやグッズ、木製ベンチ、森のジオラマなどを展示します。観覧には同時開催の展覧会の観覧料が必要です。
横浜へ来るもの(別の記事へ)
横浜花博へ来るものはこの記事では扱いませんが、パビリオンの「外側」が2つ来ることは書いておきます。パナソニックの「ノモの国」のファサード736枚は東邦レオの出展施設に、カルティエの「ウーマンズ パビリオン」の組子のファサードは屋内の出展施設に再利用されます。組子のファサードは2020年のドバイ万博の日本館、2025年の大阪・関西万博に続く3度目の使用だと、設計者の永山祐子建築設計は説明しています。どちらも「大阪・関西万博に行った人のための横浜花博」に詳しく書いています。
報道だけのもの、確認できていないもの
チェコ館は再利用を断念して解体されたと読売新聞とNHKが2026年6月に報じましたが、当サイトは公式発表で確認できていません。北欧館とサウジアラビア館の建物の行き先、河森正治氏の「いのちめぐる冒険」の移設先(沖縄県の中学校へ移すという報道があります)も、公式発表を見つけられていません。これらは確認できた時点で表に足します。
編集部の考え
行き先を並べると、建物ごと動くのはオランダ館とDialogue Theaterの2件で、あとは像、膜屋根、展示物と、パビリオンの「部分」が動いています。移設先はどれも万博会場の外で、しかも淡路島、けいはんな、泉佐野、福山と、大阪の中心からは離れた場所です。万博のレガシーが都心の記念館に集まるのではなく、各地の公園や研究都市に散っていく形です。
鉄道で行くという目で見ると、今すぐ行けるのは京都の泉屋博古館と、泉佐野丘陵緑地のイチョウだけです。ほかは2027年度から2029年度にかけて順に公開されていく見込みなので、この記事は行き先が公開されるたびに書き足していきます。
