花博記念公園鶴見緑地には、1990年の国際花と緑の博覧会(花博)のメインパビリオンだった咲くやこの花館のほかにも、会場だったころの名残りがいくつも残っています。大阪メトロ長堀鶴見緑地線の鶴見緑地駅を出て公園に入ると、まず中央噴水と大池が見えます。そこから風車の丘、山のエリアの国際庭園・日本庭園を通り、花館にたどり着きます。
1. 早見表
開園時間・料金は、2026年9月13日時点で各公式サイトに載っている内容です。
| 施設 | 開園・開館時間 | 休み | 料金 | 最寄駅 |
|---|---|---|---|---|
| 花博記念公園鶴見緑地(公園全体) | 山のエリアは4〜10月9:00〜17:30、11〜3月9:00〜16:30。それ以外のエリアは24時間 | 休園日なし | 無料 | 大阪メトロ長堀鶴見緑地線 鶴見緑地駅(徒歩すぐ) |
| 咲くやこの花館 | 10:00〜17:00(入館は16:30まで) | 月曜(休日の場合は翌平日)、年末年始(12月28日〜1月4日) | 大人(高校生以上)500円 | 同上 |
| 山のエリア(風車の丘・国際庭園・日本庭園など) | 公園の山のエリアと同じ | 休みなし | 無料 | 同上 |
国際花と緑の博覧会記念協会の公式サイトによると、花博は1990年4月1日から9月30日までの183日間開かれ、入場者総数は2,312万6,934人でした。参加は83か国・55国際機関で、当時の博覧会として最多だったとしています。
2. 鶴見緑地駅から中央噴水・大池へ
大阪メトロの公式ニュースによると、長堀鶴見緑地線(開業時は鶴見緑地線)は1990年3月20日、花博へのアクセス路線として開業しました。鶴見緑地の公式サイトによると、鶴見緑地駅を出ると徒歩すぐで公園に入れます。
駅からは、メタセコイア並木と水路が続く約480mの中央通を歩きます。大阪市の計画資料によると、中央通と円形の中央噴水は、駅から園内へ来園者を誘うエントランスとして使われています。
中央噴水を過ぎると大池があります。国際花と緑の博覧会記念協会の公式サイトによると、会場の中央には大池が「いのちの海」として置かれていました。その南に野原のエリア、東から北に山のエリア、西に街のエリアが周回するように配置されていたとしています。大阪市の計画資料によると、大池は公園の整備以前からあった湿地帯の一部を残して造成されたもので、今も都市の中で多様な生き物を観察できる環境になっています。
大池の近くには、花博のシンボルタワーだった「いのちの塔」が立っています。大阪市の資料によると、いのちの塔は「生命の大樹・いのちの塔実行委員会」が募った寄付で建設されました。花博後は大阪市の展望塔として営業していましたが、現在は営業を休止しています。2026年7月付の大阪市の回答によると、塔は平成2年(1990年)竣工で新耐震基準に適合しています。指定管理者の募集時には活用の提案がなく、今後は単体での利活用についてニーズ調査を行ったうえで、廃止を含めた方針を決める予定です。撤去の時期は決まっていません。
3. 風車の丘
中央噴水・大池から山のエリアへ進むと、風車の丘があります。大阪市の計画資料によると、風車は花博開催時からある施設で、大花壇は花博の後に整備されました。鶴見緑地の公式サイトでは、季節の花に彩られた風車の丘として案内されています。
4. 山のエリアの国際庭園・日本庭園
風車の丘を含む山のエリアには、バラ園、本格的な茶室のある日本庭園、国際庭園、自然体験観察園があります。鶴見緑地の公式サイトによると、花博のときはこのエリアに59の庭園(国・州・地域)や都道府県の庭園、いくつかの企業パビリオンが出展されていました。大阪市の別の資料は、60の国・地域・国際機関による国際庭園があったとしています。
大阪市の2018年12月の計画資料によると、シンボル性が高い庭園や、改修で良好な状態を保っている庭園は原則として存置し、花博当時の姿を紹介する二次元コード付きの銘板を設置する方針です。ほかの庭園は、形態や規模を見直す可能性があるとしています。
5. 咲くやこの花館
山のエリアを抜けると、花博のメインパビリオンだった咲くやこの花館があります。咲くやこの花館の公式サイトによると、鉄骨造の総ガラス張りで地上2階建て、高さ約30m、延床面積約6,890平方メートルの温室です。外観は、鶴見緑地の周辺がもともと湿地帯だったことから、水面に浮かぶスイレンの花をイメージしてデザインされました。
館内には世界中の約5,500種、15,000株の植物が収蔵され、常時300種類以上の花を見ることができます。大阪市の計画資料は、日本最大級の温室として花博の理念を継承する施設だとして、存置する方針を示しています。
開館時間は10:00〜17:00(入館は16:30まで)、休館日は月曜(休日の場合は翌平日)と年末年始(12月28日〜1月4日)です。入館料は大人(高校生以上)500円です。
6. 編集部の考え
鶴見緑地は、花博が開かれる18年前の1972年にすでに公園として開園していました。花博はその公園を会場に借りる形で開かれ、閉幕後は再び公園に戻っています。パビリオンの跡地は大芝生になり、メインパビリオンの咲くやこの花館はそのまま植物園として残りました。会場全体がひとつの公園として続いてきた分、いのちの塔のように利活用が決まらない施設があっても、公園としての形は保たれていると思います。
横浜花博の会場(旧上瀬谷通信施設)は、これとは違う残り方になりそうです。横浜市の土地利用基本計画では、約242ヘクタールの敷地を農業振興・観光賑わい・物流・公園防災の4つのゾーンに分けています。花博のレガシーを継承する公園になるのは、このうちおおむね50ヘクタールの公園・防災ゾーンだけです。隣の観光・賑わいゾーン(おおむね125ヘクタール)は民間のテーマパークになる計画で、会場全体がひとつの公園として続いた鶴見緑地とは、規模も残り方も違うことになると思います。
