2025年9月、閉幕を前に混み合う大阪・関西万博の会場で、日傘を差した来場者が行き交う写真を読売新聞が載せました(9月20日)。見出しは「頭に当たって危ない」。日傘が増えすぎて、混雑する場所でのトラブルが心配される、という記事です。差しているのは女性だけではありません。この夏、男性の日傘は珍しいものではなくなりました。
協会が貸した日傘3,000本と、会場の暑さ対策
2025年日本国際博覧会協会は2025年7月11日、暑さ対策を3つの区分に分けて発表しました。東エントランス広場では日傘3,000本を貸し出し、休憩所を設ける。第2交通ターミナルから第1交通ターミナルまでの間にミスト付きの扇風機を18台置く。EVバスを使った休憩所を2か所。自動販売機は会場内に248台(6月15日現在)、水道直結の給水機やウォーターサーバーなどの給水場所は79台。会場内8か所の医療救護施設で、軽症のうちに手当てをする。7月14日には塩分補給のタブレットと飴を配る啓発イベントを大屋根リングの下で開きました。
6月27日の公式ブログには、無料のマイボトル洗浄機が会場内10か所にあること、廃棄ソーラーパネルを再利用した移動式ベンチ「そらいす」が3台動いていることが書かれています。協会は日傘を貸し、給水し、座る場所を作りました。
読売新聞の9月20日の記事によると、東西ゲートや人気パビリオンの周りでは日傘を差した人が近接して行き交い、日傘を片手にスマートフォンを操作する人もいて、目や頭に当たって危ないという投稿がSNSに相次ぎました。協会は安全な利用を促しているとのことです。
数字で見る男性の日傘
万博の来場者に絞った日傘の調査はありません(2026年9月17日時点で、協会にも調査会社にも見つかりませんでした)。あるのは全国の数字です。
環境省は2019年5月の「日傘の活用推進について」で、日傘の効果を測っています。暑さ指数(WBGT)は日向に比べて1〜3℃下がり、千葉市動物公園では3℃下がって熱中症の警戒レベルが1段階下がりました。日射を99%以上カットする日傘を使うと、帽子だけの場合より汗の量が約17%減ります。上着を脱ぐクールビズで熱ストレスが約11%減り、日傘を併用すると合計で約20%減る。街路樹のない道で日傘を差す効果は、10m間隔で街路樹を植える効果に匹敵する。そのうえで環境省は「男女問わず日傘を活用することが望ましい」と書き、日本百貨店協会(79社201店舗)や日本洋傘振興協議会と組んで呼びかけました。
メンズリゼ(リゼクリニック)が2025年4月に10〜40代の男性600人に聞いた調査では、日傘を使っている男性は17.8%で、2年前の8.0%から9.8ポイント増えました。「日傘をさす男性を見たことがある」は2023年41.5%、2024年48.0%、2025年64.9%。メンズ日傘に前向きな人は81.8%です。クロス・マーケティングが2025年5月に出した全国調査では、日傘を使う人は47.4%で、男性は4人に1人でした。
メルカリが2026年7月6日に出した「トレンド通信」によると、メンズ日傘(晴雨兼用を含む)の購入者は例年7月がピークで、2025年7月は前年同月比61%増。同じ月のレディースは7%増でした。2026年は4月が18%増、5月が16%増と、前年を上回る勢いで早くから買われています。買う人が最も多いのは40代、次いで50代。人気ブランドの1位はmont-bellでした。
この3つの発表は、どれも万博に触れていません。日傘が増えたことと万博を結びつけたのは、読売新聞の会場の写真のような報道です。
横浜花博の8月は31℃で、会場は屋外
気象庁の横浜の平年値(1991〜2020年)で、日最高気温の平均は7月29.4℃、8月31.0℃、9月27.3℃です。横浜花博(GREEN×EXPO 2027)の会期は2027年3月19日から9月26日で、この3か月がまるごと入ります。園芸博は屋外が主役で、協会の発表でも屋外の庭園と花壇は予約なしで自由に見て回る場所です。
GREEN×EXPO協会(公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会)の来場者輸送実施計画(第3版、2026年7月)には、シャトルバスの乗車場所に日除けの屋根(テント)を設けて暑熱対策をすること、瀬谷駅から会場までの歩行空間で横浜市と連携して日陰づくりやミストの設置に取り組むことが書かれています。メタウォーターは2026年7月9日、屋外の給水スポットを設ける「暑熱対策プロジェクト」への協賛を発表しました。会場内の休憩所やミストの数をまとめた発表は、2026年9月17日時点で見つかっていません。出たら書き足します。
持ち込みの規約(2026年3月19日初版)に傘の記載はありません。禁止物はテント類、スーツケース・カート、手のひらに収まらない自撮り棒と三脚、瓶・缶の飲料など。ペットボトルは持ち込めて、協会はマイボトルと水筒を勧めています。
編集部の考え
万博のレガシーというと、大屋根リングの木材や移設されるパビリオンのような、形のあるものを思い浮かべます。でも人の習慣も残ります。「日傘をさす男性を見たことがある」が2年で41.5%から64.9%に増えた。抵抗感は、周りに差している人がいるかどうかで決まります。夢洲の夏は、1日に十数万人が同じ場所で日傘を差す場を半年間作りました。万博が原因だと証明はできません。それでも、横浜花博の8月に日傘を差す男性がいても誰も振り返らない、ということは言えると思います。
読売新聞が伝えた危なさは、横浜でも同じです。ゲートの列やシャトルバス乗り場では人が近接します。列に入ったらたたむ、上げるときは周りを見る。混雑した場所での日傘は、差す側の作法で成り立ちます。
夏の横浜花博に持っていくものは3つ。晴雨兼用の日傘(9月は横浜で最も雨が多い月です)、水筒(会場の給水スポットで足す)、列で座る小さな折りたたみ椅子。3〜5月に行くなら日傘の出番は少ないので、行く時期をまだ決めていない人はいつ行くかの記事を先に読んでください。
